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エッセイ:一昔前のアニメスレを眺めてると癒される……

 僕は昔のアニメの実況スレを眺めるのが好きで。それこそ、親世代が書き込んでたようなファンサイトを漁るのが好きなのです。

 僕はゆとり世代なので、当時のオタク達がどんな交流をしていたか気になったのもあるけど、単純に90年代末期のダウナーさだったり、00年代前半のノー天気さが好きというのが大きい気がする。

 アニメに限らず、映画ブログなんかも漁っていると、今のように画像付きのサイトは少なく。まるで「解説書」のようにビッシリ書き込まれた文章が逆に新鮮なんですよね。当時の人達はこういったもので、考察していたのだと思うと感慨深くなる。

 最近は、「コロナ禍っぽいから」という理由だけで、『無限のリヴァイアス』のスレを眺めていた。宇宙艦という閉鎖環境に閉じ込めれた少年少女の物語なのですが。自粛生活とか始まった頃は真っ先にこれを連想してた。

 このアニメが放映されたのが、2000年代に突入するかしないかの微妙な時期だったのもあり、他の年代のスレに比べても、ちょっぴり異様な雰囲気を感じました。鬱々とした本編に引き摺られる形で、陰りのあるレスが多いのも特徴的。

 今となっては見慣れないスラングのせいか、インターネット特有の「アングラ感」がかなり際立って感じられる。そういえば、SNSが流行るまではネット民であることは周囲に隠すような風潮とかあったし、それが1999年ともなれば尚更でしょうね。

 世紀末と呼ばれたあの時代。子供心に、退廃的な雰囲気が漂ってたのは何となく覚えていて。一抹の寂しさと、ある種の懐かしさと共に味わいながら、一つ一つのレスを眺めていた。

 ほんのちょっとしたことで揚げ足取りをしてたり、相手を罵倒してたりする。匿名性故の攻撃的なレスの数々。人間って本当に変わらないなぁ……。まあ、当時の人が今現在のインターネットを見たら同じ感想抱きそうですが。きっと、ストレスの捌け口としても使われていた側面もあるのでしょう。

 スレに書き込んでた住人達も、現在は40代くらいでしょうか。今では立派に家庭を持ってたり、働いてたりするのでしょうか。あるいは引き篭っていたり、親を殺して捕まったり、世の中に絶望して自殺してしまったのかもしれない。

 それでも、自分とはあまり関係の無い年代の人たちの生活感溢れる書き込みなんだと思うと、不思議と癒されるんですね。どうせ20年も前の書き込みだと俯瞰して見れるから、そのメランコリックさも、詩的に感じられる。

 彼らがどんな人間だったのか、想いを馳せながらページを開いていく。きっと、リアルでは言えないようなこと、秘密にしたいこと、感動した気持ち、などを書き込むような特別な場所だったのでしょう。

 今だったら、「ポエム」「メンヘラ」「かまってちゃん」とか呼ばれて、雑に片付けられるような書き込みも、当時は何となく受け入れられていたらしく。この暗くて甘い雰囲気が好きだったし、ネットがアングラだった頃に戻りたくなる。

 今のオープンになりすぎたインターネットでは味わえない空気感に浸りながら、深い眠りに着くのでした。このまま瞳を閉じていよう……。

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