ノンバイナリーな私と性被害の話

以前の記事でも書いた通り私の割り当てられた性は女性です。しかし、子供時代から女性の服装をすることは嫌だったので、ずっと男の子のような服装をしていました。

小学校の中学年くらいの頃だったと思いますが、親戚と、何かの合宿所のようなところに宿泊したことがあります。その合宿所では,泊まる部屋の扉に鍵はなかったか、かからなかったと思います。寝るときは布団で雑魚寝でした。うちの親族で2部屋使っていて(大人は1人であとは子供)、私は他の親戚の男の子と子供だけの部屋に寝ていました。

夜寝ていると、誰かに触られている感覚で目が覚めました。気づいたら横に見知らぬ大人の男性が添い寝していました。親戚の子たちは気づかず、そのまま寝ていて、私は、服の上から体を触られていました。私は何が起きているのかわからず、声を出すことも身動きすることもできませんでした。

そのうち、パンツの上からお尻から股の間を触られ、子供ながらに「これはとても良くないことが起きているのでは」と感じましたが、やはり体を動かすことはできず、ただ、頭の中で「どうしよう」とぐるぐる考えていました。しばらくして、その男性は私のお尻側のパンツのゴムを外側に引っ張り、中を覗き始めました(私は横向きに寝ており、その男性は私の背中側にいました。振り返っていないので様子を見たわけではありませんが、お尻が見えるようにゴムを引っ張っているので、そういうことだと思います)。私はどうしていいかわからず、寝たふりをしたまま、「うーん」と声を出しながら身じろぎをしました。

その男性は、起きたと思ったのか、動きを止めました。私は再度「うーん」と言いながら身じろぎをしました。目が覚めるかな。というような感じです。そうすると、彼はヤバいと思ったのか、サッと立ち上がり部屋の外に出ていきました。私はほっとしたものの、しばらく動けませんでした。私は、混乱しており、これは何かの間違いに違いないと、なかったことにしようとしました。そして次の晩、同じことが起きました。昨晩と同じことをされましたが、起きそうな態度を繰り返すことで。彼は部屋から逃げました。子供とはいえ、同じ部屋に複数人の人がいるので声を出されるとまずいと思ったのかもしれません(今思えばですが)。その次の晩は、寝巻きでなく、日中の格好のまま寝ました。ジーンズにベルトです。流石に私が気づいていることが伝わったのか、その晩彼は来ませんでした。

彼が誰だったのかは分かりません。女児を狙ったのか、どっちでも良かったのか(股の間を触った上で続けていたことを考えると、男児狙いではなかったと思います)も分かりません。服装はまるきり男児と一緒でしたので、服装や振る舞いに性的な要素が強かったとも思えません。でも、事実として、そういうことが起きました。

このことは、いわゆる中年になるまで誰にも言えませんでした。もう、ずいぶん前の話ですし、長年人に言えなかったことを考えると、私はかなり大きなショックを受けていたのだと思います。そのため、直接触られるなど、それ以上のことをされたかどうかについてはよく覚えていません。

性被害について、嫌なら抵抗すればいいとか、声を出せばいいとかいう人がいますが、実際その状況ではそれはできないのです(本件については子供の時だったからということもあるかもしれませんが、今で言う性被害の経験は本件以外にもあり、その時もそうでした)。

体格が華奢であったり、小柄であったりすると威圧的な態度に晒される経験が多くなりがちです。実際に抵抗できる腕力もないと自覚していると、威圧的な態度に対して抵抗できない心理状況に陥ることも、実際抵抗できない状況に陥ることも、そうでない人より多くなると思います。

あまり恐いと感じる経験をしたことがない人は、この話をしてもピンとこないので、共感してもらうのはなかなか難しいなと感じます。男性の平均の体格より女性の平均の体格の方が華奢ですので、割り当てられた性が男性の方だと、話していてもピンとこない方が多い印象です。現状、政策立案など、社会のルールづくりに関わっているのは圧倒的に男性が多いので、男性が共感しにくい問題は、適切な対策がされづらいということがあると感じています。だからこそ、多様な人が政策決定に関わることって大事ですよね。早い時期にこれが実現できるといいのですが。。。

私はこの出来事より前から自分が女性であることに違和感を感じていましたので、私がノンバイナリーであることと、この出来事そのものはあまり関係ないと思いますが、ノンバイナリーの私が振り返ることでの視点というのはあるのかもしれません。

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