見出し画像

Yellow Magic Orchestra を聴く Vol.1

Solid State Survivor

定番曲である " Technoplis " や " Rydeen " を収録している、正に社会現象を巻き起こした大傑作。ビートルズのカバーとなる超絶テクノ技巧 " Day Tripper " などインパクトの強い楽曲が並ぶ。

スローで幻想的な楽曲 " Castalia " はピアノによるシンプルな主メロ、そこに壮大なコーラスが覆いかぶさるとてもドラマティックな作品。
坂本氏がアンドレイ・タルコフスキーのSF傑作 " 惑星ソラリス " にインスパイアされたと記憶している。

そして " Behind The Mask " こちらはポピュラーな楽曲。
スタジオテイクは数々のライブ演奏とは違い、どっしりとしたテンポで雰囲気もより幽玄的。
ARP ODYSSEY による主メロと、Vocoder を活用した歌メロが繰り返され、クライマックスは双方のメロディが重なり、夢に落ちてゆくようなエンディングを迎える。

ラストの " Solid State Survivor " は高橋幸宏氏の作品。
繰り返されるイントロのリフに、イコライジングされた 「ミナサンコンニチハ、コレガサイゴノホウソウデス」という語りが重なり、最後は気味の悪い笑い声と共にフェードアウトしていく。怪しさ満点の傑作。

Release : 1979
Total Time : 32:23
Category : Electronic
Country : Japan

増殖 - X∞ Multiplies

スネークマンショーのコントを軸に、新曲4曲を散りばめた変則アルバム。
当時は人気爆発中であり、何らかの圧力で緊急リリースとなった背景が見え隠れする、と勝手に想像。

楽曲4曲の中で目玉は " Nice Age " 。
当時の国内ツアーで演奏されていたこの曲は、ニューウェーブ・サウンドに軸を傾けた作品である。
バックのピコピコしたアルペジオが印象的なAメロ、ベースの下降ラインが強烈なサビメロ等、とてもドラマティックな出来栄えとなっている。

またライブでは演奏されたことがないはずの " Multiplies " はスネークマンショーのコントそのままの雰囲気だが、幸宏氏のハイテンポなドラムと、ギターの裏拍を強調したカッティングなどが特徴的で、テクノサウンドとは一線を画する曲調である。

なお " X∞Multiplies " というベスト・アルバムが当時アメリカで発売されており、私のYMOデビューはそこからだった。また1曲目の " Nice Age " はフェードアウトで終了するテイクとなっており、それだけでも価値のあるベスト盤と勝手に思っている。

Release : 1980
Total Time : 29:20
Category : Electronic
Country : Japan

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?