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【起業~ECショップ開設まで#4】創業融資申し込み

オリジナルTの独自ECショップ開設までの経緯を記録しています。商品の製作は自分の「やりたいこと」であり苦になるものではなく、逆に没入できるのですが、それ以外にも様々な事務的仕事(デスクワークがあまり好きではない)が多く、個人事業で「やりたいこと」をやるためには苦手なこともやらなきゃならんのだな、全部一人でやらなきゃならんのだな・・と痛感しました。

そもそもノースリーブのカットソーのみを扱うつもりだったのですが、季節は夏を通過しつつあり、私は秋冬に向け当初予定していなかったロングスリーブのラインアップも採用しようと考えます。同時に、それだけ商品を用意するからには売上を作るためにECショップに加え大型モール出店との併用で行こうと考えました。それらの為には自身で用意した資金以上が必要になる。そこで日本政策金融公庫の創業融資の申し込みに舵を切りました。

自治体による創業支援の中小企業診断士Iさんからサポートを受けながら、全くの無知な状態から書類を作成して行きます。コロナ禍の融資分回収が滞っておりタイミング的に難しいことと、現時点で私にキャリア(アパレル未経験)や実績がないことで、やはり通りにくいと言われました。

書類準備をする間、融資を受けることに積極的な自分の他に、もう一人慎重な自分が常に共存していました。「借金する?」という自分です。実際、申込には具体的なビジョンを数字で表現することと、何より<なぜそれを事業としてやりたいのか?><その計画を遂行する性質と能力を持つ人間性か?>をアピールする必要があります。いまだから言いますが、正直、積極的な自分が思い切って言葉や数字をアウトプットしていく傍らで、慎重な自分が「ふーん・・」「ホントにそれで行ける?」と呟くのが聞こえました。

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さて、公庫から求められるのはA3の<創業計画書>という一枚です。<創業の動機>から始まり<取引先>、<借入れ状況>、<必要資金>、<事業の見通し>など全部で9項目があります。それぞれの記入欄がとても小さくなるため、実は私は最初、これは簡単に記述し別添でしっかり説明しよう、と考えていました。こんな狭い欄に、動機やこれまでの略歴なんて当然書き切れないでしょ、と思っていたのです。

ところが、その考え方はNGなのだと一喝されました。「物理的にムリでしょ」と心中で反論しつつも、Iさんは「まず、この所定の一枚にしっかり書き込んで。これがおろそかなら、次の別添なんて読んでくれない。」と言われ動揺しました。・・・・う~む、なるほど。

ダメだというのだからやるしかありません。
気持ちを切り替え、その9項目が所狭しと並んだA3一枚に全てを盛り込むよう努めました。小粒な文字で書くというんじゃないですよ。
そのために、まず、とにかく全てを書き出すということをしました。動機などは長くなりがち。略歴も長く生きていれば学歴から職歴までをたったの6行で納めるのは至難(←私の能力では)。とにかく全てをアウトプットした上でシェイプしていき、タイトに端的に、それでも全容が掴めるものにするというやり方に切り替えたのです。

次に厳しいのは数字です。まだ売り始めていない段階で見通しを具体的に表すなんて、「正に絵にかいた餅」でいいのか?と不安にもなりました。「だってやってみなきゃ分からないじゃない」と考える自分に、「でもそんなんだったら誰もお金を貸してくれないよ」と言う自分が。しかし、何にいくら使うのか、設備資金と運転資金の具体的な使途、それに対する調達方法、事業の見通しとしての数字と伴う返済の計画、等々、計算し記述して行くことで、「事業をするのだ」というイメージが固まって行きました。

創業計画書に記す数字の根拠として、月次損益計算書、資金繰り表を添付します。経理という分野に苦手意識を持つ私としては所定の用紙ではよく分からず埋められないため、まずは自分の為だけにエクセルで計算書を作りました。そこに数字を入れて理解した上で、Iさんから渡されたひな形に落とし込んでいくというやり方です。
因みに私は計算機をたたくのも苦手なので、商品一つ辺りの原価(材料費、製作費、諸々手数料など)をはじめ、上記の損益計算にはエクセルで詳細な数式を予め入力し、この月に〇枚売れるとどうなる?などが簡単に出るようにしました。

書類を作ってはIさんにチェックしてもらい修正、を何度か繰り返し、最後には「うん、だいぶ良くなったね」とOKを貰うことが出来ました。そこで、実際に申し込み、提出をするに辺りもらったアドバイスが、ダメだったらこちら(自治体が保証し、地元の金融機関から融資を受けるという道)をトライ、公庫の担当者によっては非常に手厳しい、随分と酷いことを言われて取り下げた事例もある、何を言われてもビジネスライクで対応を、ということでした。

<Yes, Sir !!>


オンラインで申込、書類提出を行ってから面接までが20日ほど、そこから16日後に返答を貰いました。「今回は見送り」という残念な結論でした。

実は、面接時の手応えは良く(独りよがりか?)、「前向きに検討させてもらいます」「ありがとうございます」というやり取りでした。ただ懸念材料として、ネット販売のみという点が未知数で、上司との話でその点が問題になるかもしれないので、とは釘をさされました。

随分と長い時間、融資申し込みの準備に掛かりました。書類作成に一月半、その後申し込みから回答まで一月と数日。断られたときはさすがにガックリきましたが、結論が出たのがちょうど年末に掛かっていたこともあり<小休止>としました。

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融資申し込みにあたっては
・ラインアップをより充実させる
      ↓
・返済もあるので相応の売上を作る必要がある
      ↓
・故に独自ECショップと大型モールの併用
という構想で進めていました。

融資が通らなかったので、ここで大きく展開を変える必要があります。別の中小企業診断士Hさから「今、売る事を考えなくていいんじゃない?モールを使わないなら月々のコスト掛からないんでしょ?」というアドバイスが。言われてみて「ん?たしかに」と思いました。

そうだな。融資がなくてモール出店も断念、独自ショップだけならランニングコストもさほど掛からない。当初の予定だった「スリーブレスに特化して」という線を復活させよう。サイズも3サイズではなく2サイズ展開で。

年明けから、早速、パターンを起こし、縫製会社に発注。用意するラインアップをぐっと減らしたので材料費と縫製費も資金内で可能。モールの出店料や公庫の返済も無くなったので、色々と計算したあの事業計画は無効に。これはこれで、自分のペースで商売をして行かれると思えば悪いばかりでもないか、と気持ちの持ち様をチェンジしました。

意外と前向きなワタシ。

先にも述べましたが、融資を受けるために計画やキャリア、事業への思いなどを数字や活字にし見える化したことは、自分に対しても明確にしたようでビフォー&アフターを比較すると大変な変化が自分にもたらされました。数字はもとより、最初は「名乗るほどの者でもないし、アピールするほどのキャリアはないし」と重い腰をよっこらしょっと動かし始めたのが、些細なキャリアでも生かそうと思えば生かせる、立派なキャリアである、と意識が変わったりもしました。<自己のキャリアの棚卸>ともいいますが、本当にその通りだと思います。

次回【#5】はECショップのオープン準備に係る諸々を取り上げたいと思います。これがまた、「えー、そんなことまで?」ということが多くて鍛えられました。


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