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おばさんのパンツも何でもいいじゃない?

 ドラマ『おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか!』のまんま、おばさん版です。何のひねりもありません。
 この冬、旧式おっさんが主人公のドラマといえば、前日に記事ネタにした『不適切にもほどがある』もあります。『不適切……』のおっさんは昭和の51歳。『おっさんのパンツ……』のおっさんは、令和の51歳。偶然にも二人とも51歳って、なぜ? まるで、昭和の51歳おっさんを「古い」「頭固い」「時代錯誤」とか言ってた息子や娘、当時の若い世代が令和の51歳になってみれば、自分がかつて親世代に向かって吐いていたセリフを子供や若い世代から吐かれている。おいおい、やっぱり時代は巡るのかよ。

 さて『おっさんのパンツ……』。最初は、コメディは好きなので気になったが、腐女子ネタやゲイネタのドラマはときに穿ちすぎていて鼻につくことがあるから、見ようかどうしようか迷った。迷いながらも、公式サイトの主人公おっさんのくたびれた困り顔のアップに妙な親近感を覚え、とりあえず見てみた。
 結果。気に入った。
 なかなかに目から鱗なシーンがある。
 第2話同人誌の会場(コミケ?)。
 セーラー服おじさんを始め、きびきびとして統率のとれた異装のスタッフ(ボランティア?)には、主人公おっさんじゃなくても感心したし、納得した。
 昔、ニュースでコミケ(?)にはン万の人出があると報じられていたのを見たことがあるが、セーラーおじさんたちのような理性と合理性と、統率と秩序のある動きじゃなきゃ、そんな大群を滞りなく捌けないよね。当然だわ。オタク=チーム行動(仕事)無理ゲーという固定観念がちょっと覆った。そりゃ、世の中にン万人もオタクの人がいれば、いろんな人がいて当然だよね。オタクさんたち全員を金太郎飴的枠にはめないようにしようと思いました。
 それから一番印象に残った――というよりある意味開眼したのは、第3話銭湯でのおっさんのセリフ
おっさんがどんなパンツを穿いていたって、誰もどうでもいい」「(どんなパンツを穿こうと)(ゲイであろうとなかろうと)誰に迷惑かけるわけでもないし」「おっさんのパンツが何だっていいのと同じだ
 うろおぼえすぎて限りなく不正確ですが、意味はまあ意味は違ってないかと思います。
 そうか! 確かに。おっさんがどんなパンツを穿いていたって、どうでもいいわな。そりゃ、個人の自由だ。
 だったら、おばさんだってどんなパンツを穿いていてもいいじゃないか。誰に迷惑掛けるわけでもなし、それもおばさん個人の自由だ。腹巻きパンツを愛用していたっていいじゃないか。ついでにすっぴんだっていいじゃねぇか。くたびれたおばさんの面なんて誰も気にしちゃいない。
 たまに令和に生き残った平成シーラカンス女子力命おばさんが「女はいくつになっても女よ。すっぴん? 腹巻きパンツ? 女を捨てるなんてひとじゃない」みたいな批判をしてくることがありますが、女子命であるのも、そうじゃないのも個人の自由っすよ。
 きっちりキメた女子力MAXおばさんのパンツが総レースのフェミニン全開パンツであろうが、苺柄のぱんちゅであろうが、実は腹巻きパンツであろうが、何だっていいんっすよ。個人の自由だから。別にどんなパンツだろうと人に迷惑かかるわけじゃないから。それが道理っすよ。そういう道理がちゃんと認められつつある(まだ過渡と思う。始まりね)時代になったんっすよ。ようやく。
 つまりは、おっさんだけじゃなく、おばさんもアップデートしようってことか……。

〈余談 その1〉
 『おっさんパンツ……』の主人公おっさん、51歳ってことは就職氷河期世代だ。意に沿わないフリーター生活のまま、人生半世紀すぎちゃった人がわんさかいるお年頃だ。そりゃ、幸運にも正社員として就職できたんだから、会社にしがみつく人も多いわな……。その辺は、おっさんの生き方に同調も服従も同意もしなくていいから、ちょっとだけ斟酌ぐらいはしてあげてね。

〈余談 その2〉
 『不適切……』の昭和10年生まれ51歳おっさんは、石原裕次郎と同い年じゃないか? 太陽族と呼ばれた世代。当時は、ちょいワルで、やんちゃなイメージを持たれていた世代。
 石原裕次郎を知らない人のために、ちょっと説明すると、石原慎太郎元東京都知事の弟で、昭和伝説の刑事ドラマ『太陽にほえろ』のボス役。ブラインドから外覗くだけで、走らないし、アクションしないし、推理もしない不思議な刑事管理職。

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