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代償を払わずに成功出来ない

今回は、モーガン・ハウセル氏の著書
「サイコロジー・オブ・マネー
一生お金に困らない「富」のマインドセット 」

という本の内容を紹介します。

コラボレーティブ・ファンド社のパートナーを務める著者が、
お金についての普遍的な知識と真実を、誰にでも分かりやすく
説明してくれています。
この本は、アメリカで発売されると、たちまち大ヒット作となり、
43か国で翻訳され、全世界累計70万部のベストセラーになった本です。
現役の金融プロフェッショナルである著者の根本的な主張は、
「お金とうまく付き合うには、頭の良さより行動が大切だ」
いうものです。

「金融の知識を持っていること」「合理的な判断が出来るか」という事は
全くの別です。
どれだけ金融知識があっても資産運用にはリスクがありますから、
感情をコントロールできずに、欲深い行動に走ってしまうと
破産することもあります。
ですから著者は、「金融知識が無いから損をする」とか、
「お金の専門家には勝てない」などの思い込みは
捨てていいと言います。

医者は健康の知識をたくさん持っていますが、だからと言っても
お酒を飲むこともあれば、タバコを吸っている医者だっている筈です。
金融のプロも、「こうすることが出来ればお金が増える」という知識は
知っているかもしれませんが、人間には感情がありますから、
(欲望や恐怖などが邪魔になって)実行できるかどうかは別問題です。

今回の内容を通して、お金と賢く向き合い、お金にまつわる心理を
勉強していきましょう






感情が邪魔をする世界

実は、投資の世界というのは数字のゲームではなく、複雑な人間心理に
左右されるマインドの世界です。
ここで、一つの具体例を紹介します。

Aさんはハーバード大学を卒業してMBA(経営学の学位)を取得し、
大手金融機関の重役まで上り詰めたにもかかわらず、
欲を出してしまい破産してしまいました。

一方Bさんは、地味な清掃員だったのに約9億円もの
資産を築きました。

2人の間には圧倒的なお金に関する知識の差がありましたが、
お金のプロが破産して清掃員が9億の資産・・・・、
これはつまり、素人がプロに圧勝したという事です。
なぜこんなおかしなことが起こったのかというと、
それは2人の性格の違いです。

いくら高度な金融知識を持っていても、感情のコントロールができなければ
破産することだってあるし、金融の専門知識が無い普通の人であっても、
ごく単純な行動を実践すれば裕福になれる事もあるというのが、
お金の世界の不思議なところです。

AIのように、いつでも合理的な選択が出来れば良いのかもしれませんが、
私たちは人間ですから、お金と賢く向き合うにはお金にまつわる心理を
知っておく必要があるのです。
欲に駆られて資産を全部失ってしまう金融エリートもいれば、
低収入でも地道に投資できる人は資産を築くことが出来ます。



私たちが経済的な自由を手に入れるためのポイントは以下の5つです。

・お金にまつわる心理を知る
・時間を味方につける
・忍耐強く長期的な視点を持つ
・コツコツとお金を貯める
・コツコツと投資する

ですから、お金にまつわる心理を押さえて地道な行動をすれば、
素人でもプロに勝つことは十分に可能です。






現代人が失ってしまった〇〇

お金が人生にもたらす最大の価値とは何か知っていますか?

・・・・・

それはズバリ、「自由」です。

お金が大切なのは、高級車を買えるからではなく、タワーマンションに
住めるからでもありません。
そんなものは、お金がもたらしてくれる自由に比べると
大したものではありません。

幸せの価値は人によって違いますが、誰にとっても共通する幸せの要素は
「思い通りの人生を送れること」、すなわち自由なのです。
好きな時に、好きな人と、好きなことを出来るという自由は、
お金から得られる最高の価値です。

幸福に関する調査では、幸福度が高かった人には共通する
特徴がありました。
それは、「人生を自分でコントロールしているという
感覚があること」
です。
つまり、どれだけ高い給料よりも、どんなに大きな家よりも、
好きな時に好きなことが出来る生活を送れることの方が、
人を幸せにしてくれるという事なのです。

そして、その自由を与えてくれるものがお金ですから、例えばあなたに
多くの貯金があるのなら仕事をいつ辞めてもいいし、
いつでも辞めれると考えれば上司も怖くないでしょう。
さらに多くの貯金があれば、給料を基準に仕事を選ぶ必要すらなくなり、
給料は安いけれど自分の好きな仕事をするという選択も可能です。



このように、お金が増えていくと私たちの選択肢も増えていく訳ですから、
もっとお金を貯めようというモチベーションが
高まるのではないでしょうか。

最近は、仕事が定年を迎えるより前に経済的に独立して、自分の自由を
増やそうという「FIRE」という考えが広まってきました。
FIREしたいと願っている人たちは、お金がもたらしてくれる
自由という価値に魅了された人だと言えるでしょう。

それでは、なぜ経済的に独立して自由を手に入れたいという考えが
ブームになっているのでしょうか?

・・・・・・・

それは、現代人が豊かさと引き換えに自分の時間のコントロール権を
失ってしまったからです。
自分の時間を好きに使えないというのは、幸福感に大きな影響を
与えてしまいます。
これは全ての人に当てはまることですが、いくら物質的に豊かになっても
多くの時間を仕事などに束縛されていると、
あまり幸せを感じられないのです。

現代人は、昔に比べると格段に豊かになっていることは間違いありません。
収入は増えて、自家用車は普及し、携帯電話(スマホ)などの
便利な道具も普及しています。
それにも関わらず、現代人はあまり幸せではないという調査結果があり、
不安やストレスが増えているそうです。



なぜ現代人が幸せを感じられなくなってしまったのかと言うと、
豊かさと引き換えに自分の時間をコントロールできなく
なってしまったからです。
昔の労働は大半が肉体労働でしたから、終業時間が来て工場を出れば
仕事は終わりでした。
ところが現代は、スマホやパソコンなどの便利な道具がありますから、
オフィスを出てからも自宅で仕事をすることが出来るようになりました。
つまり、昔のような仕事とプライベートの境界が
無くなってしまったのです。

その結果、自分の時間を好きなように使えなくなり、
幸福度が低下してしまい、多くの人が早くこんな生活は
抜け出したいと考え、FIREして自由を求めているのでしょう。

著者は次のように述べています。
「私たちは、少額の貯金をする度に、誰かに所有されていた
自分の未来を奪い返しているのだ」






黙ってじっと待て

お金を増やす方法は、自分で働いてお給料をもらうという方法と並行して、
貯まったお金にお金を増やしてもらう投資という方法があります。
ここからは、投資についての重要な考え方を紹介します。

投資についての考え方と言っても、投資テクニックや難しい知識を
紹介する訳ではなく、複利の力は私たちの想像を遥かに上回るから、
その重要性を認識していただきたいという事です。

複利の力を説明するために、世界的に有名な投資家である
ウォーレン・バフェット氏の投資実績を紹介します。
本書が書かれた時点で、バフェット氏の純資産は845億ドルでした。
この845億ドルのうち、842億ドルはバフェット氏が50歳の誕生日を
迎えた後に増えたもので、さらにそのうち815億ドルは
60代半ば以降に増えたそうです。
つまり、純資産845億ドルのうち815億ドル(96.4%)は
60代半ば以降に増えたものだったということです。



これがどういうことかと言うと、投資は右肩上がりに(直線的に)
増えていくのではなく、指数関数的に後半一気に伸びて
いくということです。

これこそが複利の力で、莫大な財産を築くことが出来たバフェット氏は、
投資の才能があったからだけではなく、長期間に渡って投資家で
あり続けたからでもあるのです。
もしバフェット氏が60歳で投資を止めていたら、その名が世界中に
知れ渡ることは無かったでしょう。

つまり、バフェット氏が成功した最大要因は「時間」だったのです。
ずっと長い間投資をし続けたことで複利の力を存分に発揮し、
莫大な富を築くことが出来ています。
アインシュタイン博士も「複利は宇宙で最強の力」と言っているほど
凄いものなのですが、その重要性をきちんと理解して
いる人は少ないです。

ですからここで、複利について説明しておきます。
複利とは利息の計算方法のひとつで、一定期間ごとに貰える利息を
元本に追加していく方法です。
運用で得た収益を元本にプラスして再び投資することで、利益が新たな
利益を生み、少しづつ膨らんでいくという効果が生まれます。
説明だけでは分かりにくいかもしれませんので、
具体例でも説明していきます。



投資商品の中に「インデックスファンド」というものがあり、
年間の平均リターンは3%~6%くらいで推移していますので、
ここでは仮に4%とします。
100万円をインデックスファンドに入れて、年間4%の利回りで
運用出来たとすると、1年後には4万円の利息を受け取れます。

ここで、利息の4万円を引き出さずにインデックスファンドに投入します。
そうすると、2年目には104万円に対する利息を受け取れますから、
4万1,600円になります。
そしてまた、4万1,600円をインデックスファンドに投入し、
3年目の元本は108万1,600円になります。

このように、得られた利息をずっと元本に組み入れていくと、
・10年後 = 148万円
・30年後 = 324万円
・50年後 = 710万円
・60年後 = 1,050万円

元の100万円を60年運用し続けたら、遂に1,000万円を超える力を
持っているのが複利の力です。
投資である以上、必ず4%の利回りが得られるとは限りませんが、
時間を味方につけて複利の力を活用することの凄さを
実感していただけたのではないでしょうか。
バフェット氏は複利の力を活用して大富豪になったのです。

投資における正解は、とにかく長く続けることですから、
市場からの退場(破産)は絶対に避けなければなりません。
私たちのような一般人が考えなければいけないのは、
大きなリターンを狙って勝負するのではなく、
コツコツ増やしていくことなのです。

時間というのは投資における最大の武器になりますから、
長期目線で考えながら複利の力も利用していきましょう。


終わり

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