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monogataryで投稿した、拙作の『星神楽』はモデルとなった地域がある。
それは宮崎県西都市銀鏡地区。
銀鏡と書いて、しろみ、と呼ぶこの山村に私は小学6年生のとき、住んでいた。
天孫降臨神話を背景に、星辰信仰が色濃い銀鏡神楽は、毎年12月14日に行われ、夜通し神楽舞が奉納される。
宮崎県で初の国指定重要無形民俗文化財に指定され、猪の頭を神籬に捧げる、唯一無二の神楽舞だ。

星神楽 | 物語詳細 - monogatary.com

映画「銀鏡 SHIROMI」 (shiromi-movie.com)

銀鏡地区の星空は本当に綺麗だった。
11歳のあの夏の日、あの天の川の美しさを文字にしたくて、小説を書き始めたようなものだった。
星には和名も幾つかあり、中でもお勧めするのは野尻抱影さんの本。

星三百六十五夜 春・夏 -野尻抱影 著|単行本|中央公論新社 (chuko.co.jp)

美しい星にまつわる和名につい、見惚れてしまう。
ゆにおさんが拙作を紹介していただき、星にまつわる名前の普及をしたくて、この紹介文を書いてみました。
東日本大震災のあの日の夜、星が美しくて、どんな哀しみも星が照らしたのだ、ととある記事を見かけました。

拙作、『星神楽』の冒頭部分。

星に哀しみがあるのなら、こんな残酷な世界で生きている、僕は死んでもいいだろう。
星はただ、光っているだけで、何も僕に示唆してくれない。
降るような星は掴める、と見紛うほどだった。
星々は遥か、闇の中に漂う、灯火を拾い、南十字星を導くように照らしている。
冥界の女神に支配された、天心には孤帆を宿す、星の河が流れ、尾根は暗黒の額縁を囲っていた。
山裾から覗きこむ、闇が凄むほど深い。

星を見上げたあの泣き終えた夜、満天の星だけがこの世界の悲愁を抱えてくれたような気がしました。
複雑性PTSDになって、今まで、何度も裏切られ、傷つけ合い、藻掻き苦しみましたが、星は今夜も輝いています。


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