ヒダリメの鴉 月下の迎え③
舞い上がった粉塵の向こう側で、青年の声が響く。それは分かりきったことを嘆く、感情のない音だった。
「人間は乱暴だよ。」
次第に煙が晴れてゆくと、揺れる影が濃く浮かび上がってくる。
「首が折れてしまった・・・」
青年はまた、感嘆めいた声で呟くも、緊張感の足りない声は、昼下がりのような、どこか間の抜けたのどかさを孕んでいた。私は彼の言葉と目に映る世界のグラデーションに、倒錯めいた気持ち悪さを覚えた。おぼろ気な影だった青年の姿は、いよいよ確かな線を描き出している。その姿は、異形と呼