水連

そのとき思ったことを、勢いで書いてます

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  • ヒダリメの鴉

    長編ファンタジー小説です。

最近の記事

愚策なのか?能登半島地震で批判される太陽光発電 

ヤフーニュースにて、災害時の太陽光パネルのリスクに不安が広がっているという記事を読んだ。 タイトルはともかく記事自体は、災害時に破損するとごみとして処理の難しいパネルの処理対策など、議論する必要があるといっているだけなのだが、それ以上にXなどでの批判者が見るに堪えなかった。 (以下、記事要約) 能登半島地震を受けて経産省やシャープなどが「X」にて太陽光パネルの取り扱いについて注意喚起を行った。内容は「太陽光パネルは、破損した場合でも、日の光が当たると発電をする可能性があるた

    • ヒダリメの鴉 月下の迎え③

      舞い上がった粉塵の向こう側で、青年の声が響く。それは分かりきったことを嘆く、感情のない音だった。 「人間は乱暴だよ。」 次第に煙が晴れてゆくと、揺れる影が濃く浮かび上がってくる。 「首が折れてしまった・・・」 青年はまた、感嘆めいた声で呟くも、緊張感の足りない声は、昼下がりのような、どこか間の抜けたのどかさを孕んでいた。私は彼の言葉と目に映る世界のグラデーションに、倒錯めいた気持ち悪さを覚えた。おぼろ気な影だった青年の姿は、いよいよ確かな線を描き出している。その姿は、異形と呼

      • ヒダリメの鴉

        • ヒダリメの鴉 月下の迎え

          部屋の灯りを消した時だった。また扉を叩く音がした。 「こんな時間に・・・。」 私はため息混じりにつぶやいた。きっとまたベルだろうと思った。ほかに訪ねてくる人も思い当たらなかった。部屋の電気を点けなおして、工房へ向かった。満月の四日前、広い工房を十分に照らす、青い月光がふたつの窓から差し込んでいた。私は明かりはつけずに急かす音の方へ向かい、ふと足を止めた。扉は二回叩かれた。鈍い音を立てて。その音はなぜか、不吉な音に思えた。扉の先にいるのが、彼ではないような気がした。誰かが騙して

        愚策なのか?能登半島地震で批判される太陽光発電 

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        • ヒダリメの鴉
          5本

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          ヒダリメの鴉

           目を覚ますと、日が昇っていた。どれだけ経ったのかも分からないような曖昧な朝の日差し。水槽の底に溜まっていたぬるい水の中にいるような気がした。私はベッドから起き上がって、工房へ向かった。しきりに扉を叩く音が部屋まで響いてきていた。 「なんだ、やっぱりいるじゃねえか。」 無頼のような声をかけてきたのは金髪の好青年だった。背が高く、出口を塞がれてしまう。肩から飛び出した剣の柄が、朝日に煌めいていた。 「ベル、それじゃまるで悪党だ。」 幼馴染に、私は注意じみて言った。 「それで、朝

          ヒダリメの鴉

          ヒダリメの鴉(長編ファンタジー)

          もし、世界があなたを殺すというのなら   私は、あなたのために     ―世界を滅ぼそう 男は木の根に腰を下ろした。その瞬間に男を襲ったのは、抗い知ることのない途方もない疲れだった。体の筋肉は容易く役に立たない機関に成り下がった。甘い汁が細胞の間を満たしていくように、甘美な陶酔に落ちていく。男はそうなると分かっていて、今の今まで休まなかった。意識を保つためだけに、体を動かし続けてきた。ほかに一切の目的もなく、逃れられぬと分かっていて、ただ死から逃れようと歩き続けた。歩けど

          ヒダリメの鴉(長編ファンタジー)