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愚策なのか?能登半島地震で批判される太陽光発電 

ヤフーニュースにて、災害時の太陽光パネルのリスクに不安が広がっているという記事を読んだ。
タイトルはともかく記事自体は、災害時に破損するとごみとして処理の難しいパネルの処理対策など、議論する必要があるといっているだけなのだが、それ以上にXなどでの批判者が見るに堪えなかった。

(以下、記事要約)
能登半島地震を受けて経産省やシャープなどが「X」にて太陽光パネルの取り扱いについて注意喚起を行った。内容は「太陽光パネルは、破損した場合でも、日の光が当たると発電をする可能性があるため、むやみに近づかないようにご注意下さい。また、復旧作業にあたられる際も十分ご留意下さい」というものである。
これを受けてX上では太陽光パネルを危険視する書き込みが目立っており、そこからさらに飛び火して、パネル設置を義務化した小池知事の施策が批判されている。
引用(https://news.yahoo.co.jp/articles/ea7b151a8f4f314a067a7dc1c493917771e6ee4e

一部の批判者はここぞとばかりに太陽光パネルの危険性から存在自体を批判しているようだった。
書き込みには「災害時、太陽光パネルがどれだけ危険かわかるな」や「こういうのを見ると自宅屋根には付けない方が良さそうだな」といったもの「地震の多い日本には太陽光はいらない!」というものが散見された。
地震などの災害があって破損することがあれば感電の危険があるから触らないように。と注意しているだけで、「そんな危険なものは設置すべきじゃない!」と過剰反応しているのだ。
実際、地震でどれだけパネルが破損するのか、彼らがそれを分かっているとはとても思えない。
屋根に取り付けられているということから考えて、パネルが破損する現象としてイメージするのは家屋が倒壊や大破した場合だろう。
そもそも耐久性が高いとされているパネルが、建物自体が無事で、破損しているというのはあまり想像できない。少し調べてみただけだが、地震があっても無事だった家では、むしろ停電中に電気が使えてよかったという記事をネット上で見つけることができた。
さらに少し調べると、以下の写真を見つけることができた。

引用:日本経済新聞

これは2016年に起こった熊本地震の写真なのだが、この記事では本来ここまで倒壊するはずがない新しい耐震基準で建てられた家屋で被害が大きいと報じているわけだが、写真を見るからに倒壊までいった建物でも、外観上太陽光パネルが破損しているようには見えない。もっといえば、パネルは災害時には、全てではないだろうが発電を停止するシャットダウン機能というものも備わっているようだ。今回の能登半島地震を見てみても分かることだが、倒壊するほどの家屋は比較的、築年数が高そうに思える。震度7ほどの地震であっても倒壊するほどの家屋は、それなりに築年数が経っているということは、つまり新築の住宅に設置を義務化したからと言って、感電や火災といった二次災害のリスクが、非常に高くなるということはないのではないか。もちろんそういったリスクを完全に無くすことはできないが、現状でも火災が発生している実情から鑑みれば、地震が起こったときに発生する火災などは既存設備からの発生の方がよほど高そうだ。実際どれだけ太陽光パネルによって出火するのか、そういったこと考えもしないで、リスクがあるからと言って批判するべきではない。もっとも、小池知事が進めている施策で設置されるパネルに、シャットダウン機能がつけられているのか、といったことは私は知らないので、そういったことを議論する必要はあるだろうが、Xで言われるように危険だから、太陽光はやめましょう、などという発言は太陽光パネルの危険性に対して過大評価しているとしか言えない。気温上昇を1.5度に抑えるというパリ協定の目標が到底不可能であり国連のグテーレス事務総長が、地球温暖化が「温暖化」を通り越し「沸騰化」しているというほど事態が悪化している現実に関わらず、再生エネルギーの拡充に対して彼らはあまりに無頓着ではなかろうか。環境問題でデモが起こるような海外に比べると、日本はあまり環境問題に対し敏感ではないように思われる。それは日本政府自体があまり積極的ではないというのもあるだろう。実際、伊藤信太郎環境大臣は、COP28で再エネを3倍に増やすという合意に関して、テレビにて「世界で3倍にすることは必要だ」としつつも「(日本では)3倍にできる容量があるとは考えていない」といった発言をしている。にも関わらず、この発言はあまり批判の的になっていないようだ。そこだけを見れば、伊藤大臣よりも、小池知事の方がよほど環境問題に敏感かもしれない。

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