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【2024年最新】マネジャー必読のエンゲージメント調査レポート

アメリカの調査会社であるGallup社が毎年実施している世界の職場に関する調査「State of the Global Workplace」の2024年度版を先日発行しました。

Andyコーチの個人的な想いとしては、全マネジャー、全人事に読んでいただきたいと思っています。
しかし、Gallup社のレポートは英語のみでの発信となっており、やはり日本語の文献よりも読んでいただくハードルが高いと感じています。

そこで、今回は本レポートの要点をまとめた上で、Andyコーチが考えたことをご共有できればと考えています。

Gallup社 「State of the Global Workplace 2024 Report」

原文で読みたい方、詳細を読みたい方はぜひこちらからアクセス下さい。

世界の職場全体の傾向

①従業員のメンタルヘルスの調査結果

世界の職場における従業員のメンタルヘルスに関しては大きく3つの傾向があると記載されています。

  • 孤独感の高まり
    20%の従業員が日常的に孤独を感じている。
    完全リモートワークの従業員は25%と特に高いが、毎日オフィスで働く従業員では16%。

  • 若い世代のウェルビーイングの低下
    全世代におけるウェルビーイングは前年比で35%から34%に減少している。
    特に、若い世代の従業員(35歳未満)のウェルビーイングは35%から31%へと大きく低下した。

  • エンゲージメントの日常への影響
    従業員のエンゲージメントが日常の感情へどのような影響を及ぼすかを調べた調査では、エンゲージメントが日常の感情へ大きな影響を与えることが分かった。
    エンゲージされている従業員は、仕事に対する満足度が高く、日々のネガティブな感情が少ない。
    一方、エンゲージしていない従業員は、ストレスや怒り、不安などといったネガティブな感情を持つことが分かっている。

②労働者のウェルビーイングに対する経済や法律の影響

経済や法律が大きく労働者のエンゲージメントに影響をもたらします。大きな特徴をご紹介します。

  • 労働市場のディスエンゲージメントに対する影響
    労働市場の状態が良いと労働者が感じる国では、雇用主の目標に積極的に反対するようなアクティブなディスエンゲージメントは少ない。
    経済の状況が悪く、労働市場が活発でない場合は、一部の労働者は好ましくない仕事に就かねばならずディスエンゲージメントが高まるという強い相関関係がある。
    (労働市場の状態が良いため、エンゲージメントが高まるというわけではないのがポイント)

  • 労働権の保護
    労働権の保護の強さと、従業員の現状の生活満足度の高まりは相関関係がある。
    産休が取れること、公正な賃金、社会保障、雇用の安定性、公平な待遇、職場での安全性といった要素は特に現在の生活満足度とかなり強い関連性がある。

  • エンゲージメントと未来の希望や感情
    エンゲージメントの高い従業員は未来に対する希望が高い。
    これは労働の権利が強い国でも弱い国でも同様であった。
    ネガティブな感情を持つ割合はエンゲージメントだけではなく労働の権利が強さによっても変化することが分かった。
    ただし、「楽しい」というポジティブな感情は労働の権利の強さに関係なく、エンゲージメントのみに影響を受けることが分かった。

③従業員のエンゲージメントにおけるマネジャーの役割

マネジャーとしては気が引き締まる調査結果をご紹介します。

  • マネジャーのネガティブな体験
    マネジャーはマネジャーでない従業員よりも、日々のストレス、怒り、悲しみ、孤独感などといったネガティブな感情を多く経験している。
    そのため、マネジャーの支援もかなり重要であると考えられる。

  • マネジャーがもたらすエンゲージメントへの影響
    マネジャーがチームにエンゲージしていると、メンバーもエンゲージしやすくなる。
    チームにおけるエンゲージメントの70%はマネジャーによってもたらされる。
    メンバーにとって良いマネジャーとは、チームメンバーが自分の仕事に意味と見合った報酬を見出せるように支援する。

  • ベストプラクティスの組織のエンゲージメント率
    ベストプラクティスの組織では、マネジャーの75%がエンゲージしていて、マネジャーではないメンバーのうち70%がエンゲージする。
    (世界平均の従業員エンゲージメントは23%で、ベストプラクティスとの差は明確)

日本の職場の特徴は?

本レポートでは、グローバルの地域ごとや地域の中での国ランキング、各指標の数値も掲載されています。

グローバル平均の数値と、ピックアップした日本の数値を下記の通りまとめてみました。

  • 従業員エンゲージメントはグローバル平均と比較するとかなり低い

  • 生活への評価もグローバル平均と比較すると低い

  • 上記2点を踏まえると、ネガティブな感情がグローバル平均と比較して高くなることを予想するも、ネガティブな感情もグローバル平均と比較して同等または低くなっている

https://www.gallup.com/394373/indicator-employee-engagement.aspx
  • 日本のエンゲージメント率の推移を見ると、10年以上傾向として大きく変わらないことが分かる

  • 継続してエンゲージしている人の比率は低い

レポートを読んで考えたこと

エンゲージメントが低いのに、ネガティブな感情にはつながらない理由

個人的に興味深いと思ったのは、グローバルの話ではエンゲージメントが低いとネガティブな感情も増えることが予想されるのにそうなっていないことです。
このようになっている背景をいくつか考えてみました。

雇用の安定性
ひとつは、レポートの中でもグローバル傾向で触れられていた雇用の安定性です。
労働権の強さ、つまり雇用が安定しているとネガティブな感情につながりにくいとのことでした。
日本では、欧米のように解雇されることは少なく、まだ1社に長期間勤め続ける文化も残っています。
したがって、エンゲージメントは低くても、雇用の安定性があるがゆえに、そこまでネガティブな感情につながらなかったと考えられます。

②日本人と日本企業の特性
データとして持っているわけではないですが、日本人は比較的勤勉で責任感も強い傾向があるとある書籍で見ました。
さらに、ジョブ型ではなく、メンバーシップ型である企業がまだ多いため、エンゲージメントが低かったとしても、与えられた仕事をこなすことができると考えられます。
生活のために仕事をすると割り切っている可能性もあり、エンゲージメントが低かったとしてもネガティブな感情につながってはいない可能性があると考えました。

日本のエンゲージメントの低さに対して私たちは何ができるか

日本のエンゲージメントは6%と、グローバル平均と比較してもかなり低い状態です。
あくまで結果指標であることは念頭に置いたうえで、エンゲージメント率が上がっていけば、企業も元気になり、ひいては日本経済にも大きく影響するのではないかと考えています。

Andyコーチは、Gallupに出会った2018年くらいからこの数字を毎年チェックしていて、かつこの数字を上げていけないかと考えています。
観点として、人事領域に携わる立場・マネジャーの立場からそれぞれ考えをご共有します。

〈人事領域に携わる者として〉
特に若手社員のエンゲージメントに課題感を感じてエンジニアから人事になりました。
ただ、最近強く感じているのは、人事が直接的に従業員のエンゲージメントを高めようと躍起になっている傾向が日本全体であると感じていますが、本レポートにも記載がある通り、従業員エンゲージメントの大部分はマネジャーによって影響を受けているということです。
それに気が付いた企業の人事の多くは次に「マネジャー支援」に移行していきますが、マネジメントにあてる時間の創出や補助ツールを入れたとしても、そもそもピープルマネジメントの方法を知らないのが課題と考えています。「支援」の前に「教育」が必要と考えています。

〈マネジャーとして〉
メンバーのエンゲージメントには、マネジャーが大いに影響を及ぼす。
しかも、マネジャーがエンゲージしているかどうかがまずメンバーのエンゲージメントに影響を及ぼす。
これを考えると、まずはマネジャーである自分自身がエンゲージできるように自分自身をマネジメントしていく必要があると考えています。
これはエンゲージメントをしているふりをするわけではありません。
自分自身の想いや強みを深く理解したうえで発揮し、自分が成果を出せるような環境に身を置く、行動する
当たり前のようなことに聞こえますが、多くの人ができていないことであると感じています。
それほど、自分自身だけで自分を知ったり行動することは難しいことなのだと思います。
だからこそ、コーチやメンターなどありのままの自分を壁打ちできる相手がいることには大きな意味があるのだと改めて感じました


いかがだったでしょうか。
皆さんはレポートの内容を見て何を思いましたか。
ぜひコメントで教えて下さい。

明日からあなたができること、考えてみてください。
一人ひとりのコツコツがいずれ大きなムーブメントになっていくと信じています。


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