見出し画像

ぐりとぐらから学ぶ、「食レポ」の書き方【小学生のためのクリエイティブライティング】

こんにちは。

クリエイティブ×グローバルな体験と学びをご紹介しているfinditsです。

今回のライティングワークのテーマは「食レポ」です。


食レポはなぜむずかしいのか


バラエティ番組などでしょっちゅう見かける“食レポ”。
最近のテレビは食べ物ばっかり…という愚痴はさておき、そういう番組を見ていると、「食レポは苦手で」というタレントさんが少なくなかったりと、どうやら“食レポ”にはスキルやセンスが要るようです。

「見た目よりあっさりしている」
「肉が柔らかい」
「甘すぎなくていい」

あたりが、食レポの頻出フレーズでしょうか。

いずれも突っ込みたいところは多々ありますが、(例えば、柔らかい肉が正義なのか、とか)「おいしい」以外の言葉で何かを伝えようとしている気持ちは伝わります。(なんか偉そうですね)

同じものを食べていない人に、その食べ物について説明するのはかなりハイレベルな伝達術。
テレビのような映像ですらそうなのですから、文章で伝えることの難しさったらありません。けれども、それを書くのが天下一品に上手い人がいて、そういう人が書いた食にまつわるエッセイなどは読むだけでお腹が減ってきます。

余談ですが、私は小学生の頃、食の描写がある文章だと俄然やる気が出て、テストの点数もよかったという生粋の食いしん坊。
今でも食にまつわるエッセイを読むのが大好きです。なかでもいまも活躍されている平松洋子さんの作品は、お腹すくこと間違いなしのおすすめなものばかりです。

「ぐりとぐら」のカステラをみんなが食べたくなる理由


子供達にとって身近な食にまつわる作品のひとつに「ぐりとぐら」のカステラの話があります。

大きな卵から作った大きなカステラ。たっぷりのバターで焼いたカステラの匂いにさそわれて森中から集まってきた動物たちの目の前で
きいろいカステラがふんわりとかおをだしました
という描写にこちらの心も湧き立ちます。

けれどその次のページには「そのおいしかったこと」しか書いてないのです。カステラの味そのものの説明は一切なし。意外ではないですか?

小さい頃この絵本を読んだ人は、今でもふわふわで甘くてバターのいい匂いがする黄色いカステラの味が想像できるはず。でもそこには味の描写はないのです。

あるのはその前に書いてある、カステラができるまでの描写。卵が「ベッドほどの卵焼きができそう」な大きさだったり、食いしん坊のぐりとぐらが一生懸命材料を持ってきて卵を混ぜたり、あまりのいい匂いにつられて動物が寄ってきたり…。
絵の力と合わさって、これらの過程の描写が読む人のワクワク感を募らせ、カステラが出来上がったときは、自分も動物たちと一緒になって「わあ!おいしそう!」という気持ちが盛り上がるという、巧みなストーリー展開。
まさに名作たる所以です。

事実の積み重ねで「おいしそう」と思わせる


そしてここに、食をいかに伝えるかのエッセンスが詰まっています。
見た目やテクスチャー、におい、材料、どんなふうに調理されたのか、など、事実を連ねることで結果的に「どんな味が想像できる」ようになるのです。

見た目:大きな卵はぐりとぐらより大きくて、お月様みたいな目玉焼き、卵焼きならベッドになりそうなほど。できあがりったかすてらは黄色くてふんわり。開けた瞬間「おいしそう!」と目を丸くして感心するほどのできばえ。

におい:動物たちが「カステラをつくっているんでしょう」と、やってくるほどおいしそう

食感:ふんわり(食べてる描写はなし)

材料:森で発見した大きな卵、バター、小麦粉(砂糖の記述なし。でもはいってると想像)

調理の過程:お料理好きなぐりとぐらが、小さい体で丁寧に作成。焼き上がりはじっくり直火で。

五感で捉えられることを、伝わりやすい表現で言語化しているのがわかります。
例;
おつきさまみたいなめだまやきができそう」という言い回しで、どんなに大きいかを表現
(ふたを取った瞬間)「きいろいかすてらがふんわりとかおをだしました」という文で、いかにもおいしそうに焼き上がったふわふわのカステラが想像できますね。

また、焼き上がっている間に歌をうたって待っている描写も、時間の経過を感じることができて、一層おいしそうに感じさせます。
(コトコトじっくり煮込んだスープ、なども同じ効果あり)

事実を並べて、言いたいことを伝える。食レポは、ディスクリプティブライティングの要素が詰まっているテーマと言えます。

食レポ作文にトライ!


身近だけど奥深い。そんな食レポ作文、書くと結構ハマります。ぜひトライしてみてください。

課題
好きな食べ物/今日の夕ご飯を食レポしてください。
・どんなふうにみえる?
・どんなにおい?
・材料はなにが使われている?
・誰がどんなふうにつくった?
・食べたらどんな感じ?
★ルール★
読んだ人が食べたくなるように書くと高ポイント。
NGワード「おいしい」




この記事が参加している募集