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【エッセイ#3】グランマが教えてくれたこと

 私は両親が共働きだったので、一緒に暮らしていた祖父母の影響をたくさん受けています。その時は何も思わなかったけれど、娘が生まれてから、色々な場面で祖父母の当時の思いに気付くようになりました。

■ お金を少しずつ集めていったら…

 実家には、なぜかキッチンに2リットルほどの大きさの容器が置いてありました。元々はハチミツが入っていたものです。そしてその中には、ハチミツの代わりに、1円玉から10円玉がたくさん入っていました。幼かった私は、両親のお財布から小銭をもらっては、この容器にお金を貯めるのがなぜか習慣になっていたんです。

 小学2年生くらいのとき、外国の女の子が病気を手術するための募金を募っている、というニュースがありました。うっすらとした記憶ですが、グランマにこの事を教えてもらって女の子に手紙を書き(コアラが描かれた便箋でした)、小銭でいっぱいになった元ハチミツの容器をグランマと銀行に持っていきました。

 そんなことも忘れていたころ、知り合いから新聞の記事が届けられました。私が覚えているのは掲載された一枚の写真。手術をする女の子が、私の書いた手紙を持って笑っている写真です。確か記事の内容は、寄付が集まったので手術ができることになった、というものだったと思います。たった一枚の写真ですが、自分の起こした行動が誰かの助けになったことを実感でき、それがこんなにも嬉しいことなのだと初めて感じた経験をくれました。

■ 寄付は日常生活の一部だった

 クリスマスの時期などは、ユニセフのカタログを見ながら、グリーティングカードを一緒に選ぶ、というのも自然なことでした。ユニセフの活動は何となく知っていましたが、当時は寄付のことを意識していなかったと思います。この絵は可愛いという理由で選ぶのが楽しみでもありました。

 * * *

 寄付をしなさい、という教えられたことは一度もないです。その代わり、子どものころから、自然と寄付が生活に溶け込んでいた気がします。今振り返ると、グランマはきっと意識をしながら、「寄付というお金の使い方で人の役に立つこともできるんだよ」と、実体験を通して私に教えてくれたのでしょう。
 グランマみたいにはいかないかもしれませんが、娘たちにも同じような環境を作ってあげて、困っている人の役に立つ経験をさせてあげたいです。

たくさんの家庭や子どもたちに届けるため、可愛いイラストを使ったお金の紙芝居、海外事例の翻訳など、さまざまなコンテンツを作っていきたいと考えています!