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経済的自立を目指した高配当企業の株価データ分析

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高配当企業を対象として、株価を分析する手法を統計の解説とともに具体的に提示します。 週1~2の頻度で更新します。
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【経済的自立へ向けて】高配当企業の株価データ分析 その1:変動をみる

 日本には、高配当の企業沢山あります。今日は、その中から配当利回り4%以上の企業をいくつか取り上げて、株価の推移について考察してみたいと思います。  以下は、配当利回り4%以上で、各業種の中で特に利回りが高くかつ比較的名前が売れている企業をピックアップしたものです。  結構、高配当の企業ありますよね。「この企業、こんな配当払うんだ」と思ったかもしれません。    定期預金の場合、メガバンクだと1年で0.002%の利率、ネットバングがその100倍払う!といって息巻いてますが

【経済的自立へ向けて】高配当企業の株価データ分析 その2:変動を表現できるか?

その1を見てない人は、まずその1を見てください。  前回、コロナ前の平常時(2016/7/1~2019/6/30)とコロナ時(2019/7/1~2022/6/30)に分け、高配当企業の株価変動をみました。    コロナに関係なく、ずっと暴れがちなタマホームや、平常時は暴れてたけど、コロナになって落ち着いたセゾン情報など、企業によって変動の仕方にいろんなパターンがあることが分かったかと思います。  そして宿題になっていたのは、「この変動の様子を何か代表的な数字で表現できない

【経済的自立へ向けて】高配当企業の株価データ分析 その3:変動を表現し始めよう

その1を見てない人は、まずその1を見てください。  上記は、コロナ前の平常時(2016/7/1~2019/6/30)とコロナ時(2019/7/1~2022/6/30)の高配当企業4社の株価変動を示したものです。  この変動をうまく表現するのに大変優れた統計指標があります。  それが、標準偏差です。一般にσ(シグマ)と呼ばれます。 思考停止、禁止  こういう統計用語が出てきた瞬間に、ここで読むのをやめる読者が沢山いることを私は知っています。そしてこれまでの時代はそれでも

【経済的自立へ向けて】高配当企業の株価データ分析 その4:変動をそろそろ表現しよう

その1を見てない人は、まずその1を見てください。 前回の振り返り 上記は、コロナ前の平常時(2016/7/1~2019/6/30)とコロナ時(2019/7/1~2022/6/30)の高配当企業4社の株価変動を示したものです。  この変動をうまく表現するのに大変優れた統計指標があります。  それが、標準偏差です。一般にσ(シグマ)と呼ばれます。  この標準偏差までたどりつく道のりが大変長いです。  前回、偏差平方和を使うとばらつきがうまく表現できる、でも数が増えると偏差

【経済的自立へ向けて】高配当企業の株価データ分析 その5:変動と標準偏差と多様性

その1を見てない人は、まずその1を見てください。 標準偏差の改名  前回の宿題は、 「じゃあ、標準偏差はどんな名前だったらよいか?」 でした。  みなさま、考えていただけましたでしょうか?   (宿題の文脈を確認したい人はこちら)  実はお便り沢山いただきました。どうもありがとうございます!  いろいろあったのですが、その中で私がベストと認定したのは、  「多様性」 になります。  英語で言うと、いまはやりのダイバーシティです。  これよくないっすか? 標準偏差

【経済的自立へ向けて】高配当企業の株価データ分析 その6:標準偏差を具体的にみてみよう。

その1を見てない人は、まずその1を見てください。 高配当企業の標準偏差の表  本日は高配当企業の株価の標準偏差(=たよーせい)を具体的にみていきます。  上記の表は、各業種を代表する高配当企業の2016年7月から2022年6月までの株価の平均と標準偏差を示したものです。並び順は2022年8月22日時点の配当利回りの高い順になっています。  この表をみて、何か言えることはあるでしょうか?どなたか気づいたことがあれば、お願いいたします。  と言っても、「こんな表をだらだ

【経済的自立へ向けて】高配当企業の株価データ分析 その7:変動を表現する最終兵器登場

その1を見てない人は、まずその1を見てください。 変動を表現する最終兵器 みなさま、お久しぶりです。約2週間ぶりの登場となります。 変動を表現するということで前回やっと標準偏差まで到達しました。 ※前回を復習したい方はこちら しかし、標準偏差にも問題があることが判明しました。 それは、 平均が大きいと、標準偏差も大きくなる。 ということ。 意味することは、平均が違う者同士を比較できないということ。 株価はそれこそ数百円から、数万円まで多岐にわたります。 2023

【経済的自立へ向けて】高配当企業の株価データ分析 その8:変動編 感動の最終回

その1を見てない人は、まずその1を見てください。 次の表に、各業種から利回り4%以上の高配当企業をそれぞれ1社以上選択し、その企業の変動係数を示しています。 平常時(2016年7月~2019年6月)とコロナ時(2019年7月~2022年6月)の2つの時期で、月次の始値を使って算出しています。比較のために、一番下に日経平均の変動係数も入れてます。 これを見ると、企業による変動係数の差、すなわちリスクの差が大きいことがわかると思います。 これをわかりやすくするために、グラ

【経済的自立へ向けて】高配当企業の株価データ分析 その9:関係編 はじまります。

いよいよ関係編 紆余曲折の連続だった変動編が終わり、いよいよ関係編がはじまります。 こちらは素直にいけるといいんですが…… 関係編では最終的に、「2つの株を組み合わせて劇的にリスクを下げる方法」を高配当企業を題材に使って教授いたします。 リスクさえ低ければ、怖いものはない。チャレンジも思い切ってできる。 総合格闘技でいうと、まじんの鎧を着て戦うようなもの。 麻雀でいうと、対戦相手の牌が全て見えているようなもの。 パチンコでいうと、出る台を店員から教えてもらっているような

【経済的自立へ向けて】高配当企業の株価データ分析 その10:気温と株価の関係

※登場する株式会社は全て架空の会社です。 以下は東京の2022年の平均気温です。 3月過ぎると、ほぼ同じくらいのスピードで暑くなっていってますね。 一方、寒くなる方はより急激に下がっていってます。これを見ると、夏からいきなり冬になった、というのも分かる感じがします。 次にこちらは、東京でビジネスをやっている株式会社サマーの株価の推移です。 株式会社サマーは、夏に強い人財が多い会社です。市場もそのことを知っていますが、2022年はその市場の期待以上に夏場はみんな頑張りま

【経済的自立へ向けて】高配当企業の株価データ分析 その11:関係は1つの数字で表現できる

※登場する株式会社は全て架空の会社です。 前回の宿題は、 「関係の深さ、浅さを分かりやすく表現する方法がないでしょうか?」 でした。 ※宿題の文脈を確認したい人はこちら 関係をみるための鉄則は、散布図を書くことです 以下は、東京の気温と株式会社サマーの株価を2軸にとった散布図です。 おーこれは、きれいに正比例してますね。 次にこちらは、東京の気温と株式会社ウィンターの株価を2軸にとった散布図です。 こちらは、きれいに半比例してますね。 関係には2種類あり、1

【経済的自立へ向けて】高配当企業の株価データ分析 その12:相関詐欺師

※登場する株式会社は全て架空の会社です。 相関詐欺師の手口 その1 相関詐欺師 A氏「株の保有期間と株の収益は、反比例します。数字で証明しましょう。統計の専門用語で恐縮ですが、この2つの変数間の相関係数は-0.91で、非常に強い負の相関関係があるという結果になっています。」 素直な人「そうなんですね。じゃあ売り買いは頻繁にやった方がいいんですね。」 A氏「理解がはやいですね。その通りです。」 A氏のこの主張のベースになっているデータは以下になります。 A氏も実はきちん

高配当企業の株価データ分析 その13:株価の関係はさまざま

それでは具体的に、高配当企業同士の株価の関係についてみてきましょう。 まずはじめは、日本製鉄と住友化学。 この2社の株価はかなり正の関係が深そうですね。実際相関係数も、0.93です。この2社は、コロナ時はほぼ、同じような株価の推移してきたと言えます。 次に、出光興産とセゾン情報。 こちらは、負の関係がありそうです。実際、相関係数は-0.45と、ある程度強い負の相関関係がみられます。一方が高い時はもう一方は低い、一方が低い時はもう一方は高い、という関係をはぐくんできまし

高配当企業の株価データ分析 その14:関係編ゴール。良い夫婦とは。

いよいよ関係編、三笘(日本代表サッカー選手、今一番輝いている日本人選手)とともにペナルティエリア内に入ってきました。三笘がいるので、ゴールは間違いないです。 三笘選手は一旦おいといて、前回の振り返りです。 こちらは、高配当企業22社(A~V)に日経平均を加えた全23社の、全ての1対1の組み合わせに関する株価の相関係数を示したものです。 色は以下です。 ・赤が濃くなるほど、正の相関が大きい。 ・青が濃くなるほど、負の相関が大きい。 ここで私が着目したのは、最も青が濃いと