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フィルム・コミッション直送便(66)【中編:FCといっても・・・】

前号で全国各地のFCは県庁や市役所、町役場、観光協会、商工会議所、コンベンション協会、NPOなどが設立、設置しているとお伝えしました。色々な組織を母体にしているので、同じFCという名でも目的や意義、期待する成果は異なります。

最も多いのは“観光系”でしょう。県や市、町の観光課、もしくは観光協会などです。観光系がFCを設置する狙い、期待する成果の一つは「観光誘客」と思います。作品を観た人が物語の追体験を求めてロケ地を訪れる。聖地巡礼という交流人口、関係人口の創出などを期待しています。

“シティプロモーション系“も多いです。県や市、町の広報課などです。地域を作品に登場させることで魅力の発信につなげます。イメージ戦略、知名度向上策の一つにFCを活用しているという感じでしょうか?そして、PRの効果や成果として誘客などへつなげるという位置付けです。

“映像産業”が地場産業として盛んな地域では“地場産業支援系”もあります。映像産業の支援にFCを活用することで、映画・映像作品を誘致支援するだけでなく、映像産業に携わる人材を育成し、作品にかかわり発信もできます。商工会議所など地域の事業者とも連携していることもあります。

“文化振興系”も多いです。映画は文化と明示され、地域や日本の文化、歴史、風習、伝統など脈々と受け継がれてきた有形無形の財産を作品から観ることもできます。また映画はその時代を色濃く映す記録にもなることから、単なる娯楽とは言い切れません。そう言った文化継承の一環としてFCを文化振興系で行なっているFCもあります。

最後に“NPO系”をご紹介します。上記3種類とは分類が異なりますが、“NPO系”の特徴は市民が地域づくりの一環として行なっている点です。地元の映画好きな方たちがFCの理念や目的に共感して、文化振興や地域の活性手段にFCを取り入れたりなど、“NPO系”は市民が中心となっているのが特徴です。

また、同じFCでも取り組み事項の優先順位は事情によって異なります。例えば国内の映画・映像作品の誘致支援を最優先したいFCもあれば、海外作品の誘致支援を最優先にしたいFCもあります。設立間もないFCなら地域での機運醸成をはかるのが優先かもしれません。1日の相談件数が100本ある地域と1日に1本の地域では、同じFCでも事情は異なります。

しかし、これらは“内側”の話で撮影相談を寄せる制作関係者には関係ありません。相談者は撮影支援さえしてくれたらいいのです。しかし、各FCにも事情がある。
そこでJFCでは撮影支援の基礎・基本的な支援の内容と支援の質を保証する「認定制度」を加盟FC対象に設けています。
これはJFCが定めた研修で修了したFCを認定することで、制作関係者には安心して相談できる環境を、私たちには撮影支援の質が担保できます。

FCと名乗る以上、撮影の誘致支援には基準が求められます。日本では300を超えるFCがあると言われており、そのうちの120FCはJFCが責任をもってご紹介できるFCなのです。

ジャパン・フィルムコミッション
https://www.japanfc.org/

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