東京に行ったあの子①
僕には、仲がいい女の子がいた。
父親が転勤族なので、今は、もう東京に行ってしまった。
だが、今でも、僕は彼女を忘れはしない。
あれは、中2に上がってすぐの、よく晴れた朝のことだったと思う。
沖繩から転校生が来たというので、教室はざわついていた。
そしてついにその人が教室に現れた。自己紹介で黒板に書かれた、 ”姥” という、珍しい字が目に留まった。
それと同時に、僕は少しだけ『可愛いなあ、、、、』と思った。
そして、季節は春から夏へと流れた。
みんなが恐れていた三者面談が始まり、各日放課後のこる人が割り当てられた。廊下に用意されたパイプ椅子や長椅子に居残っては、帰りがけの友達と何やら話している光景が、放課後に見られるようになった。
そして、僕の三者面談の日が来た。
ふと見ると、あの子も、廊下の端の長椅子に座っていた。
僕は、同じ長椅子に座って、話しかける。
何を話したかは、よく憶えていない。
ただ、あの子から見えないように、原稿用紙に書き殴った。
初恋が敗れたばかりなのに、もう恋をしかけている僕はふしだらだ。わからずやだ。僕に恋は訪れない。
こんなことを書いたような記憶がある。しかし、何かのドラマで誰かが言っていたように、胸の鼓動は嘘をつかない。
そしてまた、季節は過ぎた。
夏が終わり、合唱をさせられたりして、僕らは過ごしていた。
結構な頻度であのひとと目があって、どきっとしたのを憶えている。
いつの間にか冬になっていて、修学旅行の季節となった。
みんな、口々に溢れんばかりの期待を語り、その話題で教室は持ちきりだった。
そして、修学旅行の班が割り当てられた。
期待して、黒板に張り出された模造紙を見ると、なんということだろう。
あのひとが、同じ班なのである。
to be continue…___________________________
やがて班活動の時間になり、あのひとの隣に、僕は座った。
旅行の行き先は、神戸経由での京都だった。
中華街で食べる豚まんのことなどを話す。
話す途中、こっそりあのひとの目をよく見ると、、、
瞳孔が開いている?
えっ? えっ?
それからは、『Mくん!』と話しかけられるたびに、胸がときめいた。
戸惑う僕を尻目に、旅の準備は着々と進んだ。何時間も団体行動の訓練がされたし、二条城は、広いし宿から遠いからやめておこうとか、清水寺はチェックポイントだから朝早く行くことになるとか、そう言った具合に計画も立っていった。
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そして、ついに前日。
我々の期待は最高潮になり、青春といった風が、教室には吹いていた。
待ちわびている明日からの旅行についての説明があり、我々は解散した。
友達と、来たる青春について語った。
早く起きられるかが、とにかく心配だった。
その日は明日が楽しみで、よく寝付けなかった。
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