一瞬で心奪われたフィンランドプチ移住体験記 ~その5~
家事分担
女性が家事に使っている平均の調査というものがありましたので、ちょっと調べてみました。
このグラフを見ると、日本も家事をしている時間が、そんなに長くはない。(メキシコや中国がやたら長い。)ただ、フィンランドの方がもっと短いというのが、このデータで分かると思います。
家事ハック
どういう風にしてフィンランドで家事時間を短くしているのかを、私が見たベースで書かせていただきます。
フィンランド流家事ハックというところで、例えば、基本的に食洗機がない家っていうのは私が行った5から10個くらいのお家の中でほとんど無かったです。サイズは大きかったり小さかったり違うんですが、大体どの家も食洗機を持っていました。
日本だと、予備洗いをしてから食洗機に入れなきゃいけないっていうふうに考える人が多いと私は思っているんですが、フィンランドでは1日前なのか朝ごはんなのかはわかんないですけど、食べ物がカピカピに食品についたものまで食洗器に入れて洗っていました。また、ワンちゃん飼ってると、ワンちゃんに食べさせてからでも、食洗機に入れちゃうとか。
あと、遊びに行かせてもらったお家で見せてもらったんですが、洗濯機と乾燥機を導線を工夫したデザインで設置してあるおうちがありました。家事をするときにストレスを溜めないように考えられているんです。例えば、膝を曲げないで洋服を洗濯機に入れられたり、乾燥機に移動させたりできるようになっていたり。
あと、キッチンの横にダイニングテーブルがありました。ダイニングでご飯を食べたら、食器をすーっと横のキッチンにスライドさせて、持っていく手間を無くす家づくりをしたらしいです。食器をシンクに持っていくっていう名のない家事がこれで無くなったそうです。
衝撃だったのは、年末年始には一人暮らしの人でも豚を1キロオーブンで焼いて、ローストポークで食べたり、サンドイッチに入れたり、スープなどに活用したり、1回の料理を何回にも渡ってリメイクしている人がいたことです。
おもてなし料理
日本で「おもてなし」って言うと、すごくいろんなものを作らなきゃいけな いっていうふうに私は考えていたのですが、フィンランドでは違いました。「家においでよ」って呼んでいただいた時でも、楽しくて嬉しいんですけど、食事は簡素というか頑張りすぎないというかんじのことが多いなと感じました。
例えば、これは素敵な方なんですが、お友達のお家に行った時「ムース」って呼ばれるヘラジカを、ハンティンググループに入っている友達が捕ってきてくれました。
ムースは伝統的な食事です。ムースを焼いて、それとじゃがいもと人参のグリルを合わせてくれました。黒いパンには、バターとジャムをつけて食べます。じゃがいもやピクルスとジャムを食べて、この後に私が持って行ったデザートを一緒に食べたりもしました。魚のクリームスープとパンを、家族の人とホームステイしている女の子と私たちの家族で囲むっていう、なんかシンプルだけど、すごく温かくて楽しい感じでした。食事にあんまり時間を使いすぎずに、一緒に時間を過ごしたり、おやつを一緒に食べたりすることを楽しむカルチャーがあるんじゃないかなと感じました。
また、バーベキューに行っても、日本のようにいろんな焼き肉用のお肉を持っていくとはいうのは無いようで、ソーセージだけを持って行くことがほとんどでした。むしろ、パンでお腹を汚すな、みたいなことがあるらしくて、ソーセージとマシュマロを焼きましょう、みたいな感じでした。
こんな感じでちょっとずつ家事をする時間を減らして、自分の時間を作ることで、両立できたり、幸せに近づくんじゃないかなって感じました。生活のちょっとしたところに、幸せになるヒントが隠れてるんじゃないかなというふうに思いました。
保育園の食事
保育園の朝食は、だいたいオートミールか北欧の黒いクラッカーでライ麦のものがあるんですけど、それにバターをちょっと厚めに乗せて食べるというかんじでした。あと、フルーツは種類もシンプルでしたね。
ランチも、スープとパンのことがありました。日本だと、スープって副菜だからメインにならないよねっていう気がしちゃうんですけれども、スープがあってパンとレタスがちょっと出てくるとか。ラザニア・パンとか。野菜は人参スティックちょっと、みたいな。なんかシンプルだなーと感じました。
社会背景・人々の考え方で印象に残ったこと
フィンランドは個人主義だと感じました。会社のために生きているわけじゃないから、メールのレスポンスが悪くっても、効率的に働いてるから仕方がないよねっていうような感じ。
働く時間は短いけれども、生産的だと言われているようです。
あと、やりたくないことは、本当に自分がやるべきなのか考えるというふうに言ってる知人がいました。例えば介護も、先ほどの教育と似ているように、税金で賄われているので、自分の親の介護でも基本的にやっている人は少ないようです。もう介護は、訪問介護にしろ施設にしろ、国やサービスに任せちゃうという人が多そうです。
あと、食洗機に時間を使わないとかも、そうですね。日々のちょっとしたことだけど、やらないで他の人にやってもらおうとか、機械にやってもらえばいいよね、完璧に洗えなくても、みたいな。そんなところが印象的でした。
日本の食事って、とても素晴らしくて美味しいですよね。海外に行くとその日本の食事がいいなって思う一方で、フィンランドでは食事を作ることにエネルギーを使いすぎていないことが、いいなって思いました。
子供がいると、子供にはしっかり食べさせなきゃって思っちゃうんですけど、さっきご紹介したようなシンプルな食事でも、子供の身長がたくさん伸びました。だから、自分が脅迫観念を持っているほどやらなくてもいいんじゃないかな、と感じました。自分が忙しい時はやらなくて、時間がある時にしっかり作ると考えてもいいのかなというふうに思いました。
幸福感
そうやって自分の時間を作ったりだとか、本質を考えるというところに影響されていると思うんですが、フィンランドは幸せな国というふうに言われています。
2022年度版で、フィンランドは1位、日本は54位なのでだいぶ低め。北欧諸国やヨーロッパが結構上位です。
私が、フィンランドに行く前、その指標を見て「幸せな女性」から連想したことは、金銭的に余裕がある、仕事が好き、家族が最高、おしゃれ、美しい、ニコニコしているというような印象でした。
でも、実際のフィンランド人の女性はそういう感じではなくて、どっちかっていうとすごく地味で、買い物を好きな人はあんまりいませんでした。逆に、高いし、可愛いものも少なかったんです。
いつ会っても同じ服を着ているし、水に入れてもいいような雨に入れてもいいようなジャケットと毛糸の帽子と手袋をいつもしている。お団子ヘア率高めで、見た目よりも、(仕事を選択するために)大学に時間を使う。メイクもほぼしません、みたいな感じです。
フィンランド人らしいのは、ニコニコしないで基本真顔。道端で知らない人とは話さないんですね。フィンランド人バリアみたいなのがあって。そこから基本的に出ないし、あんまり話さない。だからパッと見で、幸せな人ってあんまり思わないんですよね。ムーミンのミーみたいに、ちょっとなんか怒ってるみたいな。
すごく真顔でなんだけど、なんか見た目からわからない心の豊かさがある。知的な人で、会話も楽しいし、自分の楽しみを自分の中で持ってるみたいな。本当の幸せが隠されてるかんじ。そんなのが、今の私のフィンランド人女性のイメージです。
また、結婚していなくても、パートナーとして一緒に子育てするっていうのを選択してる人もいて、そういうところも違うなというふうに感じました。
フィンランド人に聞いた幸せとは
「なんでフィンランド人は幸せなの?」って聞いてみた時に返ってきた言葉なんですけれども、「自分のことに時間が使える」とか「自分で自分の人生をドライブしています」と。「キャリアもパートナーも自分で選んでいるから。」離婚すると大変そうだからしないとかって言うんじゃなくて、結婚してもしなくても「自分でパートナーを選んでいるから」。
ちょっと私がびっくりしたのは、元々看護師さんだったけど、お医者さんになるために子供妊娠してる時に大学院に行って、お医者さんの免許を取った 女性の旦那さんが、大工さんだったこと。日本だったらあんまり無さそうな組み合わせだと私は感じたんです。
他にも、奥さんが10年くらい大学院に行って、いろんな勉強をしていて、すごく優秀な看護師さんの旦那さんが、理学療養士みたいなこともありました。
パートナーの選び方とかも、自分が彼のこと好きだからだと。考え方とか人生のスタンスが違うような人だけど、今、パートナーとしてふさわしいから一緒にいたいみたいな感じだそうです。そんなところを目の当たりにして、世間体とか親がこういう学歴な人じゃないとダメだとか、そういうのって本当に無さそうだなって感じました。
軍隊
フィンランドはロシアと国境が近くて、侵略された過去もあります。ロシアとの経済のつながりは、去年まではあったけれども(例えば現地に工場があるとかビジネスパートナーがいたっていうところがある企業活動も)、もう基本的にはやらないそうです。ロシアからガスを買わないことにしたので、電気代はすごく高くなっている。けどまあ、それは払うことができるから、ロシアと関係を断つことができて幸せなんですって言ってる人がいたのは驚きました。
ロシア関連で言うと、シェルターがあったりだとか、もしロシアが入ってきた時に逃げるところはあるんだけど、今は危機は感じていないそう。男性は兵役があって、フィンランド人は強いから、守られてる幸せってあるよねっていう風なことも聞きました。
一瞬で心奪われたフィンランドプチ移住体験記 ~その6~につづく