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六月

母の命日ではじまる六月。

わたしが成人してまもなく、母は死んでしまった。
よく働き、一日三十品目を心がけた食事を摂り、友人たちと声高らかに笑い合い、趣味を持ち、しなやかな指先とスッと伸びた背中でダンスを踊る、とても美しい人だった。

時が経てば経つほど緻密に思い出すことが増えてゆき、時が経てば経つほど、言葉にできないおもいが増えてゆく。

まぁとにかく、わたしはそれなりに元気だし、今年もお母さんのサボテンはちゃんと花芽をつけたよ、と胸の中にいる母に報告をした。