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誰も読まない映画や本の感想の文章を書く理由

今日中に書くと10ヶ月連続投稿になるらしいので、簡単に。

時々、観た映画や読んだ本の長い文章を書く。

ただし、私の場合、その文章が殆ど読まれることはない。いいねも殆ど着かないし、ツィッターにリンクを貼ってもレビュー数は100を超えるか超えないか、だ。

誰も読まない文章を書いてどうするのか、ということを考えるのは、もうmixiの時代から考えるのはやめた(mixiの時はある程度、読んで楽しい文章を書いて読んで欲しいと思っていたかもしれない)

どんなに頑張っても読まれないものは読まれない。私自身の文章の問題もあると思う。多分読みにくいしね。

私にとって、SNSで文章を書く理由は「その時にしかない想い」を残しておきたいからだ。

以前、仕事でトラブルがあった際、「なぜなぜ分析」をトラブル直後にやったのだが、その時のプロジェクトマネージャーが「今、みんなで出した意見は、全部記録しないといけない。今しか出ないものだから」と言っていて、なるほど、と思った。

どんなことも後から思い返すと、それまであったことが加味されてしまって、直後の時の感じ方とは、違うものになる事がある。

それは、良いこともあると思うのだが、「ものに触れた直後に感じたこと」は「今」しかない。

それは尊いものだと思う。そして、それは残す価値のあるものだと思う。

映画や本の解釈みたいな文章や動画を見かける時がある。作品の作られた経緯や、スタッフの考え、シーンとシーンの繋がりを面白おかしく書くような。

何十年もオタクをやっているとそういうものには飽きるほど触れてきた。

「こんな背景でこの作品は作られたんですよ」

「作り手はこんな想いで作ったんですよ」

「このシーンとこのシーンはあの作品のオマージュ」

とか。

でも、それは作り手しか知り得ない。

その解釈の文章や動画がどれだけ面白くて感心しても、作り手が「いや、そんなこと考えて作ってないですよ」と言ったら、全てが終わってしまう。

そして、そんな場面にも飽きるほど出会い、時間や人生を無駄にしてきた。

だから、私はそういうものには、もう、あまり興味がない。作品の経緯を追う解釈の多くは「間違い」で作られているのではないかという根強い不信感が有る。

自分自身で作品の経緯を追うことも、私はやめた(読んでもらう文章を書くことと同じく、こちらも一時期は追っていたこともあるかもしれない)

「間違いの無い」ものに触れたいと思う。特に映画や本は自分にとって大切なモノだから、全ては無理かもしれないけれど、出来るだけ。

何が「間違いの無い」ものか。仕事のトラブルで、なぜなぜ分析をした時のプロジェクトマネージャーの言葉を思い出す。

初めてボールを見る人が居る。

丸いと思う。

月のようだと思う。

目玉のようだと思う。

使う理由が分からないから祭祀用と思う。

人間には作れないモノだから、神様が作ったはずと思う。

それは当たり前のことを述べているだけかもしれないし、事実とは違うという点で「間違い」のことも有るとも思う。

でも、「その時に思ったこと、感じたこと」という点では「間違いが無い」。

事実と違うという点での間違いは、何かの折に触れて修正することが出来る。私は作品の解釈をする時も、「作り手はこういう意図ではないかな、と“思う”」や「“感じた”」と可能な限り、書く。

“思う”や“感じた”を書いた瞬間に、そこには「間違い」が無くなる。私が思い、感じたことは、「間違い無く本当のこと」だから。

もし、それが作り手の意図と違っていても、私は別に気にしない。そこには、「間違いが無い」からだ。作り手も多くの場合、面白がってくれるのでは無いかと思う。ボールを「私、これを初めて見た時、神様が作ったと思ったんですけど…」と言われたら面白くないですか?

でも、世間ではそういう文章をあまり見ないような気がする。上に書いたように、作品の作られた背景、作り手の想い、シーンの解釈の背景を「こういうことなんですよ」と説くようなものが溢れている。

それは「このボールというものは神様が作ったものだ」と言うことと変わらない「不誠実」なことだと、私は“思う”。

自分にとって大切な映画や本に、「間違いの無い」ものを提供したいと思う。たとえ、読まれなくても「間違いはあっても面白いもの」に隠れてしまっても、それは世界に残す価値のあるものだと思う。

だから、私は「誰も読まないかもしれないけど、私が“思う”ことを書いた文章」をこれからも投稿していくだろう。

それが、毎月、映画や本の文章を書いてきた理由です。

では、最後まで読んで頂きありがとうございました。また、次の映画か本の感想でお会いしましょう。

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