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虎に翼 第49話 それぞれの心の奥底へ

このドラマがただものではない、と感想を書き始めてからも全く失速することなく毎朝心が揺さぶられている。
敗戦国日本の法の改正とはどれだけ大きな難しい仕事だったことだろう。

人間の常識感とは、はい!今日から変えてください。と言われて変えられるものではない。ほんの少し前まで鬼畜米英、敵国と憎んでいた人たちの言うことを聞くしかない日本人の葛藤。でもそこで生まれてきた新憲法
第十四条
すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

恨みや悔しさで胸がいっぱいの心に突然知らされる「平等」
今ならば人として当然のことが、敗戦の後、突如唱えられたことを日本国民はどう受け止めたのだろうか?

寅子にとっては、初めて弁護士になった時「困っている人を救い続けます。男女関係なく」と
言い放った
寅子にとっては、その背中はパンっ!と押し出される。

正義こそ彼女の力。その力強い歩みで裁判官にしてほしいと直談判する。裁判官として採用はされなかったものの、再び飛び込んだ法曹界
そこで出会った人々は戦前と戦後の間で目まぐるしく振り回されていた。

相反する意見を戦わせる穂高教授と神保教授
どちらも正しい。というか気持ちがわかる。今見れば、神保教授の意見は、なんと女性蔑視か?と憤りもあるが、これが常識だったのだ、、女性もこの待遇は当然と思っていた世の中だったのだ、、
さらには日本人の中にはアメリカの言うことを聞かなければならない恥辱もあったはず。
正しいのか?正しくないのか?
好ましいのか?好ましくないのか?
さまざまな◯と×が飛び交う中でどんなにか皆、心をすり減らして法を改正していたのだろう。

なぜ直道さんの仇の国の人と仲良くするの?と言う花江
そしてアメリカ人のホーナーは子供達にチョコレートをたくさん持ってくる
彼もまたユダヤ人としてヒットラーの迫害を逃れてきた家族の一員だった。
消えることのない悲しみの中で自分を納得させていく人々の心の奥底も痛いほどに伝わってきた。

そして何よりも、久しぶりに再会する花岡
食糧管理法違反で検挙、起訴された被告人の事案を担当していると、、彼の弁当箱は質素な食べ物だけ、、

これは、かつてその立場で働いていた実在の判事山口良忠
闇取引を取り締まっている自分が闇米を食べてはいけないと配給食糧だけ、それもほとんどを家族に与え、自分は栄養失調で命を落としてしまう
この人のことが重なる
と言うことは、、、

人としての正しさと司法としての正しさがここまで乖離していくとは思いもしませんでした。
でもこれが俺たちの仕事ですもんね

このセリフの悲しさ、

正義とはなんなのか?
全ての国民のための法律とはどんな形をしているのか?
寅子が悩み、挑み、突き進んでいく姿を見ながら一緒に考えていきたい



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