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「Just Keep Buying 自動的に富が増え続ける「お金」と「時間」の法則」

「Just Keep Buying 自動的に富が増え続ける「お金」と「時間」の法則」(ニック・マジューリ 児島修 ダイヤモンド社)

全米屈指のデータサイエンティストの著者による、投資戦略を学ぶための本。貯金力アップ篇と投資力アップ篇の2部構成で、データの分析結果を示しながら、「どのくらい貯金をすべきか」「家は借りるべきか買うべきか」「いつ投資すべきか」「暴落時の投資法」「いつ売ればいいのか」などの問いに対して単刀直入に見解を述べている。過去の名著を引用しつつ、比較的オーソドックスな投資アドバイスをデータと共に示しているのが高評価の理由なのだろうと思う。「ほとんどの市場は、ほとんどの期間、上昇しているのだ」(253ページ)と述べ、できるだけ早く投資すべきであると述べている。ただその例外として日本市場を挙げている。非常に歯切れが良い本であるが、株式も債券も下落する場面もあるのではないだろうかと個人的には感じた。また、投資は理屈だけでなく心理的な面にも左右される。心理的な面については「サイコロジー・オブ・マネー」などの本の方が良いかも知れない。

 突き詰めれば、お金は自分が望む生活を実現する道具であるべきだ。
 これはとても重要なポイントだ。

 本当に難しいのは、お金の使い方ではなく、人生で本当にほしいものが何かを見つけることなのだ。

 自分にとって大切なことは何か?
 こんな生き方はしたくない、と思うものは何か?
 どんな価値観を世界に広げたいか?
 こうした問いへの答えがはっきりすれば、お金を使うことが簡単になり、楽しくなる。
 つまり重要なのは、「何を買うかではなく、どんな基準で買うか」なのだ。(97-98ページ)

 次の計算式は、様々な学位や自分の状況に当てはめることができる。

 学位の現在価値 = (生涯収入の増加分÷2) - 逸失利益

 税金なども考慮しなければならないが、それでもこの方程式を使えば、大学への進学がコストに見合うかどうか
簡単に試算できる。
 データを見ると、ほとんどの学部や大学院には、時間とお金をかけて(そのために学資ローンを組んで)通う価値があることがわかる。(124ページ)

 私がデータを分析した結果、転換点は3年程度が目安になるようだ。
 つまり、3年以内でまとまった資金をつくりたいなら現金で貯め、3年以上かかる場合は債券に投資することを検討すべきだ。(157ページ)

 ある実験で、被験者グループにコンピュータで作成した自分自身の「老後の想像写真」を見てもらい、それがリタイア資金の計画にどう影響するかを調べた。
 その結果、大きな効果があることがわかった。
 老いた自分のイメージ写真を見た人は、見なかった人より、(平均して)給料を約2%多く老後資産に振り分けていた。
 リアルな自分の老後の姿を見ると、長期的な投資行動が促されやすくなるのだ。(186-187ページ)

 インフレの影響は短期的には小さいが、長期的にはかなり大きくなる。
 図表14にあるように、インフレが年率2%だと、お金の価値(購買力)は35年で半減する。インフレ率が年率5%だと、購買力は14年で半減する。
 つまり、物価上昇率が比較的穏やかな水準でも、生活必需品の価格は20~30年ごとに2倍になる。インフレ率が高ければ、この期間はさらに短縮される。(189ページ)

 日本人にはあまりなじみがないかもしれないが、農地は、歴史を通じて大きな富を生み出してきた資産クラスである。
 今日、農地に投資する大きな理由は、株式や債券のリターンとの相関が低いことである。農業は、金融市場の変動に影響を受けにくい。
 また、農地は株式よりもボラティリティが低い。土地の価値は時間の経過とともにあまり変化しないからだ。(219ページ)

 最後は、オリジナル商品だ、これは優れた投資資産になりうる。
 商品(デジタル含む)の開発・製造では、他の投資資産より自分の意図どおりにできることがはるかに多くなる。
(中略)
 販路がなくても、オンラインのプラットフォームや決済サービス---米国の場合なら、ショッピファイ(Shopify)やガムロード(Gumroad)など---を利用すれば、以前に比べてはるかに容易にオンライン販売ができる。
 投資としての商品の難しいところは、事前に手間がかかり、しかも見返りが保証されないことだ。収益化までの道のりは長い。
 だが、一度商品が当たれば、ブランドを拡大し、商品数を増やすことが容易になる。
 私の場合、ブログ「OfDollarsAndData.com」からは、最初はわずかなアフィリエイト収入を得ていただけだった。だが今では広告収入や、フリーランスとしての仕事の機会も得られるようになった。
 それなりの収入が手に入るまでには何年も記事を書き続けなければならなかったが、現在ではこのブログを通じて常に新しいチャンスが舞い込むようになった。(229-230ページ)

 ほとんどの市場は、ほとんどの期間、上昇しているのだ。(253ページ)

 投資では運がカギを握っているのは事実だ。
 だが、あなたが思っている以上に、自分の将来のファイナンスはコントロールできる。
(中略)
 不運が起こる前にも後にも、それに対処するためにできることは必ずある。
 たとえば、あなたがリタイア間近で、今後の株式市場が悪い10年を迎えようとしていると不安になっているなら、次の3つの方法でマイナス面を回避できる。
・低リスク資産(債券等)に分散投資する
・市場の低迷時は、資産の取り崩し率を減らす
・パートタイムの仕事をして収入を補う(306-307ページ)

 これが、「ジャスト・キープ・バイイング」21の黄金ルールだ。
1 お金がない人は「貯金」を、お金がある人は「投資」を重視すべき
2 できる範囲で貯金する
3 節約よりも収入アップ
4 「2倍ルール」で罪悪感を減らす
5 収入アップ分の50%以上を貯蓄する
6 借金は使い方次第
7 家は適切な場合のみ購入する
8 頭金は、まず現金で貯めることを検討する
9 リタイアで大切なのはお金だけではない
10 減り続ける「人的資本」を「金融資本」に置き換えるために投資する
11 オーナーのように考え、収益資産を買う
12 個別株は買わない
13 早く買ってゆっくり売る
14 できるだけ頻繁に投資する
15 投資とは配られたカードではなく、そのカードを使ってプレーすること
16 相場の変動は必然的に発生するが、恐れてはいけない
17 暴落は(通常は)買いのチャンス
18 過度に贅沢な暮らしをしようとして大きなリスクを背負うのではなく、十分な暮らしができるお金を確実に得ることを重視する
19 どれだけ資産が増えても、金持ちになったとは感じないが、それは問題ない
20 時間ほど重要な資産はない
21 私たちはすでにこのゲームをプレーしている(394-401ページ)

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