「申し訳ない、御社をつぶしたのは私です。」

「申し訳ない、御社をつぶしたのは私です。」(カレン・フェラン 神崎朗子 大和書房)
https://www.daiwashobo.co.jp/book/b358541.html

本のタイトルも、サブタイトル「コンサルタントはこうして組織をぐちゃぐちゃにする」もなかなか刺激的である。

戦闘準備において、作戦そのものは役に立たないことをつねに思い知らされたが、作戦を立てる行為こそが重要だ(58ページ)、戦略開発の価値は完成した紙の報告書にあるわけではない(60ページ)、一部にメスを入れても意味がない(70ページ)、私の経験では、ビジネスの問題ではほとんどの場合、問題の原因をわかっている人間が少なくともひとりはいる(99ページ)、人は評価基準を達成するために評価基準自体を操作してしまう場合もある(115ページ)、98%の社員が「自分は真ん中より上」と思っている(157ページ)、マネジメントに「効果的なテクニック」はない(179ページ)、「データマイニング」なしでもわかる4つのマネジメント原理(気にかけていることを態度で示す、伝わるように伝える、臨機応変に、柔軟に、すばやく対応する、先手を打つ)(192ページ)、「マネジメント本」はまじめに読むとばかばかしい(200ページ)、なぜ「精神病質者」は偉大なCEOになれるのか(256ページ)、リーダーをトップに押し上げるのは、何が何でも成功してやる、というやる気や意志だ(263ページ)、頭を使いたくないからコンサルに決めさせる(281ページ)、
「人間性を向上させる」ことを考える(284ページ)、「私生活ならどうか」と考える(290ページ)、クライアントが最もやってはいけないことは、コンサルタントを雇って、自分たちの代わりに考えさせることだ(303ページ)などなど。

コンサル業界の内幕を暴露した本ではあるが、単なるコンサル批判ではなく、「コンサルティングにおいて重要なのは方法論やツールではなく対話である」「クライアント企業は経営をコンサルタント任せにせず、自分たちでもっとちゃんと考えるべきだ」など、コンサル業務の望ましいあり方や、クライアントとコンサルの正しい付き合い方を提唱している。

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