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銀河オーバードライブ⑨

 船の改造には四日を要した。その間、俺たちはニューロンドンの散策をして時間を潰し、誰に渡すでもないお土産などを買い漁った。エドは船にどれだけの装備を積んだのかは俺には全て把握できなかった。レイでさえ、全てを確認できたか怪しい。こうしているうちにエドとアルフレッドに別れを告げる時が来た。
「寂しくなるな。一週間、君たちがいて楽しかった」
 ロンドン宇宙港のポート、俺たちが船でこの星を旅立つ前に俺たちはその場でエドとアルフレッドに別れの挨拶をしている。エドがとても寂しそうにこう言った。
「私も寂しくなります」
 続いてアルフレッドも感想を言ってくれた。彼はもしかすると、エドよりも悲しげかもしれない。
「僕たちも寂しいです」
 レイがエド達にこう返した。レイもとても寂しそうにしている。
「また連絡します」
 セイジも同じ思いのようだった。セイジはいつの間にか、エドの連絡先を聞いていたようだった。

「ありがとうございました」
 俺は単純だけど、一番思いが伝わる言葉を使って挨拶をした。俺もエドとの別れが寂しかった。
「じゃあな。君たち…… 、おっと、いけない。大事な物を忘れるところだった」
 そう言って、エドはポケットからデバイスを取り出した。よく見ると市販の物よりも無骨になっている。
「君たちのデバイスだ。返すのをすっかり忘れるところだった。改造を施してある。銀河系一つ分の広さならどこでも通じるようにしておいた」
 それは、俺たちがエドと出会った時に壊れたレイのデバイスだった。どうやら本当に直してくれた上、グレードアップまでしてくれたらしい。
「ありがとうございます!」

 レイはとても嬉しそうに自分のデバイスを受け取った。しばらくの談笑の後、俺たちは街で買ったお土産やエドから貰った今後の旅路で必要そうな道具といった荷物を持って船へと乗り込んだ。船に入るとエドが改造してくれた様々な箇所が目に見えた。以前まではなかった装置が空きスペースに詰め込まれていたり、緊急時の脱出ポッドも強化されているようだった。操縦室へと入ると、今まで無かった計器が新たに取り付けられている。エドから説明を受けたレイが確認しながらスイッチ類を押していく。

「エンジン順調! 問題なし。よし、行くよ!」
「オッケー」
「了解!」
 船のエンジンが起動して、出航するためのセッティングをレイが続ける。船のエンジンは順調でエンジン音を聞いていると今にも飛び立ちたいと船が言っているような気がする。窓から下を覗くと、船の横にはエドとアルフレッドがまだ見ていてくれた。
「出航!」
 船が離陸した。俺とセイジは下の二人に手を振った。向こうもそれに気づいたのか手を振り返している。ありがとう。俺の心は彼らへの感謝の念でいっぱいだった。街からどんどん離れていく。しばらくすると宇宙空間へと突入していた。

「これからどこへ行く?」
 俺が二人に尋ねた。二人は直ぐに結論を出したようで、セイジが、
「まあ、ひとまずあっちまで飛んでみようぜ」
 と窓の外を指さしながら答えた。レイもそれに同調する。俺もそれに従った。俺たちは特に行き先を決めずに通常速度で航行を開始する。さっきまでいた星がとても綺麗に見えていた。

(続く)

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