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『DXには経営層のコミットメントが不可欠だ』(酒井真弓)

 日本の中小企業は、社内にシステムに精通した人やプロジェクト・マネジメントのできる人材が不足していて、システム開発をベンダー企業に頼らざるを得ないところが多いといいます。

 中には要件定義(※)の段階からベンダーに丸投げしてしまうケースもあるようで、あたかも開発するもの自体をそっちで決めてくれと云っているようなものです。

 DXレポートは、こうした背景には経営者のDXに対する危機意識の低さやコミットメントの弱さがあると指摘しています。

 加えて、米国の経営者は自社の IT システムの現状をしっかり把握し将来へのビジョンを示さなければならないという意識が高い一方で、日本の経営者は必要性を理解しつつも敬して遠ざける姿勢をとる者が多いとの報告もあり、これでは経営そのものを放棄していると云われても仕方ありません。

 DXの推進では、デジタル技術を活用していかにビジネスを変革していくかという経営者の強い覚悟と高い戦略性が問われます。そして、その皮切りには経営者自らが社員にその戦略を明確に示す必要があります。

 デジタル化時代の経営者には、ベンダーのように開発技術に精通する必要はないにしても、そうした人材を使いこなす程度のデジタルに関する知識やスキルが求められています。

 酒井(2021)はそうした経営者の最低限の資質として「エンドユーザーの普通の感覚」を挙げています。

※「どのように開発して欲しいのか」というシステムに組み込む要望のこと。


参照:酒井真弓,2021,『ルポ日本のDX最前線』インターナショナル親書及び経済産業省・デジタルトランスフォーメーションに向けた研究会「D X レポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開」

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