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『一人の顧客を起点に商品やサービスの新たな可能性を考える』(西口一希)

 多様な企業でマーケティングに従事してきた著者は「お客様が最も大事」としながらも、実際にはマーケティングがお客様起点になっていない企業が意外と多いと云います。
 
 果たしてそうしたお客様起点のマーケティングと何か。本書では、それを一人のお客様(=N1)※を徹底的に理解することから有効な打ち手(=商品やサービスの新たな可能性)を導き出して拡大展開し、その動きを見ることで効果検証までするものと定義し、これを“N1マーケティング”と称しています。

 この場合のお客様とは、データによってある意味で無機質化されたペルソナ(想定顧客)ではなく、あくまでもあなたの知りたい特定の一人(現実顧客)であることがポイント。そうしたお客様に対して通り一遍のアンケートにお答えいただくのではなく、直接お会いしてじっくり・深く心のうちをお聴きする。著者の経験上では10人程度のお話しが聴ければ概ねその思いは探り出せるようです。

 マーケティング・プランを立てる際には、机上であれこれ思い悩む前に、現状把握のためN1から直接お話を聴くことから始める。その上で、たとえばそのお客様のカスタマー・ジャーニー・マップなどを描いてみるのも効果的です。

※  本書では、事前の簡易な調査によってお客様を「ロイヤル顧客」・「一般顧客」・「離反顧客」・「認知・未購買顧客」・「未認知顧客」の5つに分類した上で、その中からN1を選び出す流れが紹介されています。

参照:西口一希,2020,『たった一人の分析から事業は成長する 実践 顧客起点マーケティング』翔泳社


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