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不思議な世界 続々

ただ作っているだけじゃない。そう、思っていた。今もそうなんだけど、うまいこと運ばない。慌てているのか、呆けているのか分かりにくい。一番の勘所も忘れてしまうこともあるし、そんなバランス感覚を欠いた生き方であると思う。やればやるほどまともでいられないということhないが、無理が祟っているのかわからない。建築をやっていると日々がドラマチックで、人との会話ややり取りだけで、物語が作れそうだ。人情に触れることもたくさんあるし、不甲斐ない自分に落胆してる暇はないけれど、日々いろんな出来事に出くわす。これぞ望んだ生活だというわけではなかったが、少し深呼吸する時間も最近は大事だなと感じる。何もしないでここにいるわけじゃないが、自分の時間を取り戻す。自分への信頼を取り戻すことが肝要で、それがないとどこか落ち着かない人になってしまう。
今朝も職人さんから電話があり、ある大工さんの話をしていた。お金にまつわる話ではあるが、その大工さんは、テイカーだという話なのだが、それは私とその電話の人しか詳しくは知らない。私はもう久しく話してもいないが、それが原因でもあり、自分が原因でもあるが、おそらくこの先話すようになっても仕事をお願いすることはまずない。もう、ないことになっている。仕事やお金を通して、今まで経験のなかったことが毎日雨のように降り注いでくる。人によってはそのストレスに耐えれないかもしれない。昔は私もそうだったが、随分と図太くなってきたのかもしれない。テイカー大工さんの釣りの話や、彼の口癖の話に、お金は出口が本当に大切だなと実感した。予算があって、それで材料や人の手配、残ったものが利益になるという普通のことだけど、その大工さんはちょっと違う。多くの人がそうなのかもしれないが、人生がつまらないと感じている人は似たような所があるようだ。幸い自分はつまらないと感じてない。貧乏ではあるが、それなりに楽しみもなくはない。効率よく生きるということがいかに空虚なものかその大工さんから学んだ所がある。建築や人生について、師についていないので、体当たりで効率が悪過ぎて、身を滅ぼす寸前だったが、なんとかギリギリの所で踏みとどまっている感じはある。何か見えない意志が働いてそういう状況になっていて、これが自分の成長を促している。その大工さんと対極にいるが、自分はついている。そう思う。もう少しでそこにたどりつけそうだが、あと一つ何かが足りない。あと一歩もう一歩踏み出すことができれば、人としても、自分が作る建築も一皮剥ける。

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