見出し画像

スポーツ法学@オンライン第7週 東京五輪2021や欧州CL決勝とCFGのアジア進出の今後の課題を法律面から探る

ついにミラノで過ごしていた日数を、日本に帰国してからの日数が超えて光陰矢の如しを実感しております。第7週では東京五輪や欧州CLなどのビッグイベント、そしてアジアサッカー界を法律面から学びました。さらに35回目の誕生日にはクラスメイトからすてきなプレゼントが届き、昼からうれし泣きでした。

東京五輪のワクチン問題にドーピングはどう絡むか

1年間の開催延期となった東京五輪がこれからどのような課題に直面するのかについて、IOC委員も務める講師に私も含めて多くの質問が飛び交いました。その中から特に気になった話を紹介します。

大会パートナー企業のアクティベーション期間が1年延長されたので、新たな施策を考えることができると考えられるのが理想ではあるものの現実的にはその費用工面に誰もが苦戦しています。既に進行している他の企画の予算を引っ張ってくるにも、その企画のクライアントへの補償はどうするのか等々課題は山積みです。ひとつずつ解決していくしかないものの、本当にオリンピックが来年開催されるのかが未定だから動きが鈍くなりがちであり、それでも種まきはしなければ、という自問自答な状況とのこと。

次にチケットの返金作業について。オリンピックほどのイベントだとこれまでは観戦チケットの購入者が観戦を取り止めて返金を希望することが稀有だったため、主催者側が返金対応に慣れていないという事実が発覚。しかし今回の延期によって断念せざるを得ない人が多発する可能性があるため、返金作業のスペシャリストが必要になっているようです。

最後に私がふと気になって質問したのがワクチンとドーピングについて。まず海外から日本へ入国するにはワクチン接種が必要となるか否かは日本政府の意向次第というのは知っていました。この場合、選手もワクチン接種が必要なるのは理解できるのですが、果たしてワクチンにドーピング検査に引っかかる成分が含まれていた場合はどうなるのかと質問しました。すると、今は残念ながら話がそこまで進んでいないものの、ワクチン開発が通常より急ピッチで進められているため、上記の課題について細心の注意を図る必要あるとのことでした。

欧州CL決勝戦のブランド価値を維持するには「独占放送権」は最適なのか

個人的には2000年あたりからサッカー界の世界最強決定戦はワールドカップから欧州チャンピオンズリーグ(欧州CL)に移行したと思っています。ボスマン判決によってクラブチームの強化が進みまくりましたし、欧州CLアンセムはサッカーファンなら誰もが一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。

そのUEFAのクラブ大会における独占代理店であるTEAMマーケティングの方がこれまでの取り組みを紹介してくださいました。

まず、メディア露出時において「UEFAチャンピオンズリーグ」という呼称を徹底したことで「チャンピオンズリーグといえばヨーロッパ」というイメージが根付いたとのこと。これはサッカー界のみならず、他の競技でも「チャンピオンズリーグ」という名称の大会はあれど、世の中的には「チャンピオンズリーグ」と言えばヨーロッパが浮かんでくるのは事実かと。

そして欧州CL決勝戦の開催地では多くのイベントが試合3日前から開催されるため、自治体の理解と協力が不可欠とのこと。逆に言うと、決勝戦を開催したい地元の組織委員会は招致レースに勝つには地元の自治体の完全バックアップが大前提。数万人規模の観光客が見込める一大イベントに成長して事業としては好循環な反面、制約が増えまくっているとのこと。例えばアンブッシュマーケティング対策のために多くの人員が必要になっているなど。

最も気になったのが、有料チャンネルとの独占放送契約によって放送権収入は右肩上がりな反面、より多くの露出が期待できる無料放送局での露出が減ってしまったこと。サッカー界では頂上に君臨するイベントではあるものの、エンタメ産業と顧客の奪い合いになると新規顧客を増やしてパイを広げる必要があります。このため次の契約では放送権を現行の独占契約としてセールスするよりも、露出増により注力すべきなのか検討中とのことでした。

CFG傘下クラブ同士の対戦は利益相反になるの?

今春までアジアサッカー連盟の法務担当を務め、現在はスイスにて弁護士として独立した方の講義ではアジアサッカー界のガバナンスの複雑っぷりについて学びました。特に西は中東、東は極東やオーストラリアと様々な文化、宗教、言語、タイムゾーンの国々が集うため、意見の集約とその調整が難しいということ。

中でも気になったのが、八百長行為がなぜ問題なのかを教育しなければならない地域があるということ。自分にとっての「普通」や「当たり前」が隣の国ではそうではないこともある、とはいえ八百長についても同様とは驚きでした。ちなみに某代表チームは八百長行為の撤廃に成功したことで競技成績が向上したチームがあったとか。

これは喜ばしいことではあるものの、ふと選手たちの待遇は改善されたのかと気になりました。八百長問題の難しいのは、薄給の選手が標的になりやすいことです。どんだけ頑張っても待遇が改善されない状況において、目の前に札束を積まれたら飛びつきたくなる人の性を八百長フィクサーは上手に突いてきます。デクラン・ヒル氏の著書にも書いてたなー、と思ったら講師の方もアジアサッカー界の発展を八百長が妨げていると指摘していました。

最も気になったのがオーナー企業が同じチーム同士がAFCチャンピオンズリーグ(ACL)で対戦するのは利益相反に当てはまるとのこと。オーストラリア人の友人と私が立て続けに質問をしたのがシティ・フットボール・グループ(CFG)傘下のクラブのケースです。

ウィキペディアによると(ソースがwikiですみません)CFGはメルボルンシティFCの株式を約70%保有している筆頭株主ですが、横浜Fマリノスの株式保有率は約30%で状況は異なるので両者の対戦は利益相反に当てはまるのか否か。もしくは持株比率とは異なる評価基準があるのか。本件に関しては様々なケースが想定できるため慎重に、ひとつひとつクリアしていかなければというモヤモヤ感が残る解答でしたが、それだけに現在進行形な課題であることが確認できました。

何よりもアジアの経済発展に期待してサッカーへ投資する外資系企業(コロナ禍でどうなるか不安ですが)の受け入れ態勢を整えるには、今後多くの課題が生まれるのでしっかりとした対応が求められる反面、スピード感も必要だなと思いました。

昼から泣いた想定外なアラフォー誕生日

画像1

コロナウイルスの影響で授業が7月中旬の卒業まで完全オンライン化してしまいクラス中が世界中に離れ離れとなってから2か月半。それまでは誰かの誕生日にいつも開催していたパーティができなくなったので、今はクラス全員からお祝いのビデオメッセージをプレゼントしています。

その映像編集を私が担当していたので自分の誕生日はどうなるんだろう・・・当初はヌーシャテルの湖畔で昼から飲んでは湖にダイブしようと思っていたのに・・・と思っていたら別のクラスメイトが編集してくれたビデオが届きました。編集作業にかけた時間を考えるだけでも泣けてきますし、半年しか共に過ごしていないのに、すぐに心が通じ合った同志たちから祝ってもらえたアラフォー初日は昼から嬉し涙に溢れました。

今の状況では授業の内容よりも、みんなの顔が見えることがオンライン授業の楽しみであることは紛れもない事実です。そのため授業が楽しければ楽しいほど、授業が終わってパソコンを閉じる時に会えない寂しさが募ります。とはいえ明けない夜は無いことを信じ、再会した際にはたくさん笑い合えるよう、卒業研究の提出締め切りまでの残り45日をガンバります。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?