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ミラノ第5週 フェラーリの哲学とバルサのイノベーション路線とカタールの環境宣言とミラノデルビー

今週は会計の試験があったので授業は少な目でしたが、フェラーリ訪問だけでなくゲストスピーカーの方も豪華だったり、ミラノデルビーへ行ったりてんこ盛りでした。会計の試験については割愛しますことご了承ください…

最高の車は次の1台

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企業のブランディングや人材育成について学ぶためモータースポーツやスポーツカーなどに詳しくない人でも知っているであろうイタリアが世界に誇る「フェラーリ」社を訪問しました。

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玄関に入るとまず目に入ったのが上記写真。創設者である故エンツォ・フェラーリ氏による「最新のフェラーリこそ最高のフェラーリであれ」という常に成長と進化を求め続けるフェラーリ社の4,000人以上もいる社員全員に共有され続けている精神とのこと。フェラーリ社は常に需要より少なく生産することで「プレミア感」を生み出していることが有名らしいのですが、常に成長を求める職人精神にも感銘を受けました。

また、F1チームの協賛企業は「スポンサー」ではなく共に成長する「パートナー」と認識しているとのこと。セールスをするにあたっても「フェラーリというブランドを通じていかにパートナーがセクシーになれるか」を意識し、それは「新聞のスポーツ欄ではなく表面を狙う」という「スポーツ以上の価値を生み出す」ことが「永続するブランド」であり続けるポイントだそうです。これはまさに昨今よく耳にする「サステナビリティ」ということでしょうか。

さて、F1界もファンの男女比率は6:4であり、女性ファンの開拓は必須だそうで、その一環として以下のようにネットフリックスなど異業種とコラボすることを意識しているそうです。

F1やフェラーリの「物語」を多種多様なパートナーや顧客と「共有」することが長期的な関係を築くことの「大前提」だそうです。F1にてフェラーリが最後に年間の車輌製造者ランキングで優勝したのは2008年ですが、優勝しなくてもフェラーリは世界最強レベルの「ブランド」であることが物語っています。ふと、「これって川崎フロンターレのことじゃね?」とも思いました。

とはいえ異業種とコラボするにしても、特定のサッカークラブとはコラボしないのはサッカーとF1とではファンの気質が異なるためだそうです。サッカー界はF1界と比べると特定クラブを応援する方がライバルチームに抱く嫌悪感が大きい傾向が強いため、例えばACミランとコラボするとライバルのインテルミラノを応援する層が離れてしまう恐れがあるとのこと。

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社員教育の一環として大学院への留学制度や、社員のお子さんのサマースクールも自前で用意しているなど福利厚生も大変充実しているフェラーリ。実数は教えてもらえませんでしたが、離職率の低さと勤続年数の長さの秘訣は高給以外にも多々あるそうです。

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最後に、フェラーリ社が提供してくださった昼食もさすが美食の国だけあって、めっちゃうまかったです。

圧倒的なフェラーリ博物館

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昼食の後は併設されているフェラーリ博物館を見学。F1に詳しくない私でも多くのF1カーが展示されている模様は素直に「フェラーリってかっこいい」との印象を受けました。これもまたブランディングの一環としては大成功な取り組みかと。ちなみにフェラーリの車体は基本的に赤ですが、「フェラーリレッド」は何と20種類以上もの種類があるそうです。

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博物館の最後には定番のグッズショップですが、フェラーリも英国プレミアリーグ勢と同じく英才教育グッズがありました。とはいえさすが世界最高のブランドだけあって高価だったのには苦笑いでした。

FCバルセロナの収益拡大戦略は「イノベーション」

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FCバルセロナのChief Strategy & Innovation Officerを務めるハビエル・ソブリーノ氏による「成長を永続させる取り組み」に関する講義ではバルサの「収益拡大戦略」を学びました。1学期に英国レスターで訪問したマンチェスター・ユナイテッドは世界規模のマーケティング路線、マンチェスター・シティは世界規模のグループ化路線、先日訪問したユベントスは異業種とのコラボ路線でした。

そしてバルサは「イノベーション路線」とのこと。男子サッカーを筆頭にバスケットボールやハンドボールなど「FCバルセロナ」として活動する全14チーム(プロ5、アマチュア9)に所属する2,000人以上の選手たちからデータを集めて効果的なトレーニング方法を模索したり、経営手法を生み出そうとしているようです。

ビジネス面では先進的なデータ分析や活用をしている企業とコラボすることで新たな価値を模索しており、1月にはオーストラリアにてテニス全豪オープンを訪問して新たなパートナーを探すなどまさに世界規模。

他にも「バルサ・イノベーション・ハブ」と言う独自の取り組みがありますが、こちらの詳細は現在FCバルセロナと提携しているJohan Cruyff Instituteに通われている渡邊宗季さんのnoteをぜひご参照、フォローください!

世界初カタールスターズリーグの「カーボンニュートラル」宣言

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カタールのプロサッカーリーグ「カタール・スターズ・リーグ(QSL)」の競技力発展と同リーグの永続した成長(サステナビリティ)の責任者であるAhmed Abbassiによる講義ではまず最初に「何事も目的意識を持つこと」の大切さを教わりました。

例えばカタールは2022年サッカーW杯を通じて同国の存在感を世界にアピールするだけでなく、同国内のインフラ整備などにも努めています。そして多くの世界的スポーツイベントを開催している同国ですが、イベントを開催する度に自然界に大きな負担が発生しているのが懸念事項とのこと。

スポーツを通じて社会問題を解決するために、QSLはカーボンニュートラル化の実現を目指すことを発表しました。参加チームとの折衝は大変だったとのことでしたが、世界規模の課題にカタールが率先して取り組むこと、何よりも同国の永続した発展というブレない「目的意識」を全チームと共有できたことが実現に向けての最初の一歩となったとのこと。

豊富な資金力をフル活用して一方的に開発を続けている印象が強いカタールでしたが、スポーツを通じて発展の先にある「サステナビリティ」の実現に向けて取り組んでいる事実に驚きました。リーダーたる者、広い視野が大切だということはカタールが良い例かと。

試合は最高だったけど・・・なミラノデルビー

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週末にはミラノを本拠地とするインテルミラノとACミランのダービーマッチ「ミラノ・デルビー」を観戦しました。75,000人以上の観衆が集まった大一番は前半で2点を先制されたインテルが後半に4点を取り返しての大逆転勝利。

多くのゴールが決まり試合は盛り上がったものの、指定された入場ゲートを通過してから客席までスタジアムを1周近く歩く必要があるなど試合運営にはガッカリする部分がありました。英語を話せる係員の方に理由を聞いてもダービーマッチだから両チームのサポーター同士の衝突を避けるために通路を限定しているわけでも無く、ただそういうものだという返答には言葉が出ませんでした。

他にもジュゼッペ・メアッツァ(サンシーロ)は世界有数の歴史があるスタジアムですが、古くもあるため座席は小さく、通路は狭いので座席までの移動が中々大変です。

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満員のスタジアムが生み出す迫力と多くのゴールで試合はとても楽しかったですし、何よりも由緒あるスタジアムなのは事実。スタジアムの「格」はお金で買える物ではなく、歴史の積み重なりによって誕生するものなので、どうか現在議論されているらしい老朽化した同スタジアムを取り壊しての新スタジアム建設が実現しないことを願っています。

おそらく取り壊しての新スタ建設よりも多くの資金が必要となるかと思いますが、現スタジアムの外観を残したまま、バリアフリー化や客席のスペース拡大など内装のリノベーションが実施されることを望みます。

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上記写真はインテルが0-2から2-2同点に追いついた直後にACミラン側のファンが発煙筒を焚きまくった時のものです。日本では実現してほしくはないですが「これぞミラノデルビー」という迫力を最も感じた瞬間でした。

我が家にてクラス会

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今学期のミラノでは、クラスのほぼ全員が寮生活をしていた1学期の英国レスターとは異なり、ルームシェアや一人暮らしなど別々の家で暮らしているため毎週誰かしらの家に集まっています。

そしておそらく撃沈したであろう会計の試験の夜は、ルームメイトたちと4人で暮らす我が家にて開催されました。家族や恋人を含め、32人いるクラスの大半が集い、私を含めて試験の直後は気持ちが沈んでいた数名も気がつけば笑いが絶えない最高の時間を過ごすことができました。

次週の講義はスポーツマーケティングが中心となります。そして週末は学生時代から憧れ続けているバルセロナに行く予定です。引き続きガンバります!

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