食後の一時_スカーレン大池カブース

ふぬけ

#10年前の南極越冬記  2009/10/25

ちょうど10年前になる。当時、僕は越冬隊員として南極にいて、こんなことを書いていた。

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1ヶ月半の野外連チャン生活が落ち着いてから約2週間が経った。長い間基地を留守にしていた分、51次の受け入れ準備や持ち帰り物品の整理、観測データの整理、執筆の依頼など色々と仕事が溜まってしまった。加えて長く続いた緊張生活から解放された反動からなのか、少々フヌケのような状態になってしまったせいもあり、この2週間はちょっとばかり気持ちのコントロールが難しかった。

「フヌケ」といえば、南極から帰ると多くの隊員が同じように帰国後暫くの間「フヌケ」になるらしい。南極症候群、なんて呼ばれている。「今のうちからプチ南極症候群にかかっているようでは、帰国後大丈夫なんだろうか?」と少々不安になるが、こういうときは何と言っても単純肉体労働に限る。

そんな中、うまいこと今週は「当直」と「環境当番」が回って来た。当直は日替わりでだいたい月に1、2回のペース、環境当番は週代わり、二人ペアで2ヶ月に1回くらい担当が回ってくる。「当直」の主な仕事は、食堂&厨房&風呂&便所の掃除、食事の配膳&片付け、ゴミ捨て、ミーティングの司会、あとは曜日ごとに決められた場所の掃除なんかがある。「環境当番」の方は、厨房から出た排水のグリース・トラップ(油と残飯を分離する装置)の清掃、便や排水をバクテリアなどで処理した後の汚泥の運搬、ゴミ集積場の掃除だ。グリース・トラップの清掃なんかは結構ニオイがキツい仕事で、二人ペアでやらないと、ちょっと気が滅入る仕事だ。加えて僕の担当の地学関係倉庫の荷物整理もあったので、なかなか良いリハビリになった。人それぞれだけど、僕は結構この手の仕事は好きだ。

野外生活でも同じように、担当がある。リーダーの他に、装備、機械、医療、食糧、通信、環境保全、気象、記録という仕事があって、野外パーティの人数に応じてリーダーが担当を割り振る。特に食糧なんかは、普段の基地での担当と違った仕事になるので、メンバーそれぞれの個性が出たりしてけっこう面白い。僕が食糧をやると、如何せんどうも量を多く作りすぎてしまう。だいたいそうなると、良く食う人が急遽「裏」環境保全に任命されて胃袋で処理、もとい環境保全活動にあたることになる。

僕は「裏」環境保全に当たってしまうケースが多い。量だけならともかく、まずいものを大量に作ってしまうと自分もエラい目にあうので、食材のご利用は計画的に・・。

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