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2021年刺さったアーティスト Part.3

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 皆さん、いかがお過ごしでしょうか?僕は不朽のエロゲ「G線上の魔王」が良すぎて絶賛ロス中です。宇佐美ハルちゃんがかわいいです。今年のクリスマスも虚無なのはいつものことですが、年末は例の「Summer Pockets」聖地巡礼&直島で同志と年越しなのでプラマイゼロというかプラスです。Ryotaです。

 というわけで全5回を予定している「2021年刺さったアーティスト特集」ですが、やっぱりこんなことなら月一でこまめにアップデートすればよかったなって後悔してます。それは今 #今年の9枚 を選出しようと悩んでいるみんなと同じ気持ちだと思いたいです。

 というわけで今回もやっていきます。

1. Hollow Front / Trading Water (シングル)

 アメリカ・ミシガン州グランドラピッズ出身メタルコアバンドの新曲から。昨年末に前回取り上げたLike Moths To FlamesやInvent Animateと同じレーベルのUNFDに移籍してから2枚目のシングルです。昨年フルアルバム「Loose Threads」を取り上げた時にも、元来持っていたダウンチューニングを交えたうねるようなグルーブは損なわずに、同郷のSleep Wakerを彷彿とさせるチャグいニューメタルコアからクリーンボーカルを増やしたメロディックメタルコア路線にも着手したという話はしましたが、今回もその延長線上にあります。

 楽曲のタイトルの意味通り、曲の内容は「ネガティブな感情に押し潰されそうになるも闘い立ち上がって行く事を歌った」とのこと、バンドが発表してきた楽曲の中でも自信作とのことでメロディックなリードとリフ、最後の叙情的なギターソロ、全ガロング必須のコーラスなど、かなり熱い曲になってるので腕が腱鞘炎になるまでメロイックサイン掲げましょう。

 また、大々的に公式でのアナウンスがあるわけではないですが、来年フルアルバムが出るとか噂されてるのでめちゃくちゃ楽しみですね。あとこのバンドのドラマーDavin Attardの手数は本当にとんでもないです、あれで21~2歳は化け物でしょ...


2. sunsetinfall / Out of Sight, Out of Mind (アルバム「PLACEBO」収録)

 東京発オルタナ・スクリーモ・ポストハードコアバンドの1stフルアルバムから。以前からバンド名は知っていたのですが、今年7月のAFTERGLOW(次回取り上げます)の解散ライブで初めて生で観ました。それから9月に大阪に遊びに来てくれたりもしたんですが、ずっと笑顔でぶちあがりましたね。Underoath, Saosin, The Story of So Farあたりの2000年代初頭の黄金期エモ/スクリーモをモダンにアップデートした音楽性、Pay money To my Painとヒップホップetc.から多大な影響を受けたVo.のMarmot.Central.Nervous a.k.a. マッチャンの裏表のないエネルギッシュなパフォーマンスには定評があります。

 今回満を持して1st フルアルバムを出したのですが、まず最初に思ったのが「自分たちの好きな音楽・やりたい音楽を楽しんでやっているなあ」って思わず笑顔になってしまいました。それは前述の音楽性やアルバムにも収録されているFinchのLetters To Youのカバーやメンバーの人柄もそうですが、何よりも取り上げたPVの「Out of Sight, Out of Mind」からも伺えます。ライブでもPVでもあんなに笑顔で上がる曲聴いたの久しぶりだったので。

 辛いときや落ち込んでるときに聴くと思わず悩んでいたこととか吹っ飛んでしまう、そんな印象の強いアルバムです。


3. Void of Vision / VAMPYR (EP「CHRONICLES I: LUST」収録)

  オーストラリア・メルボルン発ニューメタルコアの新しいEPから。コロナ禍直前に2019年リリース「Hyperdaze」のアルバムを引っ提げて来日ツアーを行うタイミングで知ったのですが、モダンなダウンチューニング・ニューメタルコアを軸にしながらも、「Hole in Me」のような時折初期のSlipknotの意識した若干オールドスタイルな打ち込み要素を取り入れたり、「If Only」のように同郷のNorthlaneを彷彿とさせる浮遊感を持たせたり、引き出しが多くも個性と世界観が完成されている名盤でした。

 そんな前作のアルバムを経て、今回のEPではニューメタルコアでは今まで見られなかったボンテージスタイルの衣装をまとったメンバーのアー写、モノクロのゴシックな雰囲気のPVなど、音楽性は大きく変わってないものの確実に差別化が図れています。

 EPのコンセプトは「困難や不平、精神上の問題をどう乗り越えていくか」を前提に、「どうしたら良い人間になれるか考えていこう」っていう内容ですが、特にPVにもなっている「VAMPYR」はオーストラリアの音楽シーンで氾濫している女性への差別的・非道な扱いに対する問題提起を描写した曲でも注目を集めております。


4. Eversolitude / OVERWRITE (シングル)

 東京を中心に活動しているメロディックメタルコアバンドSolitude A Sleepless Nights。昨年ボーカルのヨシキ君(R.I.P.)が脱退したのち、今年の春に女性ボーカルTayoriが加入したと同時に現在のバンド名に改名したのですが、その際にリリースされた名刺代わりの曲です。2~3年前SASN時代からライブを観始めてきましたが、今思えばその時にリリースした「Nefertiti」が現在への布石になったかと感じています。当時のセルフライナーノーツでも「叙情をやろうとして叙情をやってます!っていうよりもやりたいことをやる為の過程で自分たちではなく第三者が叙情だったり色々と感じてくれる方が価値の大きさは全然違う」と言及しておりましたので、恐らくそうだと思います。

 「Nefertiti」リリース時からも片鱗は見えていましたが、この曲の音楽性も前身の叙情+メタルコア時代とは一線を画した、+マス・ポストロック・スワンコア・アニソン・アイドルソング(二次元含む)など、多面的かつ自由でやりたいことをやっているのがひしひしと感じられています。忙しなく糸を縫いあわるように駆け巡る複雑で非対称的なギターと、その間を嫌味にならない程度に主張するベースとドラム、そして過去への決別と負い目を清算し、タイトル通り新しい始まりへ「上書き」することを明示したリリック、バンドの再起に掛ける執念が込められた至高の一曲。


5. Degrader / Odogaron (アルバム「The Beautiful Lie」収録)

 アメリカ・マサチューセッツ州ボストン発メタルコアバンドの新譜から。それまでの音源はニューメタルコア要素の強いバウンシーな展開が特徴的だでした。Tr.5「Zenosyne」のようにプログレメタルコア譲りの残響音が特徴なトラックもあれば、MV曲Tr.3「Odogaron」のように近年のHundredthを意識した世界観を構築したMVなど、今作ではヘヴィなメタルコアサウンドを基軸にしながらも、新旧のメタル・ハードコア要素のいいところを凝縮・クロスオーバーした、モダンメタルコアシーンに一石を投じるサウンドを鳴らします。おそらく海外のバンドの音源の中で今年一番リピートしました。

 楽曲にバラエティを持たせつつも、アルバム全体としては「デジタル化が進む現代においても、また対人間のコミュニケーション・表現には言葉で言い表すのが難しいほど『有機的』(多くの部分が密接に結びついて、全体が形作られている)である」と一貫したコンセプトをリスナーに提示し、アルバムのテーマが全体で微妙に繰り返されるような詩的な要素も入れ込まれている(例:アルバムのタイトルが歌詞の中で繰り返されたり、同じような比喩が繰り返されたりetc...)、激しくも美しい文学的な一枚。個人的にはModern Empire Musicにいるのに過小評価されてるのでは?と疑ってしまいます。


6. 余日 / 遺書 (シングル「殺心犯」収録)

 昨年のStay Nerd / Stay Emotionalにも出演していただいた、大阪を中心に活動しているメロディックロックバンドの最新作から。楽曲単位で言えば、Spotifyでこのバンドのこの曲を一番リピートしていたようです。両曲とも余日の一番の持ち味である「生きる上で皆一様に揃うことのない答えを問いかけ、いかに自分自身の人生を生きるかをオーディエンスに問いかけるテーマ性」をストレートかつガッツリ感覚に染み込む繊細な雰囲気と曲調は今回も健在で、初めて「遺書」を聴いたときは朝から泣きそうなメンヘラになりました。通勤中なのに。

 一見モノトーンで無機質な見えつつも、垣間見える人間味あふれる叙情的なアプローチやテーマ性こそが、余日の魅力なんですが、特に「遺書」は女性Vo.のYUさんをfeat.した全編クリーンのバラードで、出口の見えないトンネルにいるような苦悩や諦念や孤独にいながらも、自分の意志とは裏腹にトンネルへの出口へと向かおうとする = 生への渇望を描写した、今を生きる孤独を抱えた方へ優しく寄り添ってくれるような名曲だと勝手に思ってます。

 来月1月26日にはシングル「人間失格」のリリースも控えているので(曲名はもちろん太宰治の有名な文学作品から)、今後の余日がどのようにリスナーの感性や思考に訴えかけてくるのか要注目です。


7. Dying Wish / Cowards Feed, Cowards Bleed (アルバム「Fragments of a Bitter Memory」収録)

 アメリカ・オレゴン州ローズシティ出身のメタルコアバンド。女性ボーカリストEmma Bosterのハイピッチかつパワフルなシャウトとメロウなクリーンボーカルを交えつつ、2000年代のメタルコアサウンドを中心としながらもNEW SCHOOLや90's EDGE METALの要素を取り入れたこともあり、ハードコアシーンとも繋がりの強いバンド。Sharptone Records自体どちらかというとモダンなメタルコア・ポストハードコアを抱えるイメージなので、このような温故知新のメロディックなメタルコアバンドが出てきたのは驚きました。。MV曲は2分未満のショートチューンながらも血管ブチギレ系2段階ブレイクダウンが印象的。

 そんな彼らの活動の原動力は「不正に対する反骨精神」であり、人種、ジェンダー、環境など大きなテーマから、個人の苦悩やトラウマなどパーソナルなテーマに対して妥協のない問題提起が曲中に描写されていることに定評があり、そのメッセージ性はVo.のEmmaが経験した幼少期の複雑な家庭環境からも影響を受けているとインタビューで触れられております。

 Code OrangeやKnocked Loose(次回紹介)にも注目されている、2021年のアメリカのハードコア・メタルコアシーンを騒がせた純度100%のメロディックメタルコア、置いていかれないようチェックしておきましょう。


8. 書店太郎 / side_story (アルバム「unlive」収録)

 Rock Team / EDM Teamの2チーム体制でマルチジャンルに活躍する同人額サークルBlatantly Emotional Records (B.E.R.)の主催であり、現代のVOCALEAMOを代表するボカロPの新しいアルバムから1曲。実は5年くらい前からSNS上では面識があり、その当時からソリッドかつエモーショナルで美しい巡音ルカを用いたエモ・スクリーモ・ラウドロックを放つ印象で当時から注目しており、コンスタントにカバーやオリジナル曲をリリースしている印象ですが、リアルでお会いしたのは今年春のM3が初めてです。何度もTwitterのSpaceで本人とお話ししておりますが、彼も自分同様ゆよゆっぺ氏やDraw The Emotionalに多大な影響を受けております。

 そして今回新譜では、彼の音楽活動において多大な影響をうけたゆよゆっぺ氏とゆよゆっぺ氏と同じバンドNaked Identity Created by Kingで活動するにしあつき氏がゲストコンポーザーとして参加。恐らく彼の6年間の活動が報われた瞬間だと思います。今回の楽曲でも特にそれが意識されていて、先行で公開された「Side_Story」はゆよゆっぺ氏の楽曲「Story of Hope」の世界観を外側から見た書店さんのゆよゆっぺ氏に対する思いや憧れが詰め込まれています。人間的な感情が込められているんじゃないか疑うレベルのポエトリーパートは必聴。

9. Architects / Dead Butterflies (アルバム「For Those  Wish To Exist」収録)

 Bring Me The Horizon, While She Sleepsと並んで、イギリスのメタルコアシーンの最前線をになうArchitectsの新譜から。前作「Holy Hell」ではそれまでのマス・プログレッシブの要素を取り入れたサウンド+Vo. Sam Carterのブチギレスタイルのスクリームと叙情的なセミ・クリーンが際立っていたスタイルから徐々にオーケストラやエレクトロを挟みながらメロディを意識した方向性に移行しつつありましたが、今作はさらに大胆に舵を切った作品になったかと思います。

 エレクトロやストリングスやクワイアなど、大々的にスケールを大きくした意欲的なサウンドになりましたが、内々に秘めたヘヴィネスとアグレッシブが溶け込んでおり、それまでのArchitectsを踏襲する壮大でシリアス、悲観的かつ厭世的な世界観をよりスケールアップした形で表現しています。また、複雑でテクニカルだった楽器隊も無駄を極限までそぎ落としたがごとくシンプルにまとめられ、それがメロディの良さを引き立てているのが最大の特徴です。正直多くのメタルコア・ポストハードコアがこういう路線に走っていく風潮を見てみて正直飽き飽きしていたのですが、ArchitectsはどこまでいってもArchitectsなんだと再認識させられた一枚。

 個人的に印象が強いのはTr.15の「Dying Absolutely Safe」、あの曲は故Tom Searleの死を経て結論に至った死生観が込められたアコースティック調のバラードだと思ってます。


10. été / Gate (EP「IUTORA」収録)

 「トーキョーニュースクール」を掲げ、東京を拠点として活動しているロックバンドの最新EPから。ギターロックを軸にしながらも、ポストロック、ヒップホップ、激情ハードコア、ポエトリーリーディングなど多彩なバックグラウンドから独自のアプローチを魅せることで定評があり、聴けば聴くほどのめりこんでしまう魔力があります。「孤独や暴力性など抽象的な言葉にできない概念を言葉にしようとしている」とはGt/Vo.のオキタユウキ氏がインタビューで触れておりますが、そのリリカルなアプローチも魅力の一つだと思います。その制約のないサウンドと抽象性と向き合うリリック、étéを2つの言葉で簡単に表現するとこうなると考えております。

 今回リリースされたEPは今まで以上にハードコア要素が強く表れており、ギターのチューニングも下げたとのこと。しかし上記に記した多彩なバックグラウンドのエッセンスが損なわれていることはなく、春に先行でリリースされたMV曲「Gate」も、ローチューニングのギターが奏でるバンドサウンドとヒップホップよりのビートに乗せたポエトリーパートが交互に顔を出す面白い曲になっています。コロナ禍こそこのリリックになったであろう「たった数分間の純文学」「音と言葉のみで体現するニューエイジ」の世界に是非浸ってみませんか?


11. LANDMVRKS / Visage (アルバム「Lost in the Waves」収録)

 2019年にPOLARISと来日公演を行った、フランス発マルセイユ出身のメタルコア/ポスト・ハードコア・バンド が、待望の3rdアルバムを完成させました。Part.2でもWinter Wakesの音源でも触れましたが、LANDMARK特有のシャープで切れ味抜群の特徴的な音作りとともにキレを増すリフ、オーディエンスも「Rainfall」MVのように足を怪我するまで踊りだしそうなモッシュパート、そして最後のトラック「Paralyzed」のように壮大なクリーンパートなど、メタル・ハードコア・ヒップホップなど、音楽ジャンルをセンス良くまとめ上げたLANDMVRKSの高いポテンシャルを有していないと作り上げられない作風は今作も健在。ただ、Chunk! No, Captain Chunk! でも活動しているPaul Wilsonが加入したこともあってハードコア要素は増した気がします。ビートダウンも心なしか一段と凶悪になっているかと。

 MV曲を取り上げようか迷ったんですが、当記事ではVo. Florent Salfatiのボーカルワークが一際目立つTr.4の「Visage」について言及しておこうと思います。トラップ調のインストに挟まれるフランス語のラップ、キレキレの鋭いリフとハイ気味なスクリームと荒々しいグロウルのハーモニー、そしてスケールの大きいクリーンパートに移行するんですが、終盤になるにつれてFlorentのクリーンの高音が「どこまで上がるんや」ってくらい高くなるんですよね。ライブでは半音キーを下げているようですが、それでも音源同様の高いパフォーマンスを発揮しているのは流石の一言。

 コロナ明けたらきっと再来日待ったなしだと思うのでそれまでヘビロテしておきましょう。


12. Earthists. / Home (シングル)

 「DIGITAL CULTISM」を標榜している、東京を中心に活動しているメタルコアバンドの最新デジタルシングルから。Tragic Hero Recordsに在籍していたころのEarthists.はDjent・プログレ要素の強い作風でしたが、自主レーベルを立ち上げてからは前述のArchitectsのようによりシンプルかつスケールを大きくまとめ上げている印象ですが、今回の「Home」も今の作風を踏襲したEarthists.独自のバラードになっております。

 今回の新曲「Home」は温かみのあるアコースティックギターの音像とGt/Vo.のYutoによって歌い上げられる繊細なクリーンボーカルから始まる意欲的なアプローチながらも、近年のEarthists.の作風であるVo.Yuiのエモーショナルなセミ・クリーン、重厚かつシンプルなメタルコアサウンド、そして嫌味にならない程度に味付けされている美しいピアノとストリングスは健在。ちなみに10月に行われたGraupel・Sable HillsとのBIRTH TOURでもこの曲はもちろんセトリ入りしており、その際はイントロ二十数秒のためだけにアコースティックギターと固定セットをステージに持ち込んでいるところにプロ意識感じました。

 メンバーがDJイベントに遊びに行って酔っぱらったときにOASISが流れてきてバンドのグループラインに「漢弾き語り。OASIS直系。次の曲はそれでいっちゃうっしょ。長さは3分きっかりで」とメッセージを送ったところからこの名曲は生まれたそうです。


13. Winseth / 桔梗と鴉(シングル「桔梗と鴉」収録)

 余日と同じく昨年Stay Nerd / Stay Emotionalにも出演いただいた、兵庫姫路発ツインボーカルポストハードコアバンドの最新シングルから。元々はSTAY DUDE COLLECTIVE主催のコンピレーションアルバム「SAVE OUR SCENE 2021」に収録されてましたが、突然4月にサプライズで既存曲2曲のリリマスター版と一緒にリリース。昨年言及しましたが、前述の自分の自主企画でも最速で披露されています。何度も言及していますが、初披露の時僕がボロ泣き言ってた例の曲です。

 色鮮やかなシンセやストリングスを交えた伸びやかで叙情的な世界観に、アグレッシブなメタリックサウンドとドラマティックなメロディラインを奏でるギター、メタルコア・ポストハードコアよりはアニソンやJ-POPなどから影響を受けたであろううねるようなベースライン、そして1分超の長尺な「乃木若葉直系ポエトリーパート」(話すと長くなるのでなんでそう呼ばれるかはSN/SEのイベント後記参照)を交えたボーカル二人のアプローチなど、6分近くに渡って現行のWinsethの作風が最大限に凝縮されている名曲です。まあ僕が「結城友奈は勇者である」のファンだからかもしれませんが。今期放送されている「大満開の章」の6~7話は辛かったですね、特に郡千景関連の描写が(隙自語)。

 また、楽曲と関係ないけどVo.の孝弥君はこの記事読んでたら来年一緒に香川に聖地巡礼に行きましょう、そろそろ。


14. Convictions / The Price of Grace (EP「I Won't Survive」収録)

 2017年に来日もしている、「Aggressive Worship」を掲げるアメリカ・オハイオ州シンシナティ発クリスチャンメタルコアの自主リリースEPから。Convictionsといえば硬質でアグレッシブパート+激しいスクリームと叙情的かつスケールの大きいメロディックパート+クリーンボーカルの組みあわせが特徴的ではありますが、今作は完全にネクストレベルに到達。

今までの路線にニューメタルコアを彷彿とさせるノイズスクラッチ・ワーミーエフェクトを交えた叩きつけるような重量感MAXのフレーズなどモダンなアレンジを組み込んだことで、クリーンの対比がより鮮やかになった楽曲に仕上げています。そして今作リリース前のシングル「Hurricane」制作時に加入した、新しいBa/Vo.のDanyal Suchtaのエモーショナル性とブチギレ具合が危ういバランスで共存しているコーラスワークも注目すべきところ。

今作が取り扱うテーマも非常に重く、「The War Never That Followed Me Home」は戦争体験によって起こったPTSDを、「The Price of Grace」はVo. Micheal Felkerの友人が経験した、親友の自殺にまつわる話が元になっており、楽曲全体全7曲(うち1曲インタールード)ながら、起伏で脳と首と涙腺を揺らすこと必至になるボリューミーな名盤。


15. Take This to Heart / Celestial (シングル)

 「HYPERMETALCORE」を標榜する、Fall of Tearsで活動している(もうすぐ脱退しますが)ベーシストのみやうち君も在籍している東京発メタルコアバンドが最強の新曲を引っ提げて鮮烈なデビュー。Part.1でも紹介したThe Air I Breatheの楽曲「Take This to Heart」のタイトルからバンド名を拝借したと推察しておりますが、彼らに勝るとも劣らないテクニカルなリフ回しと男泣き必至のメロディックなリードパートとソロを聴くと、TRUEなメタルコアオタクはメロイックサイン腕が硬直すること間違いなし。Fall of Tearsでは一ミリも使わないであろう、みやうち君のシャカリキ具合満載なプレイスタイルにも注目です。

また、ミキシングやマスタリングはa Soulless PainNOCTURNAL BLOODLUSTCrystal Lakeの音源も手掛けたことのあるStudio Prisonerが手掛けており、音像もクリアで既に完成されている印象でした。一度聴いたら忘れられない強烈なリフとソロで4分の楽曲のはずなのに体感では2分くらいしか経ってない気がします。きっと激流のような展開で衝撃を受けっぱなしだったかもしれません、私だけでしょうか?

まだシングル2曲しかリリースされてませんが、2022年は更にメタルコアリスナーを滾らせてくれる曲をドロップしてくれると思います。


番外編. 二重不眠症 (DualInsomiNa) / 海芋花 (アルバム「海芋花」収録)

 リリース自体は2020年ですが、何度かSpaceを開いた中で多くの知人友人が言及していたのでここで紹介しておこうと思います。中国・杭州のプログレッシブメタルコア/Djentバンド兼同人サークルなんですが、単純なクオリティは国内の同人サークルでは太刀打ちできないくらい高いと思ってます。また、メンバーの一人がINCHAOSと兼任しており、そちらでも女性Vo.をフィーチャーしたプログレメタルコアをやっているとのこと。

 コロナが明けて渡航規制が解除されたらSquall of Scream(次回紹介します)やNimbus(Part.1参照)との対バンが期待されているとかされていないとか。。。


  というわけで、少し期間飽きましたが今年ぶっ刺さったアーティストを15組+α 程紹介しました。おそらく全5回に収まるかと思いますが、年末までリリースが控えているのでPart.5だけ20枚くらい紹介する可能性があるかもしれません、Part.4はクリスマスまでには投稿しようと思ってます。ちなみにこの記事書き上げた時、前日の名古屋遠征でハードコアパーティーしまくって疲れているのはご愛嬌。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。感想とかTwitterでもらえると喜びます。

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