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Trelloを使ってイベント実施までのカンバンをまわした話

イベントの企画からイベントの足回りを支援してくれるベンダーさんとのタスク可視化&分担を行う上でカンバンを取り入れることが有用ではないかと以前から考えており、適用のタイミングを伺っていました。

たまたま、先日大きなオンラインイベントを進めるにあたっては関係者が比較的少なかったので失敗しても良いだろうということで活用していきました。

カンバンとは

「カンバン」はトヨタ生産方式のJust In Time を実現するために開発された手法のひとつです(*参考: こちらの記事)。“トヨタ”生産方式と説明があるように、製造業における製造工程の最適化のために考えられた手法ですが、ITの世界では長らくこの考え方がアプリケーション開発にも応用できるということで、アジャイル開発をはじめとする多くの開発で活用されています。

カンバンでは、基本的に、ToDo、Doing、Doneの可視化を行います。チームとして、実施すべきタスクの棚卸しを効率的に実施し、停滞しているタスクがないか、実はそのタスクの粒度が大きすぎることで、Doingの状態で留まっているなどの問題点を明かにすることができるところが、これを利用するメリットだと言われています。またチームでタスクを明確にすることによって、自分ひとりでは忘れてしまっていたタスクが見いだされたりすることもメリットの一つだと思います。

前提事項

このプロジェクトに参加した人は、複数の業務、プロジェクトに関わっており、このプロジェクトのみを担当していたわけではありません(通常アプリケーション開発などだと1つのプロジェクトに1つのカンバンを持つことが多く、兼業は良しとされていないと思います)。

また、今回のカンバンはイベントを主体的に回す、主催者である僕と、イベント運営全般をまとめてもらった会社(イベント運営ベンダー)のみで共有する体制になっています。本来であればすべてのイベントの機能を実現する人・会社を1つのカンバンにまとめて管理することが望ましい姿かと思いますが、今回使ったTrelloに慣れていないなどの状況なども考えて、適用範囲は最小限に抑えました。

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カンバンのイメージ

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至極一般的かつ、単純な構造ですが、これはこれで良かったと思います。Sprintを2週間と勝手に僕が決めて、Sprint終了後はプロジェクトオーナーである僕がSprintを書き換え、週次のミーティングでチェックを行います。Sprintの欄では、その2週間で実現したいこと(Sprintゴール)を書いておくことで、それに紐づくタスクを連想しやすくする効果があります。

例えば、「イベント集客用サイトの公開」というSprintゴールを実現するために、いつまでに誰が何をしなければならないのか、が思い浮かぶと思います。思い浮かんだことは、Todoに書き込んでいき、担当者をアサイン、期限を付記します。

SprintとTodoの粒度が気になるケースもありますが、大体以下のような感覚で書きわけていました。あとは関係者がある程度理解していれば問題ないでしょう(なれるまでに多少時間がかかることもあるので、大きいイベントなどで急に導入は辛いかも)。

・Sprint:目指すべき姿(Aが完了している、Xが公開している)
・Todo:実際やるタスク(Bを作成する、Yのメールを送る)

便利リンクがここにあると、「あのファイルどこいったけー」というケースが少なくなり、ファイルを探すという無駄な時間を削減することができたと思います。また、イベント当日に絶対手元に持っておきたい情報などもカードとして置いておくことで、ミスを減らせたかと思います。

週次のミーティングでは議事メモではなくカンバンを管理

たいていの場合大きなイベントを実施する際には、毎週関係者が集まって議事メモに書かれたアジェンダに沿って色々確認するということをすると思うのですが、議事メモなどは特に準備せずすべてカンバンの中(Trelloの中)に書き込んでいくスタイルで週次ミーティングを進めました。議事メモだと、どうしても抜け漏れが出たり終わったのか終わってないのかよくわかないこともあると思うので、この辺もカンバンの良いところです。

進め方としては、カンバンにある各タスクの中に未消化のタスクの整理、やり残しタスクの確認、Sprintゴールの設定・新規タスクの洗い出し、のようなことを自然とできるようになります。

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スクラムの場合、毎日のDaily Standup Meeting(15分)という儀式を行う必要がありますが、それは取り入れず、Sprint Goal設定と振り返りを週次のミーティング1時間程度で片付けました。

Trelloの便利なところ

各カード内でチャット

上述のようにTodoがカードに書かれているのですが、それに関するやり取りをカード内のチャット機能でできるのは良かったと思います。Slackなどだと、スレッドにすればまあ分かるのですが、埋もれてしまったりもしますし、過去に何をしていたっけ?といったところも自分の記憶の限りで思い出したり、個人でメモを持っていたり、ちょっと効率悪いこともあります。

ファイルの添付

タスクに関するファイルを添付すること(今回はGoogle Drive連携のPowerAppを使った)ができるので、ファイルが一目瞭然。ファイルにコメントをする形でチャットに投げこみも可能。

所感

イベントの運営に慣れているベンダーや担当者は雰囲気でタスクを思いついたり、片付けたりすることができるのですが、不慣れな人もいたりすると、しっかりとタスクをアサインして、抜け落ちないように相互に助け合いながらプロジェクトを進められるのではないかと感じました。

また、ツールそのものの使い方をはじめに教えること、アサインされたタスクはアサインされた人が責任を持ってDoneまで持っていくなどのルールを明確にしていくのが抜け落ちていたので、その辺りはもう少し意識的に伝えたほうがよいと感じました。

蛇足:Trelloのちょっと便利Tips

ButlerでDoneに入れたら勝手に完了マークが付くように設定することで、メンバーが完了のチェックボックスを押すのを忘れるのをなくすようにした(意外にCardをクリックして、完了チェックボックス押すの面倒)。

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Trelloの使い方については以前、カードをドラッグアンドドロップできることを知らなかった人がいた際に、簡単な資料を作ったものがあるので、そちらもご参考ください。

まだまだ書くことがありそうですが、今回はこのへんで。誰かの何かの気づきや実践につながれば幸いです。

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