近の況

あまりインターネットでおおっぴらにしたくはないのですが、番組制作のディレクターをしています。
黙々と淡々といい番組を作っていたいので、仕事のことを書くのはあまり気が進みません。

ただ、最近わたしのツイートが荒れに荒れているのを心配して、何人もの方が連絡をくれました。

ここ数日仕事をするなかで気持ちがずいぶん楽になる出来事があったので、ご心配くださる方への近況報告を兼ねて記しておこうと思います。

広島に恋人がいたころ、早く東京での勤務を終えたくて仕方がありませんでした。3年でなんとか広島に帰れないかと会社にかけあってもいました。

別れた直後は仕事が手につかず、なんなら仕事を辞めてでも広島に戻って復縁できないか真剣に悩み、転職サイトを見まくっておりました。

でも、気持ちが落ち着いてきたいまは、東京の職場の面白さを存分に楽しんでいます。

なんといっても職員が多い。同じディレクター職だけで一体何人いるのでしょう。蔑むべき屑から憧れの先輩まで。あの面白い番組を立ち上げたのは同じ部署の人らしい、話を聞いてみようなんてこともできたりできなかったり…。

ちょうど一昨日同じ部署の同期とおしゃべりをしていて、ここにいられてよかった、と思いました。

大雑把に言えば「拡大自殺に番組でどうアプローチできるか」について、雑談とはいえ大真面目に語り合ったのです。一緒に話した同期は、ずば抜けて企画書が面白く、頭がキレます。

こういうひとと同じ志を持って同僚として一緒に働いていることをとても幸運に思いました。彼女に限らず、作りたいものについての話の通じる人が職場にたくさんいます。世の中についてや、今の世相のなかで何を作っていこうか話せる同僚がたくさんいるんです。

番組やニュースや、商用の映像を作ることは今の仕事を辞めて広島に戻っても続けられたかもしれません。でも、この最高の同僚たちを手放さなくてよかったと思いました。通るかは別にして、拡大自殺について企画書を書ける環境だってあるんです。関心のあることを番組にできる環境を手放さなくてよかったです。

昔から抱いていた青臭い夢を掴みかけてるのに、諦めなくて本当によかった(青臭すぎるので具体的には割愛)。

今の会社に勤め続けるにしても、3年で早々に広島に戻るのはキャリアのうえで得策ではなかったでしょう。

地方局の仕事の面白さはもちろん知っているけれど、東京で積めるだけ経験を積んでおいたほうが次に行く地方のためになるし後輩たちのためになる。そして自分の表現の幅も広がる気がします。

ワークライフバランスは大事だけれど、私にとってワークが書くことと並んで息をすることのように大切なのだと思い出す日々であります。

前の彼との時間が幸せすぎて、全部かなぐり捨てて一緒にいたいと思っていたけれど、かなぐり捨てるには惜しいものをたくさん持っていることに気がつきました。

思えば長期休職を経て、第一線でやっていける自信がなかったのかもしれません。第一線で活躍するディレクターになれなかったときに、自分は愛する人の隣にいることをとったのだという言い訳があれば気が楽です(第一線とかなにか?という議論はありますが…)。

恋人だったひとを死ぬほど愛してた気持ちにも、広島が大好きで帰りたい場所だという気持ちにも1ミリも嘘はありませんでした。でも、少しだけ、彼に・広島に逃げるような気持ちがあったのも、悲しいかな嘘ではない気がします。

彼に対しても広島に対しても失礼極まりない話です。

最近は、これだけたくさんのものを持っていて、夢が叶いそうで、面白く生きられるんだから、恋人のひとりやふたりいてもいなくても変わらないなと笑えるようになりました。

とはいえ、そういうふうにしっかり自分の足でたてる私を作ってくれたのは前の恋人で、去年1年は彼がいなくてはだめでした。わたしを大丈夫にしてくれたこと、別れてからもすっかり大丈夫になるまで関わるのをやめずにいてくれたことにずっとずっと感謝です。もう会えないとしても、お互いの気持ちのなかでいつまでもいい友達でいられる気がします。

最近、貸していた漫画や置いたままにしていた化粧品を送ってもらいました。

箱を開けてタバコの匂いがしたら、泣いちゃうかなあと思いきや「おしゃー!ヨコハマ買い出し紀行全巻揃ったバンザイ!!!!ぬおおお、高い美容液捨てないでいてくれたんか金欠にはありがてえ!!!」と、嬉し涙を流し狂喜乱舞しました。

化粧水とか、いまの彼女が家に来る前に全部捨ててしまったかと思っていたのですが、他人のものを勝手に処分したりできないのが彼だよなあと微笑ましく思います。

箱の底に紛れ込んでたホコリと髪の毛、数週間前の私だったら泣きながら食べかねない勢いでしたが普通に捨てました。

そういえば、ゴワつく剛毛向けのシャンプーの試供品が入っていたのですが、猫っ毛気味の私のものとは思えません。

彼の前の前の彼女がゴワつく剛毛に悩む彼のために密かに買っていたのではないかと推測しつつ、銭湯かなにかで使わせていただきます。

以上、まあじちゃんの近況でした。


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