ふじたにおさむ

小説家です。おもしろい小説を専門に書いています。

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最近の記事

自費出版備忘録(その9)

 昨日作ったファイルを呼び出して、段落の頭を1文字下げたり、エピグラフのレイアウトを変えたりして、楽しく過ごす。BGMはプーランク。  この日記も昨日みたいにテンパらずに、軽やかな気分で書ける。  僕は、自慢ではないが、野蛮人である。プレフィックスとかダイアログボックスと言われても判らない。そして判らないことを判ろうとしない。結果として、きちんとできるはずのことができないし、楽にできるであろうことも手作業で無理矢理片づけてしまう。  おまけに一昨日くらいから、キンドルが開か

    • 自費出版備忘録(その8)

      6月29日(土)  どうもインデザイン、やればやるほど混沌の泥沼に陥っていくようだ。今日やったことを最初から思いだせるかどうかもわからない。やってみよう。  とにかく昨日までいじくっていたファイルの行数が変えられないのがシャクでシャクでならないから、新しいファイルを作り直そうと思ったのだ。そこでまず、アクロバットを開いた。行数の変わらないファイルをPDFで開き、これをテキストファイルにして、『本文2』として保存した。・・・今にして思えばこの作業は、若干無理やりなところがあった

      • 自費出版備忘録(その7)

        6月25日(火) ここ何日か、諸事に追われてインデザインを開いていなかった。いろんなことを忘れている。これまで作ったファイルを開いて、まずは「俺はそんなに馬鹿じゃない」と自分に言い聞かせるところから始めなければならなかった。「頭の出来は、せいぜい『合格より少し下』くらいなもんだ。大丈夫」 しかしファイルの行数を変えられないのは同じなので、久しぶりだから許してもらおうと、恥を忍んで仲俣さんにメールをする。 すると、とうとう仲俣さんの返信が読み取れなくなってしまった。 マスター

        • 自費出版備忘録(その6)

          何時間も全速力で走って2センチ進む。それがインデザイン。 今日は「TはテキストのT」ということを学ぶ。インデザインの左側に並んでいるハイテクっぽい記号のうち、Tの字が書かれたところをクリックすると、文章の書き直しができた。なんかこれ、ほかのソフトでもTはテキストのTだった気がする。なんだったかは憶えていない。 ついでにAdobe Proを使って、インデザインのファイルをPDFに変換するのにも成功。 PDFでようやく完成図、というか「この状態で完成したらどうなるか」を見ることが

        自費出版備忘録(その9)

          自費出版備忘録(その5)

          6月14日(金) テキストファイルが最初のページしか流し込めない問題、なんとShiftキーを押しながらクリックしなさいと「基本のインデザ」5-1-9の247頁に書いてある。その通りにしたら流し込めた。 おかしいだろ。ファイルを開くところには「開く」って書いてあるんだよ。「開く」っていうのは「そのファイルを全部開く」って意味なんだよ当たり前だろう。なんでシフトキーなんか押さないといけないのよ。なんでそんな、裏技みたいなことしなきゃいけないの! 今日さらにこれから先のことをやるか

          自費出版備忘録(その5)

          自費出版備忘録(その4)

          6月13日(木) インデザイン判らぬ。一切判らぬ。何が判らぬかも判らぬ。 だいいち自分の原稿が全然インデザインに流し込めない。夜中に仲俣さんへメールを送る。仲俣さんすぐ返事くれる。藤谷が何を判ってないかが判ったとの由。 僕はインデザインとはゲラを作るソフトだろうと書いた。すると仲俣さんは、インデザインは組版を作るソフトだという。ゲラとは「見本刷り」のことだという。楯突くわけじゃないが、それはおおむね知っていた。専門用語を知らないだけだ。 仲俣さんはまた「インデザインはワープロ

          自費出版備忘録(その4)

          自費出版備忘録(その3)

          6月10日(月) Adobe InPrintを買う。インストールはできたはず。 今日の仕事はもう終わり。

          自費出版備忘録(その3)

          自費出版備忘録(その2)

          6月8日(土) 昨日、小学館の担当編集者に、「僕の本で絶版になっていない本を教えてください、自分で出そうと思っているので」とメールしたら、すぐに教えてくれて、 「最近の流れを汲んでいらっしゃいますね。力及ばず申し訳ありません」と添えられてあった。 出版社も「流れ」が判っているのだ。いい悪いの話ではない。おかげでずいぶん気が楽になった。それまでは「いくら絶版になったとはいえ、お世話になった出版社に歯向かうような真似をしていいのだろうか」という、おさむらいさんのような忠義心があっ

          自費出版備忘録(その2)

          自費出版備忘録(その1)

          今は2024年6月7日です。まだ何も決まっていない。でもやるしかないかもしれない。だから挫折するかもしれないけれど、ここに備忘録を残しておきます。 5月20日にふたつの出版社からメールが来た。ひとつは「あなたの小説が(また)絶版になった」というもの。もうひとつは「あなたが送ってきた書き下ろしの小説原稿は、うちでは出せない」という内容だった 2年前から仕事の依頼は激減している。というか、ほぼなくなっている。今まで濃厚な付き合いのあった出版社から、メールが来なくなって2年くらいに

          自費出版備忘録(その1)

          『口訳古事記』にお礼が言いたい

           町田康氏の新作『口訳古事記』の感想が書きたいのですが、うまく書ける自信がありません。なぜなら僕に学がないからです。  日本最古の文書であるところの『古事記』、その現代語訳について何事か書くとなれば、『古事記』について何事か知っていなければならないのは、当然です。  ところが僕は『古事記』のことが、全然判らないのです。  本は何種類か持っていて、何度か読んだこともあるのですが、何が書いてあるのか、理解できたと思えたことは一度もありません。  我ながら情けないと思うのですが、僕

          『口訳古事記』にお礼が言いたい

          『NOPE』の衝撃

          アマゾンプライムで『NOPE』を観ました。すばらしいっ。 この映画を作った監督のほかの映画は、怖いらしいので観ておりません。この映画も恐そうで観るのに躊躇したのですが、妻が観ろ観ろというので(滅多にないことです)、ガマンして見始めました。 UFOの映画なんで、そこは大好物なんですけど、ボク怖いのホント駄目なんですよ。 実際、最初の方は、なんか怖かった。指のあいだから観ていました。 したっけ、これあんまり怖くないの。 っていうか、腹抱えて笑う映画なの。 っていうか、

          『NOPE』の衝撃

          NHK‐BS『犬神家の一族』を一気に見ましたので、原作も再読しました。

           録画してあったNHK‐BS『犬神家の一族』を一気に見ました。大いに堪能しました。以下、ネタバレを含めて勝手に感想を書いていきます。一方で登場人物やあらすじの説明は思いっきり省略します。つまり以下は『犬神家の一族』については、誰もが充分に知っている、という前提で書かれております。  まず何といっても小林靖子さんのシナリオが良かった。  原作はさまざまに魅力のある小説ですが、今回のドラマでは、小説の「地獄のホームドラマ」とでもいうべき側面を強調している感じでした。  原作の人

          NHK‐BS『犬神家の一族』を一気に見ましたので、原作も再読しました。

          2023年5月に『森のバルコニー』を読むという悦楽と不安

           この数日――ゴールデンウイーク、っていうんですってね――は、村上春樹氏の新作をあいだに挟みつつ、しかしほかのことはほぼ忘れて、ひたすらジュリアン・グラックの『森のバルコニー』を読むという、ほとんど法悦と言っていい喜びの時を過ごしました。  グラックを読むようになったのは、50歳を過ぎてからです。調べてみると『シルトの岸辺』と『アルゴールの城にて』の岩波文庫版が出たのが2014年で、それ以来です。 『シルトの岸辺』の衝撃は今でも僕の中で振動し続けています。こんな小説が本当にあ

          2023年5月に『森のバルコニー』を読むという悦楽と不安

          『街とその不確かな壁』のいいところと、なんか変なところ。

           村上春樹氏の新刊『街とその不確かな壁』(新潮社)を読み終わりまして、いろいろ思うところあったので、雑多に書き並べてみます。  村上春樹氏が1200枚の書き下ろし小説を出す、ということは、やはり大きな事件だと思います。1979年のデビュー以来、その小説の影響力は国際的なものだし、愛読者も非常に多い。新作も大いに注目され、売れ行きも悪くなさそうです。  僕も影響を受けました。受けないようにしようと思っても、受けてしまったようです。1979年は僕が16歳になった年です。影響を受け

          『街とその不確かな壁』のいいところと、なんか変なところ。