SDGsは社会的責任なのか? 経済活動なのか?
2015年9月の国連サミットで採択された国連による持続可能な開発のための国際目標「SDGs(持続可能な開発目標)」。現在では多くの企業が取り組みをはじめ、この数年ほどで社会的責任への取り組みに対する企業の空気感がガラリと変化しました。
これまでも各企業はCSRという形で、環境活動やボランティアや寄付活動など社会貢献に取り組んできたもの、今回の変化はCSR活動の延長にあるものではないと考えています。というのもこうした社会的責任への取り組みがビジネスに大きく影響する現実が見えてきているからです。
本記事では、社会的責任への取り組みがどのようにビジネスに大きく影響するか、その背景をあらためて整理します。
企業が社会的責任への対応をより重視するようになった3つの背景
1.次世代の顧客ニーズと政府や流通小売企業の方針転換による市場の変化
気象災害の被害の激甚化や、SNSによって国内外の社会的問題がより身近に顕在化しやすくなった中で、生活者はこれまで以上に社会的問題に関心を高めています。その影響もあり、政府や一部の企業も持続的な社会を目指し本腰を入れた取り組みがはじまっています。
▼持続可能な商品を選択したい、という消費者ニーズそのものの変化
▼政府の環境政策や流通小売企業の方針転換による新たな市場
2.ESG投資への注目度の高まりによる企業価値への影響
こうした市場の変化にはもちろん投資家も注目しており、彼らの企業価値評価に影響がでています。
環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)要素も考慮した投資「ESG投資」。日本においては、2020年1〜9月にESG投資に関連する投資信託に前年同期の13倍となる約7200億円の個人マネーが純流入し、過去最高を記録しました(日興リサーチセンターの調査による)。
2020年7月には、電気自動車大手のテスラが世界の自動車メーカーの時価総額ランキングで長年トップを守り続けていたトヨタの時価総額を追い抜きました。2020年1月20日現在テスラの時価総額はトヨタの2倍以上となっています。持続可能なエネルギー エコシステムの構築を目指し、最近では太陽光発電や蓄電システムの事業も始めた彼ら。その注目度の高さがうかがい知れます。
また2020年12月1日に米証券取引所ナスダックは、上場企業に対して、黒人や人種的マイノリティー、LGBT、女性の取締役登用を義務付ける方針を発表。ESG投資に限らず、金融機関業界では企業の環境や社会問題に対する姿勢に変革を求める動きがさらに活発化していきそうです。
3.第三者の指摘によってビジネスの根幹が揺らぐ
どんなにロイヤルティが高い顧客がいたとしても、社会的な責任への対応から逃れることはできません。
年々売上数が伸びているアルコール度数7~9%のストロング系チューハイは、医師によって依存性薬物と同程度の危険性があると指摘されています。日本の大手酒造メーカーは販売を継続している一方、オリオンビールがいち早く販売を取りやめました。オリオンビール社長の早瀬氏はこのように語ります。
顧客からのニーズがある商品であっても、第三者の目線によって社会における商品自体の是非が問われる機会は、これから増えていきそうです。
またこのような第三者からの指摘は、BtoB企業にとっても例外ではありません。
2019年12月Appleは、iPhoneを製造する工場が労働法違反していることを理由に人権擁護団体に提訴されました。こうした動きもあり、現在Appleは、サプライヤー査定を実施し、パートナー企業にも労働、人権、環境の保護を求めています。
これから企業は経済価値と社会的価値の両立が求められる
こうしたさまざまな観点から、企業が社会的責任に向き合うべき状況になっているいま。
いち早くそうした取組みに着手をしてきたブランドの一つであるネスレ日本の元代表取締役社長の高岡氏は、こうした企業の取り組みについて、次のように発言しています。
本質的に社会課題を解決するためにも、収益性のある企業の取り組みは重要です。
私たちは、経済価値と社会的価値を両立しなければビジネスは持続的に成長できないと考えています。その両立を可能にするブランドを理想とし、支援を行っています。
それにはまずブランドの社会における存在意義=ブランドパーパスを明確にし、企業のビジネスとその事業を通して取り組むべき社会課題を結びつけることが必須です。
ブランドとして社会課題にどう取り組むべきかお悩みの方は、一度ディスカッションをしてみましょう。お問い合わせはこちらから
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