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THAと術後のリハビリについて

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人工股関節全置換術(以下:THA)は、臨床でもみることが多い手術の1つです。

よくみられる手術だからこそ、手術についてや術後のリハビリのポイントについて知っておく必要があると思います。

なので今回は、THAの術式と術後のリハビリについてまとめていきたいと思います。

THAの術式について

THAの術式の違いによって、侵襲組織が異なるで特徴を簡単にまとめていきます。

①前方アプローチ
大腿筋膜張筋と縫工筋の間を切開。大殿筋、中殿筋、外旋筋の温存。
最小侵襲アプローチであり、低侵襲で手術可能。
②前側方アプローチ
大腿筋膜張筋と中殿筋の間を切開。大殿筋、外旋筋の温存。
最小侵襲アプローチであり、低侵襲手術可能。
③側方アプローチ
中殿筋を切開。
④後側方アプローチ
大殿筋、中殿筋、外旋筋(大腿方形筋は残存している場合あり)を切開。外旋筋は、再建する場合が多い。
⑤後方アプローチ
大殿筋、外旋筋(大腿方形筋は残存している場合あり)を切開。外旋筋は再建する場合が多い。

組織損傷の修復期間として

『 皮膚→2週  筋→2週  靭帯→6週 』

だいたいこれくらいの期間がそれぞれの組織で必要です。

術式を知り、損傷組織を知ることで上記の期間の間は、損傷組織に対して過剰なストレスがかからないようにしなければなりません。

術式による脱臼肢位の違い

THAを施行した後、最も注意しなければならないこととして、

脱臼リスクがあげられます。

なので、脱臼しやすい肢位を知り、その体勢をとらないように注意する必要があります。

そして、術式によって脱臼肢位が異なるので、損傷組織の知ることだけでなく、脱臼肢位を知るためにも術式の確認は必要です

『前方、前側方アプローチ』 → 股関節伸展+内転+外旋
『後方、後側方アプローチ』 → 股関節屈曲+内転+内旋、深屈曲

上記のような複合運動は、取らないような動作指導が大切です。

THA後のリハビリで大切なこと

私はTHA後のリハビリとして、3つ大切なことがあると思っています。

①屈曲+外転+外旋可動域の獲得
②腸腰筋・外旋筋の機能改善
③患者教育

手術を行う目的は、人それぞれなのでゴールは人によって異なります。

なので基本的には、訓練はその人に合わせて行います。一概にこの訓練が必要とは、言えません。

ただ、THA後のリハビリで必ず獲得を目指すことがあります。

それは、

股関節屈曲+外転+外旋可動域  腸腰筋・外旋筋の機能改善です。

①屈曲+外転+外旋可動域の獲得

屈曲+外転+外旋の可動域は、更衣などADL動作を獲得するうえで必要になります。特に靴下を履く際、爪を切る際に重要になります。

可動域がないと『屈曲+外転+外旋位』での動作ができないので、脱臼肢位である『屈曲+内転+内旋位』でADL動作を行ってしまう可能性が大きくなります。

脱臼のリスクを減らす為にもこの可動域は確保しておきましょう。

②腸腰筋・外旋筋の機能改善

腸腰筋と外旋筋は、股関節のインナーマッスルです。術後でも股関節の安定性を獲得するために機能改善を図る必要があります。

腸腰筋は、骨盤が前傾位で固定されていて短縮している、骨盤が後傾位で筋力が低下しているなど、術前より機能低下に陥っていることが多いです。

外旋筋は、後方・後側方アプローチでは手術の影響を受けます。なので、術後でも再度、外旋筋が機能するようにアプローチが必要です。

③患者教育

もう一つ必ず行うことが患者教育です。

特に『 脱臼肢位について 』の説明と動作の練習は、必ず行う必要があります。

実際、脱臼の頻度としては、初回1~5%、再置換術後5~15%とされています。ただ、可能性は0%ではなく、一度脱臼してしまうと再脱臼の可能性が高くなります。

なので、患者自身が脱臼について理解し、注意する必要があります。

脱臼肢位別に注意しなければいけない動作と対処方法を下記にまとめました。

◆『前方、前側方アプローチ』→股関節伸展+内転+外旋
●高いものをとるときに、背伸びをしてとらない。台を使用すること。
●患側を軸にして、方向転換や振り向いたりしないこと。 など
◆『後方、後側方アプローチ』→股関節屈曲+内転+内旋、深屈曲
●靴、靴下をはく際は、股関節屈曲+外転+外転位で履くこと。
●しゃがみ込みを行わないこと。
●床に座る際は、四つ這い位を経由して、患側を伸ばしながら座ること。
●正座はやってもいいが、割座や横座りにはならないこと。  など

加えて、

●重たいものを持たないこと
●激しい運動は避けるように など

股関節に負担がかかる動作も合わせて伝えます。

今後の生活で股関節に負担をかけ、痛みが出ないようにするためにも説明は必要です。

これらは、患者は知らないことが多いので、セラピストが患者教育として正しく伝えることが大切になります。

今回はここまで。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

何か意見やアドバイスがあれば、コメントよろしくお願いします。

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