膝関節の2つの関節の動きを考える
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今回は、膝関節の2つの関節の動きについて考えていきたいと思います。
みなさん、膝関節を動かす上でどんなことを意識していますか?
ただ曲げ伸ばしをするだけでは、なかなかよくならない患者も多いです。
なので、しっかりと関節の動きを理解したうえで動かしていきましょう。
膝関節を構成する関節
膝関節を構成する関節は、2つ。
①膝蓋大腿関節(以下:PFjt)
②脛骨大腿関節(以下:FTjt)
PFjt、FTjtともに膝の動きに関わるので評価・治療するうえでどちらも知っておく必要があります。
膝蓋大腿関節(PFjoint)
PFjtは、大腿骨と膝蓋骨によって構成される関節です。
大きな特徴としては、
完全伸展位で緩みの肢位で上下左右に可動性を有し、屈曲するにつれ膝蓋骨が上下に移動し、大腿骨との接触部位が変化します。
下記に膝関節の屈曲・伸展に伴って、膝蓋骨と大腿骨の接触部位が変化を記しておきます。
大腿骨に対する膝蓋骨の接触部位
屈曲20°→下方
屈曲45°→中央
屈曲90°→上方
屈曲135°→内外側
このように屈曲・伸展に伴って、膝蓋骨も一緒に動く必要があるわけです。
そのためPFjtを見る際のポイントとしては、
●伸展位で上下左右に偏りなく動くこと
●屈曲・伸展に伴い、膝蓋骨も動くこと
この2つが大切になってきます。
脛骨大腿関節(FTjoint)
FTjtは、大腿骨と脛骨から構成される関節です。
FTjtの大きな特徴としては、
屈曲・伸展を行うメインの関節であり、屈曲・伸展に伴って回旋の動きが伴います。
簡単に膝関節の屈曲・伸展時の脛骨の動きをまとめると
●膝関節屈曲 → 脛骨の前方移動+内旋(Roll back機構)
●膝関節伸展 → 脛骨の後方移動+外旋(Screw home movement)
のようになります。
膝関節屈曲
膝関節の屈曲に伴って、脛骨は前方移動+内旋方向に動きます。
屈曲に伴う、脛骨の前方移動をRoll back機構といいます。
このRoll back機構は、後十字靭帯(以下:PCL)によって機能します。
屈曲する際にPCLが大腿骨の後方巻き付く形となり、緊張します。そうすると、脛骨の後方移動が制御され、脛骨が前方に移動することできれいに屈曲ることができます。
膝屈曲ROMを行う際は、膝窩部に手を挟むことで、脛骨の後方移動を制御しRoll backを誘導することが可能です。
また、
下腿が外旋位で固定されていることで脛骨が内旋方向に動かず屈曲がいかない人もいます。
そのような方は、下腿外旋固定をしている膝側組織(外側広筋、大腿筋膜張筋、大腿二頭筋、腓腹筋外側頭 等)の柔軟性を確保します。そのあとに屈曲に伴いながら内旋方向に誘導することで、屈曲がいきやすくなります。
膝関節伸展
膝関節の伸展は、脛骨の後方移動+外旋運動が必要です。
最終伸展域(0~30°)で伸展するとき、脛骨が外旋することをScrew home movement(以下:SHM)といいます。
SHMが起こる理由は二つ
①大腿骨と脛骨の関節面の形状の影響
②ACLが緊張することによる影響
①大腿骨と脛骨の関節面が内側の方が外側よりも大きいため、内側の移動が多くなり伸展時に外旋方向へ移動します。
②ACLは下腿が内旋すると緊張するため、下腿を外旋させ緊張を緩める方向に誘導されるといわれています。
ここで分かるように、
ACLが高齢化などによって緩んだりすると、SHMが誘導されないことや脛骨が前方移動して伸展を妨げる要因になることが考えられます。
膝関節はこのようにSHMが機能して膝が伸展するため、膝伸展とともに下腿が外旋しないようであれば、外旋方向へ動かしながらSHMを誘導することが可能です。
〈下腿外旋運動を制限する因子〉
半膜様筋、半腱様筋、薄筋、縫工筋、腓腹筋内側頭、膝窩筋 等
上記に記した組織の柔軟性を確保したうえで外旋方向に誘導するとよりスムーズに誘導できるかもしれません。
ただ、
臨床では、下腿が内旋位となっている人よりも、下腿が過外旋になっている人の方が多いです。
このようになる理由としたは、
骨盤後傾+股関節外旋位の姿勢をとっていることであったり、
足関節背屈制限があり下腿が内旋しにくい状態である など
いろんな要因はあります。
このような方の膝を伸展しようと下腿を外旋しようとするとさらに伸びにくくなってしまいます。
このような人に対しては、
逆に下腿を内旋方向に動かしながら屈曲・伸展方向に動かしてみましょう。
〈下腿の過外旋に影響する組織〉
外側広筋、大腿筋膜張筋、大腿二頭筋、腓腹筋外側頭、LCL 等
上記の組織の柔軟性を確保してから内旋方向への誘導を行うとより効果的です。
FTjtを見る上でのポイント
FTjtの膝関節の運動を屈曲・伸展の動きを説明しましたが、見る上で大きなポイントは2つ。
●屈曲・伸展が制限があるかどうか
●下腿の内旋・外旋でどちらかに偏りがないか
この2つをみて、制限がある動きを改善することで、より大きく動き、動きやす膝関節になると思います。
今回はここまで。
この記事を読んで膝関節の関節の動きを意識しながら動かせるといいなと思ってます。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
何か意見やアドバイスがあれば、コメントよろしくお願いします
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