股関節 可動域と触診のポイント
前回、股関節の屈曲・伸展可動域を改善するためのポイントについてまとめました。
※前回の記事を読んでいない方は、こちら↓↓
今回は、股関節の可動域制限因子になりやすい筋の触診についてまとめていきたいと思います。
股関節の可動域制限になりやすい筋は?
詳しくは、前回の記事に書いたのですが、もう一度簡単にまとまてみましょう。
●外旋筋群
●腸腰筋
●大腿直筋
●大腿筋膜張筋
●恥骨筋
上記が股関節筋の中でも硬くなりやすく、制限因子になりやすい筋です。
これらの触診のポイントについてまとめいきたいと思います。
外旋筋群の触診
外旋筋群は、6つの筋から構成されます。
上から梨状筋、上双子筋、内閉鎖筋、下双子筋、大腿方形筋の順で扇上に並んでおり、内閉鎖筋の前面に外閉鎖筋が位置しています。
これらの筋を分けて触診し、リリースをかけていくことが大切です。
外旋筋群を触診するときのポイントとしては、
◆梨状筋を正確に触診すること。
梨状筋が触診できれば、そこから順番に下方に指をずらしていき、それぞれの筋の境目を探していくととで他の筋の触診も可能になります。
(※外閉鎖筋は、内閉鎖筋の前面にあるので触診は難しいです。)
さらに、梨状筋の上方から上殿神経、下方から下殿神経、坐骨神経が走行しているので、神経の絞扼を改善するためにも正確に触診し、リリースできる必要はあります。
【梨状筋の触診】
上前腸骨棘と尾骨を結ぶ中点と大転子を結ぶ線上が梨状筋の下縁の目安になります。上前腸骨棘と尾骨を結ぶ中点と大転子を結ぶ線上を触りながら、へこんでいるとことを探します。そこが境目であり、上部に梨状筋を触ることができます。
【補足】
外旋筋として、梨状筋が取り上げられることが多く、上記でも梨状筋をポイントとして取り上げました。だからといって、梨状筋のみ触診、リリースができればいいというわけではありません。
実は、外旋筋群の中で、梨状筋よりも内閉鎖筋・外閉鎖筋の方が筋質量が大きいんです。内閉鎖筋・外閉鎖筋の方が梨状筋よりも貢献度が大きかったりします。
なので、梨状筋だけでなく、他の筋も触診できるようにしておきましょう。
股関節前面筋の触診
股関節前面にある腸腰筋、大腿筋膜張筋、大腿直筋、恥骨筋は、ランドマークをポイントに触診していきます。
股関節前面筋を触診する際のランドマークは3つあります。
●上前腸骨棘(ASIS)
●下前腸骨棘
●大腿動脈
この3つを指標し、それぞれの筋を探していきます。
【ASISを指標】
ASISから起始する筋としては、縫工筋と大腿筋膜張筋があります。
ASISの内側に縫工筋、外側に大腿筋膜張筋が位置しています。
ASISから2横指下から内側方向に指を動かすと縫工筋の筋腹、外側方向に動かすと大腿筋膜張筋の筋腹を触診することができます。
『 ASISから2横指下 』
内側 → 縫工筋
外側 → 大腿筋膜張筋
【下前腸骨棘を指標】
まずは、下前腸骨棘の触診です。
下前腸骨棘は、ASISから2横指下、2横指内側あたりで触ることができます。
下前腸骨棘からは、大腿直筋が起始しています。
そのため、下前腸骨棘を触ることができれば、下前腸骨棘から膝蓋腱に向かって大腿直筋を触診できます。
さらに、大腿直筋の起始部の内側に腸腰筋、外側に小殿筋が位置しています。なので、これらの筋も合わせて触ることができます。
『 下前腸骨棘 』
下方 → 大腿直筋
内側 → 腸腰筋
外側 → 小殿筋
【大腿動脈を指標】
大腿動脈は、鼠経靭帯、縫工筋、長内転筋から構成されるスカルパ三角の中で触ることが可能です。
位置としてはASISと恥骨結合を結んだ線の中央辺りにあり、触ると拍動を感じる部分が大腿動脈になります。
そして、この大腿動脈の内側に恥骨筋、外側に腸腰筋が位置しています。
大腿動脈を指標に内側と外側で2つの筋を触診することができます。
『 大腿動脈 』
内側 → 恥骨筋
外側 → 腸腰筋
今回は、ここまで。
ポイント、ポイントをとらえておくことが触診を覚える上で大切だと思っています。
ここから先は
¥ 100
最後まで読んできただきありがとうございます。(^^♪ 理学療法士・ピラティスインストラクターの身体の専門家が有効な記事を皆様に届けます!!