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あの日の公式を今年も

タイムラインに流れてきたバズりツイートに、「正解は、越後製菓!」のスピードで「いいね!」を押す。

わたしがnoteのアカウントを取得したのは、ある人の音声配信コントを聞くためで、自分がなにかを書くことはゆめゆめ考えていなかった。

SNSは顔見知りの狭い範囲だけで繋がり、おもしろいものを見つけたらワンフレーズで言う、その程度だった。

それがどういうわけか、はじめて見るものをおっかなびっくり触るネコのように、2021年の春から書き始めた。

雑に考察すると、理由は2つある。

ひとつめは、冒頭のツイートがすべてを物語る。

はるか昔のある日、クラスの半数がまどろんでいた化学の授業後。
多分に漏れずスヤスヤしていたバンビのような友人が「ねえ、先生こんなこと言ってた?」と小首をかしげながら自分のノートを見せてきた。

「密度=毎日ジム通い」と書いてあった。

わたしはかろうじて起きていたが、先生がそんなおもしろいことを口走ったら、速攻で姿勢を正す。

化学の先生は、折れそうなくらい細くて、色白のおっとりとした女性。
ジム通い要素は皆無、黒板に書かれていたのは、密度を求める公式。

可憐な女子中学生に潜む、マッチョ願望の公式に腹がよじれた。

彼女に限らず、授業中に睡魔と死闘を繰り広げているとき、消えゆく意識の中で頭の中に浮かんでいたこと。
それは、IPPONグランプリのホリケン枠で一本取れるかもしれないくらい、シュールでおもしろかったのに、なにひとつ覚えていない。

夢とうつつのはざまだけでなく、お風呂に入っているときや、仕事中一瞬リラックスしたときや、街を歩いているとき。

爆笑まではいかなくても、プスッと笑えるようなフレーズや、これは人生の真理では?と思うような気づきが頭に浮かぶのに、数分後には跡形もなく消えてしまうのだ。

あ!犬の形みたい!と思いカメラを構えたら、すぐに形を変えてしまう白い雲のように。

なんてもったいない。後で見返したときに、過去の自分が未来の自分を笑わせたり、励ましたりしてくれるかもしれないのに。

これが、文章というきちんとしたかたちで自分の浮雲を記録しようと思った理由だ。せっかくnoteという穏やかな場に出会ったことだし。

しかし、それならわざわざ人様に公開せずとも、私的に日記をつければ事足りる。

noteに書こうと思ったふたつめの理由は、在宅勤務が本格化したことが影響している。

定例会議も店長会議もなくなり、文章で業務連絡する機会が増えた。
店頭販売員は、接客しながら業務連絡を目にするため、なるべく完結で短い文章にしようと努めていた。

しかし、やはり読んだだけでは記憶に残りにくいようで、それ案内したじゃない、ということを何回も聞かれてしまう。その一方で、

「物流仕分けミスでみなさんに捜索願を出していた資材、はるばる北の大地で見つかりました!」

というただの報告や、ふざけた言い回しやイラストを怒られない程度に仕込んだ案内は、意外と記憶されている。

困る。色んな意味で。

もっと、大事なことが確実に伝わり、慌ただしい中でも記憶に残るような文章を書く力をつけなければ、と謎のストイックさが発動した。

そのためには、わたしを一切知らない不特定多数の目を意識できるところで書き連ねた方がいい。

見知らぬ方に読んで頂いている、という緊張感がないと、自分や仲間内やだけにしか伝わらない言い回しになってしまいそうで。

あと、三日坊主になる。通信教育は続いたためしがない。ストイックとズボラのはざまで、今日もわたしは。

noteからのこまめな励ましメッセージや、読んで頂いた方の反応が、継続の大きな支えになっていることは間違いない。顔も存じ上げない方の文章を読めるのは、新発見や共感や驚きがあって、見識が広がる。

というわけで、2021年はなんとか毎週末投稿を継続できた。

今週は…母の日が…クリスマスが…土日出勤が…と諦念したときもあったが、まだ己に勝てた。それだけでも収穫だった。

正直、まだまだふたつめの理由というか目標は果たせていないし、細かすぎて伝わらない言い回しや、自己満足のおふざけに拍車がかかっている面も否めない。性根がふざけているから。

もっと、人生の真理をすくい取る内容とか、ココアのような心温まる話とか、食品表示にまつわる実用的な内容とか、をまじめに書けたらと思っていたのだが、性根がふざけているので。

今年も、筋(文)トレもかねて、ジムに通うような気持ちで、つらつらと書いていけたらと思う。「note=毎週ジム通い」の公式を胸に。

む、無理のない範囲で。

新年、あけましておめでとうございます。
お忙しいなか、毎回最後までお読み頂き、リアクションをくださる皆様、いつも本当にありがとうございます。継続の力になっています。
論文口調が抜けませんが、フフンと笑って頂けたり、どうでもいい内容に気持ちが軽くなったりして頂けていたら幸いです。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

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