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創作という、大航海。

ふと、考える。
創作とは、自身の創造を超えたその先にあるものを見つけることなのではないかと。誰にでも作りたい何かはあって、でも、頭のなかのプロット通りに進まないことが創作の苦しみなのであって、創作とは、大海原に出る航海に似ている。
順調な時はぐんぐん進み、飛び魚の群れやイルカの群れを見るのを楽しむようにポンポン色々な比喩表現や文体を彩る美しい言葉が浮かぶが、山場に差し掛かろうとした途端、悪天候に見舞われ、海が荒れて船は揺れる。

そこで、書き手は心の舵をどうとるかに任される。
それは創作の神様に試されているとでも言えようか。舵の取り方は人それぞれで、十人十色。創作から離れて、絵画を見たり、造形したり、音楽を聴いたり奏でたり、あるいは、その今自分が取りかかっている創作とは別な物語をメモ書きのように書き記し、視点を変えて、書き続ける人もいるだろう。
例えば一番多いのが日記だ。そして、中には外に出て、カフェ等に入り、自身が目にした光景や、その場の雰囲気で思い付いたことをメモする人もいるだろう。

私はというと、どちらかといえばそういった気分転換的なことは殆どせず、書くことの苦しみと同化しながら、何時間もパソコンに向かって書き上げる、言わば昔の文豪タイプなのかもしれない。だから、仕事は絶対に辞められないし、辞めてもしもプロになんかなってしまったら、たちまち病気になるだろう。社会生活のなかで気分転換が出来ている今だからこそ、書けることがあるし、書けるものがある。

創作とは、創造を超えたその先にあるものを見つけること。それは大海原を旅する航海に似ている。
だから、モノを書く人は、誰もが皆、心に舵を持つ航海士だと、私は思う。

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