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「女だから。」

今の彼と一緒に暮らす前から、母親とは毎晩のように言い争いが絶えなかった。母は、私とは考え方が真逆な人で、いわば「男」なのだ。母は言っていた。「お前は仕事だけして生きていけ。その上で自由に生活しろ。男なんかに依存するんじゃない。今は結婚の時代じゃないんだ。結婚なんか、後々苦労するだけ」と。私の母は、二度の結婚に失敗し、おまけに私を産んでから、糖尿病で目を悪くし、お世辞にも「幸せな人生」とは言い難い人生を送ってきた。だから母は、「結婚」が大嫌い。だから私の今の仕事も結婚相談所の事務員なのだが、それも気にくわないらしく、「お前の会社は、いつ潰れるの?」、「コロナだね、解雇の通達来た?」「結婚なんて、流行らないよ」等、平気で人の心を蹂躙するような言葉を掛けてくる。

ある夜、また言い争いになり、母が私の彼のことを、彼が埼玉県の川越市生まれで川越に今でも住んでいて、川越を愛しているのを母も知っているので、川越は薩摩芋で有名な場所なので「あんな芋男のどこが良いの?ただ仕事が技術屋なだけじゃない。第一、川越なんて夏は暑いし、冬は寒いし、あんたが暮らせるわけないでしょうが。結婚は、私が生きている間は一切反対だよ」と言ってきたので、私は堪忍袋の緒が切れて、「仕事ばかりに没頭して、プライベートも一人きりのどこが楽しいの?!そんなのは脂の乗っていないパサパサの肉や魚でしょうが!そんな人生私は嫌だね。私には彼というパートナーが必要なの。何故なら私は、女だから。」そう言って数日後の休日に、彼に会い、彼と一緒に暮らすための話し合いをしました。彼はすごく優しい人で、「僕は川越はもちろん好きだけど、一緒に暮らすなら、何がなんでも川越って訳じゃないよ。ふうちゃんのお母さんのことも考えて、習志野の団地近くのアパートにしよう」と言ってくれたのです。私は嬉しかった反面、正直心の中では「あの母親の近くか。。ウゲッ!」と思いました。

それから、二人の生活をはじめて、半年近く経ったが、私たちは幸せに暮らしている。ただ、母親の要望はキツく、週の日曜日には、ヘルパーさんが来ないから買い物に行ってきてほしいので、私に帰るように命じ、私の彼には会いたくないので、連れてくるな、月曜日はここから会社に通え、など要望を突きつけてきて、私は受ける他なかったが、彼は彼で川越に実家のご両親を看に帰っている。

やっぱり、私は「女」なのだと思う。彼(男)のいない人生なんて考えられないし、彼とじゃないと楽しめない。世の中には、母のように「男なんか必要ない!仕事して、好きなことをするのが一番」などという「オス化したメス」即ち「男女」が増えているようにも思うが、私はタイプ的にどうしてもそうはなれない。

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