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ウサイン・ボルトは何がすごいのか?

短距離選手として、レジェンドと言える選手といえばウサイン・ボルト選手です。2008年の北京オリンピックで世界記録を更新し、一気に陸上界のトップとして2017年まで君臨し続けました。彼の何がすごいのか?走り方の特徴な何なのか?今回はこれを解説していきたいと思います。

17歳(2004年)でトップ選手の仲間入りを果たしていた!

僕がこのボルト選手を初めて知ったのは、この2008年ではありませんでした。2004年に、陸上競技マガジン(ベースボール・マガジン社)の巻末のニュースを読んでいたら、17歳の選手が200mを19.93秒のジュニア世界新記録をマークしたというニュースを発見しました。17歳で20秒を着るのは史上初。ものすごい選手が出てきたぞ!と感じ、この衝撃は今でも覚えています。

しかし、その年のアテネオリンピックでは結果が出ず、その後も怪我が相次いだようで、なかなか大会で結果が出ません。

そして、2007年の大坂世界陸上で19.91秒で銀メダルを獲得します。実は彼が出場していることに気づかず、僕は100mの決勝のチケットしか買っておらず、生でボルトを見る機会を逃してしまいました。今思えば、非常にもったいなかった・・・笑

世界に驚きを与えた2008年、そして不滅の世界記録へ

2008年の北京オリンピックで残り20mを流して9.69秒をマークし、当時の世界新記録を更新。これは世界中に衝撃を与えた瞬間・・・。

圧倒的な中盤からの加速、そこから先は誰も寄せ付けること無い王者の風格を感じさせていました。

そして、更に200mでは誰も破ることがないだろう不滅の世界記録と言われた19.32秒を更新・・・。19.30秒をマーク。旧世界記録保持者のマイケル・ジョンソン氏もこの記録が破られる日が来るとは思っていなかったのではないでしょうか?

そして、翌年のベルリンでの陸上世界選手権でさらなる伝説を目にすることになりました。前人未到の100m9.5秒台。200mは19.19秒と更に記録を更新。ボルトはこの瞬間に伝説となったと言えるでしょう。

その後、2016年のリオ・オリンピックで引退を表明するものの、翌年のロンドン世界陸上まで現役を続行することになります。
※これはおそらく周囲の期待やスポンサーの関係で、本人の意思が通らなかったと思われます。

最後はリレーで肉離れを起こし引退となりましたが、彼の残した功績に傷がつくようなことはなく、多くの人に称えられて引退しました。
※今回はサッカー選手としてのボルトの話は出しません。

彼の強さの秘訣は何だったのか?

彼の強みはおおまかに今回は3つにまとめました。
これら3つの要素が合わさって、彼のキレイで美しい走りが作られていると僕は思っています。

2m近い身長を巧みに操ることができる技術とそれを支えるコアの筋力

彼の強さは高い身長で、他のスプリンターと同じ早さで身体をコントロールできることです。当たり前ですが、同じ動きができるなら大きい選手のほうが有利です。デカくて速い。彼の強さを一言で表すならこれです。これでしかない。

では、なぜ彼が大きいのにこんなに上手に体を使えるのか?これはもう一つの特徴にも繋がるコアの筋力の強さに秘密があります。これは次の特徴で細かく説明しましょう。

背骨から全身に伝える滑らかな体重移動

彼は実は脊柱側弯症を持っていたということがわかっています。それが2004年から2007年の相次ぐ故障の原因だったと言われています。

その側弯症の影響を防ぐために筋力の左右差を減らしたり、姿勢矯正などをしたようです。実際に、彼の若い時の動画を見てみるとかなり右に傾いて走っていました。

※この動画で確認できます。

側弯症の改善が彼のもともとある才能を結果的に伸ばしたと言えそうです。左右にしっかり体重を載せてバネを効かながら、前にスムーズに進んでいく。過去どのアスリートの走りを見てもここまできれいな走りをする選手は多くありません。

加速段階で重心位置を高くする独特のスタート

彼の最大の特徴とも言える動作がスタートの動き出しです。

流しと言われる7〜8割で走る練習で、スタート前に軽く上に跳ねてから走っているのがわかるでしょうか?これは、実はレースのときもクラウチングスタートで軽く上に跳ねてから走るのが彼の走りの大きな特徴になります。上の100mの世界記録のときの動画にスタート時のスローがあるので確認してみてください。

実はこれには大きな利点があります。物体はエネルギーを持つのですが、運動する際に使われるエネルギーは位置エネルギーをベースにして運動エネルギーに置換し、地面に接地した瞬間に弾性エネルギーになるように身体をコントロールしながら位置エネルギーと運動エネルギーの交換を続けながら走っていきます。

このときのポイントは位置エネルギーが高ければ高いほど、走る速さは高くなります。高いところにある物体のほうが強いパワーが有るのは何となく分かると思います。ボルトはそれを高くするために走る前にわざと軽く上に跳ねて走っているのです。そうすることで高い位置エネルギーを確保し、走るスピードに生かしています。後半の劇的な伸びはもともとの高身長に加えて更に高い位置エネルギーを持って走っていることが他の選手との差を作っていると考えられます。

参考にすべきはこの高い位置から動き出す動作です。この動きをみなさん、是非真似してほしいなと思います。やってみると走り出しが軽いですし、スピードが乗ったときの勢いが今までよりもググっと出てきます。

ボルトの最大の特徴はこれだと僕は思っています。

ボルトと同じ記録は無理だが、ボルトと同じ動きはできる

この言葉は僕の本や、セミナーでも違う形で引用して使っている言葉です。トップ選手と同じ記録や成果は出すことは難しいですが、トップ選手と同じ毎日の過ごし方や練習の仕方、そして身体の使い方は誰でもできるのです。

筋力や体格によってできないとよく多くの人は言いますが、そんな事はありません。全く同じ記録や動作なんてことはできませんが、身体の使い方の要素は同じ人間ですから、ほぼ同じです。違うのはそれまでの運動経験や感覚なので努力でできることはたくさんあります。

そういった意味で、こうしたトップ選手の動作の解析というのは有効だと僕は思っています。と、いうか自分が競技をする上ではトップ選手の動きをたくさん見て、分析して、自分でできるように練習や工夫をして今までの自分の成長や、今の指導の基礎があります。

なのでトップ選手を参考にすることは非常に有効だと断言できます!
コロナで家に閉じこもっている人も多いと思うので、今回の記事を参考にして、たくさん動画を見てイメージトレーニングをたくさんしてください!

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さて、今回の記事はここまでですが、コロナの自粛が思った以上に長く、仕事がやはり滞っております。記事を今後たくさん書くことになりますが、無料ですべて公開できる余裕が今までのようになくなってしまいました。

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