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ハードル技術の考察

「ハードルは跨ぐように越える」と陸上をやっていると、そう教わります。

その時のコツは「リード脚を使ってハードルを踏み切って越える」とも教わります。

現に私は、学生時代に後輩や外部指導員として中学生や高校生に教えるときもそうやって教えてきました。
しかし、上半身が大事と指導をするようになった今は少し変わってきました。

世界は上半身からハードルを越えていく

ハードルを越える時にリード足で踏み切るが、それ以上に上半身が先にハードルの上に乗り込む感覚で越えないと世界のレベルには追いつかないのではないか?と考えはじめました。

その理由としては脚が先行すると上半身がどうしても遅れるからです。
そうすると、どうなるか?ハードルを越えるたびに減速する、そしてインターバルの3歩を頑張る。そしてまたハードルで減速する。となるとどうしてもスピードが上がってこない。

しかし、世界のハードリングはハードルを越えたあとのインターバルの3歩で加速していくのです。しかも、ハードルを越えたあとの着地から加速・・・。

以下は世界記録保持者のアリエス・メリットの練習風景の動画。

”引用元:IAAF Diamond League”

この加速するハードリングは異次元です・・・笑

加えて、中国の劉翔(リュウショウ)選手の動画も載せます。

”引用元:YUvideoita”

この選手でハードリングで加速する異次元の走りを目にしました。

そこから、自分自身はハードル選手ではないし、自分が走ることはないけど、あの加速するハードリングの正体を知りたい・・・という欲が出てきました。

では、前述の指導とは何が違うのか?

それは重心が前に移動することが陸上のトラック競技では大前提で、重心を前に移動させることを前提としたハードリング指導をしているとこの動画から見て取れます。
そう、重心移動を前提に考えると上半身から越えていかないといけないのです。


こちらは、2000年代に活躍した内藤選手と田野中選手などのレースで、

内藤さんは元日本記録保持者でもあります。

”引用元:okukon、aoshin”
※本当はもっと公式のような動画を出したかったのですが、見つからずこちらのチャンネルからお借りしました・・・。

世界の加速するハードリングは上半身が先行した動作なので重心も高く前にあるので自然と前に前に、そして落下する力も上手に使えるので楽に前に進む、ため加速するようにハードルを越えることができます。

これは、近年の日本のハードル選手には見られない動きでした。

過去形で話すのはなぜか?このハードリングをして大幅な日本記録を更新し、世界陸上ドーハ大会でも素晴らしい走りを見せた選手がいるからです。

13”25という日本記録だけでなく、世界陸上の準決勝ではハードリングをミスしなければ13”1台を出して決勝、あわよくばメダル・・・だった高山選手です。

動画を見てみると脚が先行ではなく上半身から乗り込むようなハードリングになっているように見えます。途中でハードルをぶつけてしまって準決勝敗退でしたが、これがなければもしかして・・・というレースでした。

彼がどういう感覚で練習しているかは話を聞いたことがないのでなんとも言えないが、Twitterでの投稿の言葉を見てみると重心移動を大事にしているように感じます。

ちなみに、私は身長が161なので競技の高さのハードルで試すのには無理があるのですが、それより低いハードルで、脚でリードするハードリングと上半身から乗り込むハードリングを試しましたが、明らかに後者の上半身から乗り込むハードリングの方がタイムが速く走れました。

こうした、常識を疑いつつも今までの動きでなぜダメだったのか?を考えつつ、とはいえ今までの良さもあるので融合させていくことが大事だなと私は考えています。ハードルに関しては上半身の乗り込み方の変化だけで他の技術は全く世界に劣っていないと感じているので、うまく行けばハードルも世界で活躍できる選手がもっともっと出てくるのでは??と個人的には感じています。

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