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渡辺電機(株)先生の最新漫画がオタク第4世代なのかなって思った話


1.isOtakuDead()

オタキングこと岡田斗司夫先生が2006年頃(たぶん電車男が流行ったぐらい)こんな風にオタクを定義づけていた。

(しかし名演説だなぁ、コレ)

・オタク第1世代:
 中森明夫に”おたく”と初めて命名(1983年)された世代、
 1980年代前半ぐらいにオタク活動をしていた人達、
 貴族主義的
・オタク第2世代:
 宮崎勉事件や宅八郎などのイメージによって差別された"おたく迫害"世代、
 1980年代後半〜1990年代半ばぐらいにオタク活動をしていた人達、
 エリート主義的、
 エヴァショックを受けた。
・オタク第3世代:
 オタクが一般化され、迫害されなくなった、”萌え”世代、
 1990年代半ば以降にオタク活動をしていた人達、
 オタク人口が爆発した時代を生きた、
 エヴァショックは受けなかった。

そしてあまりに普通の人達に浸透し、ジャンルが細分化され、話が合わなくなり、オタクというものは死んだのだという。SFが一般化し、SFファンというものが見えなくなって消えてしまったのと同じように。

「そうか、オタクは死んだのか、そぉだよなぁ、もうオタクなんて普通だし、死語だよなぁ」と思っていたのだが……
...
..
.
そしたらね、ありました、一生懸命探しました(島田紳助の口調で)、
あったよ!第4世代が!

それが今回とりあげる渡辺電機(株)先生の漫画「父子家庭はじめました」です。

2.オタク第4世代=AR/MR使い

オタク第4世代とは何か?ワイ将、頼まれもしないのに勝手にこう定義しちゃう。



AR(Argumented Reality):拡張現実MR(Mixtured Reality):複合現実を使って自分の”好き”,”アンテナにひっかかったモノ”などを表現・発信する世代、現実と虚構が高度に入り交じる世界を生きる初めての世代。

ARとかMRというと、ヘッドマウントディスプレイとか攻殻機動隊(漫画の2巻、あるいはTVアニメ版)みたいなのを思い浮かべるけども、それよりは広い意味で「現実と虚構をコンピューターを使って糊付けしたモノ」としておく。

3.「童貞女子!!」

「父子家庭はじめました」を読んだ時、ああこれは日記漫画と「あずまんが大王」みたいな萌え漫画の中間だな、というのが最初の感想だった。どれどれ、この漫画家どんな人だっぺ、と興味がわいたのでgoogle検索してみた。

「あれ、なんか電機工事店がたくさん出てきたぞ。ふんふん世代的には第1世代オタクか、明治のSF研出身?うわぁつよつよオタクだわ、絡まれたらめんどくさいゾー、コレ(偏見)」などと色々調べているうちに、氏の昔の作品の「童貞女子!!」(2012年)を読んでみた。

「あっ!!」

そう、気づいたのである、ジャンルとしては日記と下ネタギャグの違いはあるが、

「同じやん!!」

あるいはこうも思った、

「アハハハー、漫画で書いたことが現実になるなんて、漫画みたいな人生ですねー」

と。

4.「父子家庭はじめました」の魅力

この漫画の魅力は何なのだろう。

まず、物語の背景として、独身55歳にして突然に2人(今は3人)の子持ちになる時点で面白い。ワイのような小心者は、そんな歳で中学にも上がっていない子供3人面倒みなきゃいけないなんて大変そう、将来大丈夫ですか?お金かかるでしょ?なんて余計な心配をしてしまうのだが、この漫画の登場人物は物凄くヒョウヒョウと面白おかしく生活している。
初めての保護者会に参加して、ママ友ネットワークの驚異を体験したり、連載が終わってお金が心配な中、唐突に娘の「アユちゃん」からクッソ高いアイスをねだられたりと、独身漫画家時代には味わえなかった体験が面白い。
流石オタク第1世代だ、しかも漫画家という職業を選んだ勇気ある人だ、つよつよだ。ワイのようなひ弱なオタク2.5世代サラリーマンからしたら超人だ。


次に、現実の「アユちゃん」のキャラクターに負う所が多いのか、カリカチュアライズの面白さなのかわからないが、この「アユちゃん」というキャラクターに魅力がある。落ち着きがない行動から繰り出される数々のエピソードは、まるで漫画である。
しかもこのオッサン、オタク第1世代のギャグ漫画家なはずなのに、姑息にも「2000年代的萌え」の要素を取り入れていやがる、ヤベェぜ!!
例えばこのお話:

の「何しゃべっていいかわかんない…」のコマ、すっごく可愛くない?「萌え」感じない??ラブライバーみたいな厄介なオタクのファンが付きそうな感じしない???


第1世代のオタクが書いてる漫画として見ると、自身のオタク経験・漫画家経験と子育ての経験を元に、「童貞女子!!」に出てくるキャラクターの"天我おなほ"と"沢尻あなる"(ひでぇ名前だなぁおい)をリミックス&パワーアップした姿が、この漫画の中の「アユちゃん」なのかもしれない、と考えるともっと面白いし、感慨深い(最高列で腕組みしながらワイが育てた、と言わんばかりに)。

5.現実と虚構がコンピュータでくっつくのがフツーの時代

「父子家庭はじめました」は渡辺電機(株)先生の日常生活と漫画をnoteってサイトで糊付けした代物です。

そもそもブログやSNSなんてものが流行りだした頃から、ワイら現実と虚構があいまいなものを大量に消費するようになったんではないか。モキュメンタリーっていうのは昔からあったけども、コンピュータあるいはコンピューターネットワークを使って現実と虚構があいまいなものに説得力や存在感をもたせたり、あるいは大量に流通させて楽しむ、というのが今のオタクなんじゃないかと言いたいんですわ。


例えば:
・コスプレイヤーのフォトショ修正
  →コスプレイヤーそのものが現実と虚構が曖昧なモノの先駆者かもしれん
・ニコニコ動画のコメント表示
  →コンテンツと試聴者のコメントが重なってるとかAR的
・映画「第9地区」の特に前半部分
  →SFモキュメンタリーの元祖「宇宙戦争」へのオマージュで始まるとか
   「ワイこそが正統なSFの後継者や!」って主張強すぎだろ!!
・アイカツプラネット
  →実写とアニメが変身パートを境に切り替わるとか天才的発想!!
・「KING OF PRISM」以降にあたりまえになった応援上映
  →元祖は2007年のプリキュア5らしいけど、メジャーになったのはこれでは?
・vTuber
  →声優オタク、声優/アイドル志望者の後継
・お台場&横浜の1/1ガンダム
・アニメの実写映画化ブーム(銀魂、進撃の巨人、ジョジョ第3部、テラフォーマーズ、ドラゴンボール、斉木楠雄のψ難etc.)
・聖地巡礼ブーム
・ラブライブ!
・チャージマン研
とか。ここ10〜15年ぐらい流行ったモノとか出てきたモノって、えらくARだったりMR的だと思いません???っていうか、wikipediaとgoogle検索頼みでこの記事書いてるワイ、草薙素子じゃね?


コンピュータやインターネットが社会生活に溶け込んだだけ?
定義が広すぎる?
しゃぁないやろ、オタクは死んだんや!





まァ、繰り返しますけど、要は結論はこうですワ:

「父子家庭はじめました」と「童貞女子!!」を並べて読むとなぜか面白い。

6.おまけ

「電波男」の本田透先生、元気かなぁ、学生の頃から楽しませてもらってたけど、ホームページがここ10年ぐらい全然更新ないんでなぁ。

先生ーーー、時代が先生に追いつきましたよーーーー。もう完全に現実と虚構が入り混じってワケわかんない世界に生きてますよー(ワイだけか、そうか)。

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