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【書評】森岡 毅さんの「USJを劇的に変えた、たった1つの考え方」を読んでみた

Hello note!アジャイル開発TのA氏です。

2回連続で投稿させていただきます。

前回はインセプションデッキを用いたチームビルディングについて書きました。

今回は最近読んだ本が、サービス創りに関わる多くの人に役立つ内容だと思ったので紹介します。

本のタイトルは「USJを劇的に変えた、たった1つの考え方」。

ジャンルはマーケティングで、著者の森岡 毅さんは「もうすぐ潰れる」と言われ続けたユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)の業績をV字回復させた立役者です。


森岡 毅さんとは?

現在、森岡さんは株式会社 刀というマーケティング専門企業の代表を勤めていますが、USJの業績V字回復の仕掛け人として有名になりました。

もとはアメリカの生活用品大手のP&Gで、ヴィダルサスーンなどのヒット商品のマーケティングを担当されていました。

グループ会社のウエラジャパン社で副代表を経た後、USJにチーフ・マーケティング・オフィサー(CMO)として招かれました。

USJは2001年の開業初年度こそ多くの来場者でにぎわいましたが、それから右肩が下がりの不調続きで、「客が少ない」とか「値段が高いだけ」といった悪い評判ばかりが目立っていました。

今やハリーポッターのような大人気施設ができたり、毎年のように過去最高の入場者数記録を超えたりと良い面ばかりが目立ち、東京ディズニーランドと並ぶエンターテインメント施設となりました。

激的な改善の裏側でどんな改革を行ったのか?その一部を垣間見ることができます。


書籍のサマリー

この本を読むと以下のことを知ることができます。

● そもそもマーケティングとは何か?
● 日本企業がマーケティング下手な原因
● USJを復活させる際に行ったこと、行わなかったこと
● マーケティングを成功させる実践的なポイント

マーケティングと一言で表現しても、その職務はIRや広報的なものからリサーチャー、オンライン/オフライン広告、データアナリティクスなど多岐にわたります。

その分野で仕事をしてない人はぼんやりしかわかないので、マーケティングの本と聞くと、難しそうなイメージがありますよね。

この本では「マーケティングとは」の基礎から始まって本質に迫り、最終的には実践的なポイントを学ぶことができるので、誰でも理解しやすい内容となっています。


USJを劇的に変えた1つの考え方

ここからは、心に残ったトピックをいくつかご紹介します。

まずは本のタイトルにもなっている「USJを変えた考え方」についてです。

当時のUSJ最大の問題は、客足の減少でした。

森岡さん曰く,

消費者が「喜ぶもの」と「喜びそうなもの」は違う
働く人の常識は玄人になり、消費者とかけ離れる

つまり消費者目線ではなく事業者都合のサービス提供がされていたことが、解決すべき問題でした。


「消費者目線の考え方を徹底せよ!」なんて当たり前のようですが、一定規模の会社になると実行に移すのはけっこう大変です。

消費者目線の素晴らしいアイデアがあっても、社内の様々な人を説得するうちに事業者都合に様変わりするケースを、私も何度も見かけてきました。

サービス創りを個人の勘に頼らず、消費者目線で意思決定するための仕組み(プロセス作り)が大切ですね。


考える順序

「まずは広告を打とう!」なんて行き当たりばったりの発想はアンチパターンです。

森岡さんは目的(上位)→ 戦略(中位)→ 戦術(下位)と順序だてて考えなければ、良いマーケティングになりえないと断言しています。

ダイエットの例をあげてみましょう。

目的:やせてスリムになりたい
戦略:運動でエネルギーを消費させてやせよう
戦術:火・木・土曜にランニングする

上記の例では具体的アクションがランニングとなりましたが、他にも多くの戦術を考えることができるのは、目的や戦略が定まっているからです。

目的や戦略が定まっていれば、それに外れた戦術(アクション)を選ぶことも防げます。


良い戦略とは

マーケティングを成功させるキーポイントとして、上記「目的・戦略・先述」のうち、森岡さんは戦略について詳しく言及されてます。

『良い戦略には4Sがある』そうです。

Selective:選択的である=やることとやらないことがハッキリしている
Sufficient:十分である=その戦局で勝利を収めるのに十分か
Sustainable:持続可能である=その戦略を中長期的に発揮できるか
Syncronized:自社の特徴と整合性がある=自社の強みを活かせるか

企業内にある資源(人、物、金)は有限なので、4Sを整理のうえ、目的達成に向けた資源配分が必要となります。

資源配分を検討する際、4Sのフレームワークを使えば重要なポイントを外さずに検討できそうな気がします。


マーケターだけの本ではない

今回は森岡 毅さんの本「USJを劇的に変えた、たった1つの考え方」について紹介しました。

ここまで読み進めていただけたならお気づきの通りで、この本はマーケターのためだけに書かれたものではありません。

顧客向けの事業に関わる人であれば誰もが役立つ内容だと思います。

そういえばネスレジャパン元社長の高岡 浩三さんも「経営=マーケティングである」と語られていたことを思い出しました。

マーケティングは会社の頭脳であり、会社組織を動かす心臓の役割も担います。

会社の事業の行方を占う使命感が伝わってくる書籍なので、マーケターに限らず多くの人に読んで欲しい一冊です。


以上、本日はここまで。

それでは!