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小説について考える記事

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だいたい軽めのエッセイになりますが、小説論や創作論と少し絡めて書いています。
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#読書感想文

「成瀬は天下を取りにいく」を読む。200年の意味

200年という時間  戦後の歴史を調べている時に、知り合いの研究者が「現代人はせいぜい2…

味生大昂
1か月前
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「素粒子」を読む。成功者も落伍者も、愛だけは手に入らない。

(性的で露悪的な表現が含まれます)  いい加減に布団をきれいに洗濯しなければいけないな、…

味生大昂
4か月前
31

「どくろ杯」「ねむれ巴里」を読む。民族的ルーツをもった風景。あと少し建築の話。

 なんとなく「風景描写を楽しめる小説は強い」と思っている。冒頭に入る花鳥風月や、登場人物…

味生大昂
8か月前
37

「雨を知るもの」を読む。誰にとっての「事件」だろうか?

(秋田柴子先生がやまなし文学賞佳作を受賞されました。 読者の内の一人として、僭越ではあり…

味生大昂
11か月前
36

「宙返り」を読む。理屈を超えた、瞳のちから。

 謝罪会見というのは、気が重いものである。  いや、実際に聴衆を集めて謝罪会見をしたこと…

味生大昂
1年前
33

「サージウスの死神」を読む・物語の主人公は呪われている

 佐藤究の「サージウスの死神」には、ギャンブルに取り憑かれている破滅的な主人公が登場する…

味生大昂
1年前
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「テスカトリポカ」を読んでいます・構成は生き物だ

 (若干ネタバレあります)  今読んでいる佐藤究の「テスカトリポカ」の感想をノートにまとめている。まだ4分の3ほど進んだところなのだが、途中経過としてここに書いてしまう。  素晴らしく面白くて、かつ独特の小説だ。エンタメとして面白い以上のなにか稀有な秘密があるはずだと思う。  たまにこういう小説を読む機会に恵まれるけれど、構成が生き物みたいにオーラを放っている。「起承転結」や「ハリウッド3幕構成」といったものを超えて、構成が話を盛り上げるためのツール以上の輝きを持ってい

初期の中村文則が描いていた当事者性

  「私」ばかりの中村文則の小説  ふつう、「私は、私は、私は」という風に自分の話しかし…

味生大昂
2年前
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僕が仰ぎ見ているモノスゴい小説家3人

 今は午後18時46分です。  ガスコンロでシチューの鍋を温めて、もう少ししたら食べよう…

味生大昂
2年前
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真夜中の散歩中に見たもの(ドストエフスキーと貧困について)

(読まれる方にとって不愉快な表現が多々あると思います。ごめんなさい)  ドストエフスキー…

味生大昂
3年前
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