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雨が降ったら黒い服を着る

雨が降ったら黒い服を着る。


私は白が好きだ。
何色にも染まることができる
無敵な色だと思っている。

私は白が好きだ。
なんだか体が軽くなったような気分になる。

私は白が好きだ。
ふんわりとした優しい印象の女性になりたい。

私は白が好きだ。
ウエディングドレスのようで素敵である。


クローゼットの中も白一色で染まっている。

白は私にとって夢と希望の色である。


そんな白好きな私には嫌すぎる季節がやってきた。

梅雨だ。

毎日毎日空から水が降ってくる。

足元には泥水が跳ねる。

白い服など着れるものか。


私は全体的に弱い。
とにかく弱いという言葉がぴったりである。


ふわふわしているとよく言われる。
自覚済みである。

実際、話し方も声も弱そうだ。
意思も弱い。
優柔不断で引っ込み思案。

そんな性格も相まって
白が好きなのかもしれない。

実はもっとガツンとした印象を与えたいのに。


黒が似合う人間になりたいと思う。

黒が似合う人は、私とは真逆な人だ。


似合う似合わないはこの際どうでもいい。

足元が汚れないように
濡れても透けないように

雨が降ったら黒い服を着る。

なんだか、無敵になった気分になる。

黒い服を着ているだけで
まずふわふわした人間には見えないだろう。

心做しか意思も強そうだ。

初対面の人が全身黒い服を来ていたら、
意思の弱い私はきっとびびってしまう。

初対面の人をびびらせる。
そんな強い人間になりたいのだ。

外見だけでも
「しっかりした子」に思われたいのだ。

「最初に会った時怖かったんだ」
と言われてみたいのだ。

黒は私にとって武装である。


雨が降ったら黒い服を着る。


雨の日はなんだか

少し自信が持てる気がする。


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