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【詩】森とつながるコンセント、あります。

今月末、とある芸術祭に出品することになりました。
作品制作の前に、込めたい想い・コンセプトを綴りたいと感じました。
終着点は決めていないので、心に浮かんでくるままを書きます。

白い息をはき出す シベリアンハスキーが10匹ほど
氷の大地に伏せている
白い煙をはき出す 若者が10人ほど
目の焦点は 大地にも定まっていない

コンセントから抜かれたプラグ
ぶらり と吊りさがっている
もう二度と つながることはできない
代わりに どこにつながったらいいか 見当もつかずに いる

ここだ! ここだ!
一人の若者が 声を上げて皆を呼ぶ
ここにつなぎ直せばいい ふうっ と安堵の息が重なった
強すぎるくらいのビリビリが 入り込んでくる

一度つながってしまえば やがてそれが当たり前になる
疑問はすべて 愚問になる
前に つながっていたコンセントは 形も忘れてしまった
どんな電流がビリビリきていたか さえも

「なんだかちがう」 は言葉にならない
他のコンセントは 見当たらない さがしてもさがしても

追う背中も 道も 見失った日
夜がくる
ずいぶん久しぶりに 満月を見上げた
ふと 水源の森に行ってみようとおもう
せいいっぱいコードをのばして......

お宮の前で 祈っていた 「力をください」

プラグは一つしかない ......どうする?
振り返ると コードが樹の根元に引っかかっている
たぐり寄せると ありゃ プラグも手元まできてしまった

ぼうっ と ロウソクに 火をともした

充ちるエネルギーには なつかしさ
吹いてきた夜風の意味が分かったから
いま 歩きはじめている



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