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コンダクターリリース記念連載第二弾「就労支援の課題」

みなさん、こんにちは。フェルマータ代表の寺戸です。

アプリ「コンダクター」のリリースを間近に控え、このアプリを通じた取り組みで目指す「働き方」について連載形式でお伝えしていきたいと思います。

数回を通じて、フェルマータの起業ヒストリーをお伝えしていきたいと思いますが、まずは僕自身がなぜ「発達障害の働く」のおける課題を解決したいのかを紹介します。

前回の記事はこちら

就労段階で見つかる「発達障害」

私は普段、フェルマータの経営とは別に、公共事業の中で就労支援の相談員をしています。(いわゆるパラレルワーカーですね。)

公共事業は、発達障害の方に特化した事業ではありませんが、ご支援している経過で発達障害であることの気づいていく、また最近ではグレーゾーンと自身でも認識がある場合もあります。

個人ごとに特性の強弱にはグラデーションがあるため、発達障害と一言で行っても十人十色です。

強い特性が合ったとしても、家庭など周りの環境により「困り」が出ていない場合は、その特性が「発達障害」と診断されることはありません。

その特性のグラデーションにより、診断時期は様々です。

(学術的な正当性は一旦おいておきますが)支援実践の中での実感として、以下のように障害度と年齢により「べき分布」として発達障害の診断時期の違いを表せます。

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重度知的障害や、発達障害でも特性がかなり強い場合、また知的障害を伴う場合などは幼児検診などで診断がつくことがあります。

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次に、小学生以降になって学習での「困り感」によって発達障害が見つかる場合です。また、小学校は授業を数十分受け続けるなど、保育園などから環境の変化があり、そこでADHD(注意欠如・多動症)が見つかる場合などもあるでしょう。

療育を行うために、放課後等デイサービスなどに通うお子さんもいらっしゃると思います。

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以前であれば「アスペルガー症候群」と診断されていた知的障害を伴わない場合です。高い知能を持つ場合には、学校の勉強で困り感はありません。

ただ、大学生になった時に、ガラッと環境が変わります。

高校までは、自分の席が用意されていて、また提示されるカリキュラムをこなしていけばよかった

また「自分のやりたいこと」を探さなくては行けません。単位を取るために自身で日々のスケジュールを組み立てる必要があります。さらに交友関係においても、自らサークルなどで見つけていく必要があります。

この「自由度の高さ」に困り感を感じて、発達障害が発覚する場合があります。

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最後に、高等教育卒業以降に発達障害が見つかる場合です。働くようになってから、うつ病や適応障害など発達障害を背景とした「2次障害」という形で、発達障害が見つかる場合があります。

「自由度」に加えて、「時間」と「対人関係」の要素が加わります

大学までは、ある程度時間を自身でコントロールできます。就労すると、単位時間あたりの生産性を求められます。この「時間を測られる」ストレスがあります。ADHDでうまく業務がこなせなかったり、ASDで時間の見通したが立てづらく、困りごとが出てきます。

次に対人関係です。顧客など自分が初めて会う人とのやりとりや、職場ごとにルールが違うなど。より複雑な振る舞いが求められることになります。

以上のように、「学習」「自由度」「時間」「対人関係」など成長に伴う環境の変化(学校制度、職場環境)と、個人の特性のグラデーションによって発達障害の「困り感」が出現する時期が異なっていきます。

就労期以降の環境変化により、困り感がある方のことを「グレーゾーン」とカテゴライズすると個人的には腑に落ちます。

発達障害と「働く」の課題を通して、特性理解を広めたい

現在も、働き初めてから自身の特性に気づく方々を支援しています。診断を受けるかは、困り具合次第なのですが、伴走しながら、その方の特性を私たち支援者も理解し、共有しながら適職を見つけたり、対処方法を身につけていただくという大変根気のいる作業です。

相談時に過去のことについて伺っていくのですが、人間関係で傷ついてきた方も多くいらっしゃいます。できることがあっても、うまく力を発揮できる環境がなかったり、その傷つき体験により新しい道に踏み出せないことが、相談者さんの力を奪っていることに、憤りを感じてきました。

「発達障害」の認知度はかなり上がってきていますが、学校など教育機関、また僕が就労支援をしながら関わっている障害専門の部局でもその特性理解が十分とは言えません。(ちょっと偉そうな感じもしますが、、僕自身勉強してますし、当事者の方々からいろんなことを教えていただいています。)

コンダクターは、発達障害を持つ方が働くためにより良い環境を作るためのサービスです。前回の記事でもご紹介しましたが、コンダクターは「注意力」の管理を可能とするアプリで「時間」「上司の指示」といった働く上での困りごとを補完します。

この取り組みを通して働く環境を整えていくことが一義的な目標ですが、アプリだけで解決できる領域は限られています。

そのさきで、発達特性に関する理解が広まり、それぞれが適した環境の中で活き活きと力を発揮できる社会の実現を目指しています。その取り組みを推進するために、フェルマータ合同会社を設立しました。

次回はフェルマータ合同会社の泥臭い創業秘話をお伝えしていきます!

→次の記事はこちら

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