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#22-2 【3月15日開催】「メンズで語るFemtech」 イベントレポート

こんにちは。2023年3月15日(水)に開催しましたクローズドイベント「メンズで語るFemtech」についてレポートします。

1.「メンズで語るFemtech」とは

女性中心で語られることの多いフェムテック業界ですが、じつは男性(メンズ)も、たくさん関わっていることをご存じでしょうか。今回、「男性だけでFemtechを語ろう!」をコンセプトに

・日々の悩みや気を付けていること
・今後の業界発展に向けたポイント

など、自由に議論することを目的としたクローズドイベント「メンズで語るFemtech」を、渋谷SOILで開催しました。

本イベントは、Femtech Community Japan(以下、FCJ) 執行メンバーの鈴木智之が企画・進行を務めました。ゲストには

■株式会社サンシャインシティ オフィス事業部マネージャー 小宮山真一氏
■女性からだ情報局 代表 花田秀則氏

をお迎えし、フェムテック事業を推進している方やフェムテックに興味がある方など、総勢9名の男性が集まりました。


1-1.プログラム

趣旨説明(FCJ)
自己紹介・アイスブレイク

ゲストトーク「なぜFemtech業界に?」
・サンシャインシティ オフィス事業部マネージャー 小宮山真一
・アンビデクストラス(女性からだ情報局) CEO 花田秀則
・FemTech Community Japan 執行メンバー 鈴木智之

グループディスカッション①「男の本音トーク」
男性だけのグループで、フェムテックに取り組む男の悩みやあれこれを語りましょう!

グループディスカッション②「Men in Femtech」
フェムテック業界の女性が、男性との関係で困っていること、なども話題として交えながら、引き続き男性にとってのフェムテック業界を語りましょう!

クロージング(FCJ)
参加者同士の懇親、解散


1-2.参加者の皆様(※掲載許可いただいた方のみ)

Femtech Community Japan  執行メンバー / Global Consulting Firm
鈴木智之

株式会社サンシャインシティ オフィス事業部マネージャー
小宮山真一 様
HP:https://co.sunshinecity.co.jp/

女性からだ情報局 代表
花田秀則 様
HP:https://josei-karada.net/fertility/

株式会社天煌堂 代表取締役CEO
川尻大介 様
HP:https://tenkodo.life/

nae株式会社 代表取締役
篠原由樹 様
HP:https://nae-inc.co.jp/

Flora株式会社
HP:https://www.flora-tech.jp/

ゾンデルホフ&アインゼル法律特許事務所 弁護士
Femtech Community Japan 法務
橋爪航 さん
HP:https://se1910.com/ja/

カーディナルヘルス株式会社 営業本部 課長代理
宮澤匠 様
HP:https://www.cardinalhealth.jp/ja_jp.html

キリンホールディングス株式会社 ヘルスサイエンス事業部 新規事業グループ
染谷将則 様


2.ゲストトーク「なぜFemtech業界に?」

「基本的にフェムテック系のイベントの登壇って女性が多い。なので、男性だけで集まる本日のイベントはすごく貴重な機会です。」という話で、本イベントは始まりました。

まず、社内で仲間を募る場合も、「フェムテックだと、一緒にやろうよ、と男性から女性には声をかけづらい」 との話がありました。仕事、といえど気軽に言い出せないのが現状で、背景には性に関わる話題を盛り込みたくないという意識がありそうです。

社内でフェムテックの新規事業を推進するにあたり、奇跡的に女性と男性数名が手を挙げてくれたことで、部署を超えた横断チームができ、社内でタスクフォースとして取り組んでる例の紹介もありました。

一方、「社内でどれだけ研修をしても、支援者が増えるのは難しい」との話もありました。理由として、セックスとジェンダーを分けていても、「その領域に踏み込みたくない」という層がまだまだ多いからという見方があります。

他には、「フェムテック系のイベントで、オープンに顔を出さないようにしている」方もいました。男性が情報発信をしても「男性だから生理的に受け付けない」人々が一定数いるため、発信には十分気を遣ってるとのことです。

また、「女性マーケティングは難しい」といった話もありました。

男性は、車や鉄道、音楽など、各ジャンルごとにトピックがあり、雑誌もトピックごとに分かれているため、コミュニティという形で皆さん集まったりもするようです。一方、女性は「ふわっとした感覚」があり、ファッション一つとっても多岐に分かれるため、マーケティングの難しさがあるとのことです。

女性ならではの「感覚的なもの」をどう受け止め、受け入れてもらうか?は、すごく苦労しながら取り組んでいるお話もありました。

これらのトークを皮切りに、グループディスカッションが実施されました。


3.グループディスカッション①「男の本音トーク」

「男性だけのグループで、フェムテックに取り組む男の悩みやあれこれを語りましょう!」というテーマでグループディスカッションを実施。
グループごとに発表してもらいました。

男性は「どんなに頑張っても体感ができない」ことが難しい。例えば、月経をやわらげるアプリをインストールしても、それが本当に良いのかも分からない。体感ができないからこそ、ニーズの原因が分からない。

女性は感覚的な人が多いので困ることがある。
男性に聞くと「これはすごい便利です」や「もっとこうした方がいい」といったコメントをもらえるが、これが女性だと「なんか何となく嫌です」といったコメントがある。
「生理的に無理です」と言われることも割と多く、そう言われちゃうと体感できない僕らからすれば、結局何が駄目なのか、何が本質なのか、っていうところに到達できない。

男性だからこそ辛い場面も多々ある。以前、フェムテック系の勉強会でzoom参加した際、男性だからとがっかりされたことも。理解や学びを深めるために参加しているのに、「この領域をちゃんと勉強している」とか「体験を通じて理解している」といったような表現を女性側から求められることが多い気がする。

50代くらいの女性から「そもそもちゃんと家庭に貢献してるの?」という話をされ、議論のスタートラインに立たせてもらえないことがあった。
最近はフェムテック系の展示会でも、還暦の男性が理解を深めるために参加してるケースも増えているが、「わかってないくせに」として見られることがつらい。「理解を深めるために、まだまだ勉強中です」って言うと「何もわかってないのに」みたいな感じで見られることもあり、しんどい。
男性からすると、かなり勇気を出して参加してるはず。
人格的なところを言われると、難しい。

社内でも男性がフェムテックについて語ると「なぜあなたがその話をするのか」といった目で見られるケースもある。

男性と女性の健康の問題というよりは、「男女が一緒に楽しく働く」というのが、そもそも根底にあるはず。その次に「一緒に頑張ろうね」の要素の1つに、フェムテック的なのがあるよね、となるはず。
その視点がないと、おじさまが入って来たときに「なんでおじさまはこの世界にいるの?」みたいなそういう感じになってしまい、そもそもの出発点から結構違う感じがする。
ここを何か合わせられないか、というか、わかってほしいなって話をしていた。


4.グループディスカッション②「Men in Femtech」

フェムテック業界の女性が、男性との関係で困っていること、なども話題として交えながら、引き続き男性にとってのフェムテック業界を語りましょう!と言うことで、グループディスカッションを実施。
グループごとに発表してもらいました。

知りたい・勉強したいの裏には、「大事にしたいんだよ、ケアしたいんだよ」の気持ちが根底にある。

恋愛とか友情みたいに例えるとよいのでは?

女性の健康課題をみんなで勉強することが大事。
ただし、男性:女性と働くときの心遣いをするよ、女性:自分のヘルスケアのブラッシュアップするよ、と言っても参加者が伸びないことがあった。


5.総括

5-1.Femtech Community Japan理事・執行メンバーからのコメント

視点が面白いというか、我々でもすごい気づいてない点もあるなと思いました。疎外感というが、「こっち(男性)は頑張ってるのに、なんでそんな冷たいんだろう」っていう思いはすごくわかるし、おそらく我々もそういった態度をしてる時もあるんだろうなと思い、すごく勉強になりました。


5-2.FCJ・実行メンバーより質問

「化粧品メーカーや下着メーカーの研究者は男性ばっかりなのに、なぜフェムテックだけ冷たい目で見られるのか?皆さんが拒否感を受けないためのポイントは何なのか」

皆川からのこの問いに対して、出てきた意見は以下のとおりでした。

  • あくまで研究対象として見てるだけであって、セックスとジェンダーはちゃんと分けて考えていることが、一つポイントかと。「ジェンダーっていうジャンルの研究です」と、そういう仕立てにしてあげると良いのでは。

  • 「寄り添ってる感を出す」のも一つだと思う。

  • 化粧品メーカーや下着メーカーは、完全機能(ファンクション)の話であるが、フェムテックはタブーの領域感がある。化粧とか下着とかその当たり前なものに男性が関わるのは問題ないけれども、フェムテックのところで言うと、もうちょっとタブーで、不妊とか生理とかPMSとか更年期とか、ちょっと女性がこう言われると嫌なトピックスだから拒否が強い可能性がある。


5-3.情報共有①:社員向けのフェムテック研修をした結果

管理者向けに社内でフェムテック研修を行った方から、次のようなケース紹介がありました。

フェムテック系のオンラインセミナーを社内で実施したところ、多くの男性が冒頭に「やばい」って抜けていったケースがあった。
「これはあくまで、管理職向けのセミナーなので、部下に落としてくださいね」と説明しても、「いや自分は話せないです…」とか、「更年期という言葉だけでもセクハラです」と言われたことも。
当事者じゃないから課題解決できない、ではなくて、当事者じゃないからこそ、できることがあるはず。

5-4.情報共有②:教育 日本とアメリカの違い

アメリカでフェムテックが進んでいる理由の考察が紹介されました。

今の僕らの世代って、生理の話をするときは男女を分けて説明され、女性には女性の身体の仕組みを全部教えられるが、そんなことを男性には話さなかった、そういう世代だった。
でも、今の小学生の世代は、みんな一緒の教室で、同じ生理の話を聞くのであって、そういう教育を受けてるから、そこにおそらく男女での拒否反応はないはず。これは日本教育の課題であって、それが決して悪いというのではなく、今から学ぶことは全然できるはず。
ちなみにこれがアメリカだと、もうずっと昔から男女同じ空間で教育を受けるっていうところがある。アメリカや海外はフェムテックが進んでる理由は、そこにあるのかなと思う。


6.参加者からの感想

これだけの人数で男性だけとディスカッションする機会はなかなか無いので、非常に有意義でした。

男性がフェムテックを進めていく上でのTIPSが多く、知識を得られたのが良かったです。

フェムテックならではの男性がぶつかる様々な壁、それを皆さん共通で感じていらっしゃったのが最も印象的でした。特に、フェムテックに関わる男性に対して、女性側から無意識的にも「あなたには分からないのでは」という視線を投げかけられるところからスタートラインに立つまでの苦労・悩みを共有できたことは大きいです。

男性がフェムテックに関わるには、まだまだタブー視されがちな業界。
「フェムテックを手段として、その先に何を目的として取り組んでいるのか」という課題感を、あえて男性限定にすることで、違った角度から議論・共有できる場がもっと必要であると、今回のイベントを通じて感じました。

また第2回以降も開催したいと思います!


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