【Femtech-X】#3後編 じょさんしGLOBAL Inc. :Femtech×健康経営スタートアップ
前編では、Femtech×健康経営スタートアップのじょさんしGLOBAL Inc.の杉浦 加菜子 氏に、会社を立ち上げた経緯や創業の思いについてお聞きしました。後半は具体的なサービス内容や展望についてです。
前編はこちら
https://note.com/femtechjapan/n/n101ae1c89ab2
※インタビュー動画はFemtech Community JapanのYoutubeチャンネルで公開しています。
https://youtu.be/3JUF_2CNyek
1.サービスの強み・特徴
──助産師ならではのサービスの強み、特徴を教えてください。
女性の健康分野だと、ピルや卵子凍結など選択肢が増えていますが、「自分は何を選択したらいいんだろう」という方が多いです。
選択するためにわざわざ病院に行くことは少ないのが現状です。しかし、個人の身体の状態や、今後どうしたいのかを伺いながら、「こういう選択肢がある」と提示できるのは、女性の身体のことをよく知っている助産師だからこその強みだと思っています。
2.法人向けサービス『Real l's(リアライズ)』
──個人向けのみならず、法人向けにもサービスを展開されていますが、法人向けサービス『Real l's(リアライズ)』に込めた思いを教えてください。
『Real l's(リアライズ)』という法人向けサービスを1月にリリースしました。「心と身体を大事にできる社会を」が理念です。
「真実の目で見て、気づく」という意味で、『Real l's』と名付けました。
3.具体的なサービス内容
──具体的なサービス内容を教えてください。
サーベイ、レポート、セミナー/ワークショップ、相談窓口となっています。特徴は、Femtech・女性の健康の領域では、助産師が専門職として在籍しています。
生活習慣や肥満、高血圧などの健康管理には保健師がおります。国が出している健康経営アドバイザーの資格を有しており、その観点を用いて、企業および従業員の健康支援を行っています。
4.導入事例
──サービスを導入された企業の事例を教えてください。
「新卒採用の方のメンタルフォローを強化したい」「女性活躍を強化したい」という企業からお声掛けいただいています。
今年の4月から、サービスを導入いただいた企業様では、健康経営の中でも女性の健康を強化されたいとのことで、ご利用いただいています。
また、復職者向けのセミナーも実施しています。復職する前は不安なのと同時に、復職者を受ける側の企業も何に留意したらいいかなど、双方の不安を解消できるセミナーを開催しています。
5.サービス導入の流れ
──サービスを導入する流れを教えてください。
従業員や役員の皆さまにサーベイ(調査)を実施いただき、課題の抽出を行います。
サーベイ結果を基に、分析を行い、年間スケジュールを一緒に組ませていただきます。その中で、個々の企業様にお勧めのセミナー/ワークショップのご提案などをさせていただきます。
──具体的にどういった項目を調査されているのですか。
世間でよくあるのは、ストレスチェックやエンゲージメントサーベイですが、当社は「個々の健康」に特化したものが含まれています。
15のカテゴリーで、それぞれ質問数を作成して、500個ほど質問数があります。その中から、導入企業がどこに力を入れて取り組んでいかれたいかをヒアリングし、当社でピックアップをしています。最終的に、質問を30個程度に絞り、サーベイを実施してもらいます。
──サーベイによって、導入企業にレポーティングし、広報などに生かしてもらっているのですね。企業によってさまざまな特徴が出てきますが、要は企業ごとにパーソナライズをした形で、サービス提供されているイメージでしょうか。
おっしゃる通りです。
──サービスをリリースされたあと、導入された企業から意外な声があったりなど、自分たちの仮説と違っていた部分はございましたか。
ある企業から、新人向けの定期的な支援をして欲しいという相談をいただいています。当初、新人向けの支援は考えていなかったのですが、新人だからこその悩みがあるところに気づきました。
──2024年3月に大学を卒業した新卒の方だと、新型コロナが流行しはじめた2020年4月に大学へ入学しています。入学して、ずっとオンラインで授業を受けてきて、いきなり社会に出てきた方も多く、よりメンタルのケアが重要と感じています。
ご相談いただいた企業さんも同じことをおっしゃっていました。新型コロナ禍で大学時代を過ごされた新卒の方は、やはりコミュニケーションが難しい部分もあるという話しをされていたので、新型コロナ禍で大学時代の中で過ごしてきたのが、今まさに影響しているのを感じました。
──経営層・管理職向けにセミナーなどを実施してきた中で、導入企業からいただいた声を教えてください。
ハラスメントに関するセミナーを実施した際、経営層・管理職の中では当たり前・大丈夫と思っていたことが、実は部下にとっては不快なことに気づいたという声をいただいています。
アンコンシャス・バイアス、こうあるべき、当たり前と思っていることが、実は違ったということに、気づいてもらえました。
また、社内の定期的なサーベイやアンケートでは出てこない、従業員の声をご提示した際に、「従業員のリアルな声が聞けた」という反応をいただくこともありました。
6.サービスを導入する企業の共通点
──特に経営層や管理職は、従業員のリアルな声がすごく響きます。
実際にサービスを導入された、企業の特徴・共通点はございますか。
健康経営の優良法人などを取得・維持したいが、社内だけではどうしても難しいという悩みがあります。
また、女性社員が半数以上いる企業に関心を持っていただくことが多いです。女性活躍をもっと強化したい、採用を強化したい、離職率を下げたいという課題が、導入された企業の皆さまの悩みとして多いです。
7.サービス拡大に向けて
──今後の法人向けサービスの拡大に向けて、取り組まれていることを教えてください。
このサービスを多くの企業さんに展開させていただくことで、業種や従業員数などに応じた企業特徴が見えてくると考えています。
現在はその傾向分析のためのシステム開発に取り組んでおります。いずれは、未然に防ぐための解決策までご提案できるよう取り組んでいきたいと考えています。
8.今後の展望
──未然に予防する仕組みの部分は、日本企業は弱く、事前に察知できる健康経営の取り組みは広がってほしいと感じています。
協業や提携、こういった企業にも参画してほしいなどがあれば教えてください。
日本では、健康経営を政府から企業へ働きかけて、取り組むような流れになっていますが、多くの企業が、「とはいえどうしたらいいの」「何をしたらいいの」という声をよく聞きます。
自社内のリソースを使って、一から調べてやることも可能ですが、そのような企業ばかりではないので、自社内のリソースだけで難しい場合には、ワンストップで実施可能な当社のサービスもひとつの選択肢にしていただけると幸いです。
自治体も、産前産後や妊娠中・子育てだけではなく、「個人の健康」を強化していく取り組みもあるかと思います。健康やヘルスケアの視点でご一緒させていただける自治体さんがありましたら、ご一緒できればと思っています。
9.採用
──じょさんしGLOBAL Inc.で、具体的な人材募集や協力を求めているというのがあれば教えてください。
採用は、企業の健康課題を伴走することに興味がある方がいらしたら、ぜひお声がけいただきたいです。医療的な知識だけではなく、HR(Human Resources)との関連も高く、人的資源や人材に関心がある方は、ぜひご連絡ください。
10.読者へのメッセージ
──最後に一言お願いします。
今回、新しい当社のサービスをご紹介できて大変嬉しいです。
健康であるべきとは皆さんわかってはいますが、具体的にどうしたらいいのかわからなかったり、そのためにどういう働き方や従業員との関係性になるといいかなど、企業もまだまだ模索中です。
健康であるために具体的な行動について一緒に考え、企業や個人と共に伴走する、弊社の存在も知っていただけると嬉しいです。
11.Femtech Community Japan法人会員募集中!
Femtech Community Japanでは、スタートアップ・大手企業、VC・投資家、⼤学・研究機関、医療・ヘルスケア関係者メディアパートナーなどが集まり、Femtech関連の取り組み・情報共有や現状の課題と今後に向けた議論・ネットワーキングなどを行っています。
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