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【Femtech-X】#5 後編 株式会社MamaWell:助産師×テクノロジースタートアップ

「Femtech-X」はフェムテック産業の今を伝え、未来をつくるメディアとして、日本のフェムテックプレーヤーの創業の思いや事業概要を発信しています。

第5回では、妊娠生活とキャリアの両立を支援する伴走型健康管理サービス「MamaWell」を提供する株式会社MamaWell CEO 関 まりか 氏です。

後編では、妊婦さんが抱える悩み、ウェアラブルデバイスでトラッキングされているデータの詳細、今後の展望などについて伺いました。

インタビューはYoutubeのFemtech Community Japan 公式チャンネルでもご覧ください!→https://www.youtube.com/watch?v=_n94-nTs2NI

前編はこちら→https://note.com/femtechjapan/n/n4643f8b29c21


1. 妊産婦が抱える悩み:キャリアと妊娠生活の両立

ー特に妊婦さんが抱えている課題とは。

これまでどの程度、体を動かされていたのかにもよりますが、動きすぎな方から、逆にデスクワークメインでほぼ動かれていない方までさまざまです。そのため、一人ひとりに応じた調整が必要なことです。

個人がウェアラブルデバイスをつけて、データに合わせて自身で適切な活動量をコントロールするのは難しいため、サービスを頼っていただきたいです。

2. 妊産婦や企業からのニーズ

ーサービスを始めて、企業や妊婦さんから、当初は想定していなかったニーズや要望はありましたか。

妊婦さんは、「もっと働きたい」ということと、「体への負担が気になる」というバランスを保つことに難しさを感じている点が共通項として挙げられますが、これはサービスを始めて気づいたニーズで、サービスをピボットした経緯になります。

企業は、妊婦さんへのサポートが必要とは感じているものの、サポートを提供する体制はなく、どこまで仕事をお願いしていいのか、そもそも妊婦さんとどう接したらいいのか困っていらっしゃいました。

特に、男性上司の方は、奥様が妊婦さんならば、N=1の経験でなんとなく分かるものの、奥さんが妊婦さんではない場合、どんな言葉をかけたらいいのか分からないという声をもらいます。

それらのニーズに応え、企業向けに、妊婦さんに「どのように上司としてサポートするといいか」の助言もレポートに盛り込むことによって、どう対応すれば良いのか分かったと好評いただいています。

ー具体的に、どういったアドバイスをされるのでしょうか。

企業の窓口となる方に、社員の方々全員分のレポートをお送りし、サービスに関するやりとりをしたり、相談に応じています。

レポートに関して、最初は利用いただいている妊婦さんから不満の声が多いのではないかと少し心配もしていましたが、妊婦さんから「自分の体調をどう言葉にして上司に伝えていいのかわからなかったが、レポートを踏まえて伝えやすくなった」とポジティブな意見をたくさんもらっています。

ー企業へのサービス導入を通じて得られた、妊婦さんからの具体的な声を教えてください。

実際に、サービスを利用いただいた妊婦さんの半数が2人目、3人目の方です。

例えば、「妊婦のときに働きすぎて、切迫早産を経験した。それもあって、2人目は仕事をセーブしたが、もっと働けたのではないかと後悔が残った。3人目の今回は、MamaWellのサービスを利用して、仕事量を適切にコントロールでき、今までで一番満足のいく妊娠生活を送れた。」などの声をいただいています。

MamaWellを利用した妊婦社員の声

3. ウェアラブルデバイスでトラッキングしているデータ

ー妊婦さんに配布しているウェアラブルデバイスでは、どういうバイタルデータをトラッキングし、解決策を提案されているのか教えてください。

ウェアラブルデバイスでは、心拍数や活動量、座っている時間など網羅的にデータを収集しています。これらのデータを元に、活動と休息のバランスがとれているか、動きすぎていないかを一人ひとり専属の助産師がデータのフィードバックをします。

例えば、運動不足が懸念される方に関しては、無理のない範囲で運動習慣を提案するために、自社で作成した動画をお渡しし、それを見ながら運動していただくことがあります。

企業には、各妊婦の社員の方にデータをフィードバックしたものを、そのままデータとしてお渡しするのではなく、MamaWell内のアルゴリズムに従って、評価をしてご提供しています。

ー収集されているデータについて、今後はどのように活用されていくのでしょうか。

今後さらにデータを集め、より精度の高いアルゴリズムを構築していく予定です。収集したデータを活用して、より洗練した個別最適化されたアドバイスを提供し、質の担保を図っていきたいと思います。

4. MamaWellならではのサービスの強み

ーMamaWellさんの一番の強みについて教えてください。

助産師・医師・医療の専門家などがいるため、事業開発から課題解決まで、すべて社内でワンストップで提供できることが強みです。

また、メンバーの半数が医療の専門家であり、研究者も多くエビデンスに基づいたサービス設計・管理が徹底的にできることです。

そして、パーソナル助産師も含めた全スタッフに対して、研究に基づいた教育を受ける体制を整えており、サービスの質の担保を図れていることは強みだと思っています。

5. サービス導入企業の特徴

ー従業員の方の年齢や、導入している企業や健康組合について、業種や職種の傾向はございますか。

企業に関しては、さまざまな規模感や、業界です。規模感は従業員数20名~1万名まで幅広く、女性比率についても高い企業ばかりではなく、女性比率が10%程度の企業にも導入いただいています。業界も、自動車業界、金融業界、食品業界など本当にさまざまです。

6. 経産省のフェムテック支援事業の成果

ー昨年度の経産省のフェムテック支援事業で発表された成果について、具体的にご紹介いただけますか。

サービス利用前後で、妊婦さんにプレゼンティズムの変化について調査を行ったところ、有意差を示せるほどに向上し、プレゼンティズムの改善に寄与していました

もう一つ大きな成果として、妊娠中の健康指標の1つが、約500g/1週間の体重増加をキープすることですが、今までサービスを利用いただいた方は、平均して約500g/1週間の体重増加の維持を示せたことです

また現状、日本で妊娠を機に離職する方は3人に1人というデータもありますが、これまでご利用いただいた方々は離職者0名というのは大きな成果です。

7. 今後の展望:医療機関や企業との連携

ー今後、企業との協業など、一緒に取り組んでいきたいという展望はございますか。

MamaWellのサービスを広めていくために、企業や自治体との連携は強化していきたいと思います。

ー具体的に、医療機関とどのように提携をされていらっしゃるのでしょうか。

このサービスの対象は企業や健康保険組合ですが、一気に広められるものではないです。ただ、個人で利用したいという声もあるので、MamaWellのサービスに賛同いただいた医療機関でサービスの周知を図り、個人で利用いただくという連携をしています。

8. メッセージ

ー最後にメッセージをお願いします!

20代前半女性の方と、お話しをすると全員「妊娠出産には不安しかない」という声しか聞きません。同時に、MamaWellのサービスの存在を知っているだけでも心強いという声をいただいています。

妊娠適齢期にあたる20~30代の女性はもちろん、妊娠出産を望むすべての女性にとって拠り所となるサービスとして広めていきたいです。

採用についても、全方位の採用を積極的に進めています。特に、企業や健康保険組合のサービス導入を加速させるために、「セールス」と「経営企画」の採用を強化しています。セールスでは、法人営業の経験がある方を歓迎しています。

MamaWellの良さは、メンバーが医師や助産師だけではなく、エンジニアやデザイナーなど、さまざまな職種のメンバーの中で働ける環境です。少しでも興味をお持ちいただいた方は、ぜひMamaWellまでご連絡ください。

写真左から、Femtech Community Japan 理事 木村、
MamaWell CEO 関氏

【インタビュアー・執筆:Femtech Community Japan 理事 木村 恵】
生保で健康増進型保険の企画、損保で大規模システム開発のプロジェクトマネジメントなど、保険業界に20年近く在籍。業界団体の理事、NewsPicksトピックスオーナー、スタートアップ顧問を兼任。
「女性ヘルスケア×イノベーション」の専門家として、起業家支援や大企業の新規事業相談に応じている。社会情勢や海外ビジネスモデルに関する考察をメディア等で多数発信。経営学修士(MBA)。

【取材協力・執筆:Femtech Community Japan 金井 響加】
京都の大学でジェンダー論を専攻しながら、Femtech Community JapanでSNSを担当。ジェンダー平等の実現に向けて、最新のトピックスを発信しながら、誰もが自由に自分らしく生きられる社会の実現に貢献したいと考えている 。

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